FASHION
Roots of leather shoes

革靴のルーツを探ることで、TPOに合わせた履きこなし方を知る。

ビジネスや冠婚葬祭など、さまざまなシーンで必要となってくる革靴。おしゃれにあまり関心がない人でも、必要に駆られて購入したこともあるだろう。しかしながら、そのデザインの違いによって着用シーンの向き不向きがあるのはご存知だろうか。

そもそも革靴のデザインは、靴紐を通す部分の「羽根」、そしてつま先部分の「トゥ」との組み合わせでその印象が決まり、「ラスト」と呼ばれる木型によって最終的なフォルムが決定される。その中でも、羽根とトゥの歴史的な由来により、その着用シーンが決まってくるのだ。

つまり、羽根とトゥの由来を知ることが、TPOに合わせた履きこなしを知る近道、ということ。まずは、靴の着用シーンを決める「羽根」の歴史的由来を知ることから始めてみよう。

カジュアルなシーンに向く
「外羽根」シューズの由来。


外羽根とは、紐を通す部分が甲の上に縫い付けられているスタイルの革靴のこと。その由来はダービーやブルーチャーと呼ばれる、プロイセン軍がワーテルローの戦い[1815年]において使用した戦闘用ブーツにさかのぼる。このタイプの革靴は、羽根が大きく開くため、着脱しやすくフィット感の調整もしやすく、その後も狩猟や屋外労働における靴として採用されてきた。つまり、外羽根靴はその由来からして比較的カジュアルなものということがいえる。

フォーマルなシーンで着用される
「内羽根」シューズの由来。


対して内羽根とは、甲の部分が羽根と一体化した革靴のこと。その起源は、イギリス王室のアルバート公が考案[1853年]したミドルブーツ。外羽根に比べて羽根の部分の可動域が少なく、フィット感の調整が比較的難しいものの、すっきりとしたフォルムのため礼装や室内執務向きとされてきた。そのため、今日に至るまで冠婚葬祭などのフォーマルなシーンでは、内羽根靴が好ましいとされているのだ。

トゥのデザインと着用シーン、
代表的なブランドを紹介。

格調高いシーンに欠かせない「ストレートチップ」
ストレートチップとは、つま先に一直線のステッチが施された靴のこと。別名ではキャップトゥとも呼ばれる。ストレートチップの内羽根は、革靴の中でも最もフォーマル度が高いとされているため、冠婚葬祭での着用はもちろん、ビジネスにおける重要なシーンにも適している。
今回紹介したのは、英国の靴の聖地と言われるノーサンプトンで[1890年]に創業した、Edward Greenのチェルシー。同ブランドを代表するラスト「202」を使用し、アイレット横に施された繊細なステッチが美しい名作だ。

シンプルで幅広く使える「プレーントゥ」
つま先に縫い目や飾りの施されていない、シンプルな靴がプレーントゥ。装飾がない分、ラストのフォルムにより、印象が大きく左右される。プレーントゥは、そのシンプルで完成されたシルエットから、冠婚葬祭からカジュアルまで幅広く使えるとされている。ちなみに、一枚革で作られたものはホールカットと呼ばれ、より格調高い印象になる。
写真は、一枚革で作られたホールカットシューズの名作、Berlutiのアレッサンドロ。外から縫い目が一切見えないその作りと、スマートでエレガントなシルエットは、靴好きを魅了して止まない。イタリアからパリへと移り住み、[1895年]に同ブランドを設立した職人、アレッサンドロ・ベルルッティが自身の名を付けた名品。

カジュアルでファッション性の高い「ウイングチップ」
つま先にウイング状の飾り穴が施されたデザインで、フルブローグとも呼ばれる。このつま先飾りは、もともとは狩猟などの際に付く傷を目立たなくさせるためのものだったという。そのルーツもあり、ツイードジャケットやフランネルのシャツなどを使ったカントリースタイルと絶妙にマッチする反面、フォーマルな場には適さないとされている。
ウイングチップの代表的なモデルが、このTricker’sのエプソン。無骨でありながら優美な雰囲気も漂わせるこのモデルは、まさにクラシックと呼ぶにふさわしい。[1829年]の創業以来、英国の伝統を守り続ける同ブランドは、チャールズ皇太子御用達でもあるとともに、さまざまな著名ブランドとのコラボレーションも果たしている。

ジャケパンスタイルに似合う「Uチップ
甲からつま先にかけてモカシン縫いと呼ばれるU字状のステッチを施した靴。ステッチの形状に応じてVチップやスワールモカシンと呼ばれるものもある。フランスの狩猟靴やアメリカのゴルフシューズなどを起源としているため、カジュアルなジャケット&パンツスタイルなどが適したシューズと言える。
このUチップの代表的モデルが、[1879年]創業のCROCKETT&JONESのモールトン。普遍的なシルエットに加え、3枚の皮から構成されたつま先で足の形にしっくりとフィット。グリップ力の高いリッジウェイソールのため、歩きやすく実用性も十分。Uチップの中でも比較的ドレッシーなシルエットで、ビジネスユースにも適した一足だ。

リラックススタイルを演出する「ローファー」
英語でLOAFERといえば、怠け者の意味。その名の通り、ローファーは紐を用いない広い履き口の靴で、室内履きのスリッポンをルーツとしたもの。そのため、気軽に脱ぎ履きが可能でカジュアルな装いやジャケット&パンツスタイルにはマッチする反面、原則としてスーツには合わせる靴ではないとされている。
J.M. WESTONのシグニチャーローファーは、フレンチトラッドを代表する一足。同社が試行錯誤の末生み出したシェイプに加えて、最上級のボックスカーフを使用しているため、履き込むほどに足にフィットしてくれる。1960年代後半のフランスでは、父親のシグニチャーローファーを素足で履き、そこにリーバイス501を合わせるという反骨的なスタイルが若者たちの間で流行したという。

まず買うならこれ。
もっとも使い勝手の高い革靴とは?

これまで革靴のルーツと適した着用シーンを紹介してきたが、「結局、どの靴が一番『使える』のか?」とお思いの読者も多いことだろう。まず買うなら、フォーマルからカジュアルまで様々なシーンにマッチする、外羽根のプレーントゥがベスト。冠婚葬祭で使うことも考えると、最初の一足は黒が絶対、と言い切っていいはず。


加えてお伝えしておきたいのは、「いい靴はコストがかかる」ということ。いくら高価な靴を一足購入したからといって、毎日履いていてはくたびれてくるし、底を張り替えるのにも当然お金がかかることは言うまでもない。

まずは、自分のスタイルや着用シーンにマッチした様々なタイプの靴を履き回すことから始めて、徐々に奥深い革靴の魅力に近づいていってほしい。

 

ONLINE STORE
掲載商品は、代表的な商品例です。入れ違いにより販売が終了している場合があります。
SHARE