日常で着倒す!ファッションと“音楽”を繋ぐ定番⼈気トリビュートTシャツ レッチリ、ニルヴァーナ、マイケル・ジャクソン、2PAC、ビョークほか
だがなぜ、人々はヴィンテージTシャツに心惹かれるのか。そこでふと原点に立ち返り、Tシャツのモチーフに向き合ってみる。するとレアリティという世俗的な価値基準だけでは計り知れない魅力が浮かび上がる。古くからファッションと蜜月関係を築いてきた“音楽”というモチーフを例にするとわかりやすい。そんなワケで、今回の『knowbrand magazine』が取り挙げるテーマは“音楽Tシャツ”である。
されどジャンルは多種多様。数多ある中からロック、ヒップホップ、そしてポップカルチャー・アイコンの3ステージに分類し、音楽カルチャーを語る上でハズせない名モチーフにトリビュートTシャツとして出演を依頼。大人のモノ好きの耳目、そしてココロを揺らす異なる音のラインアップに密着し、その魅力に迫る。
定番人気の“音楽”トリビュートTシャツ
時に激しく、時にエモーショナルに
音を視覚で届ける「ROCK」
1つ目のステージの幕が上がる。先陣を切るのは、音楽Tシャツの代表格として知られる「ROCK ロック」をモチーフとしたバンドTシャツだ。略して「バンT」とも呼ばれ、今やファッションアイテムとして定着しているが、そのルーツは1960〜70年代頃に、ヒッピーカルチャーやサイケデリックロックを象徴するバンド「グレイトフル・デッド」が、ツアーの移動費用などの捻出のためにライブ会場などで販売したバンドマーチャンダイズとされる(諸説あり)。
以降、音楽カルチャーの広がりとともに、他のバンドからもリリースされるようになった。音に乗せて届けていた喜怒哀楽の感情や葛藤、欲望といったメッセージを視覚的に表現することが叶うTシャツは、直情的なロックミュージックと非常に相性が良かったのだろう。
看板であるバンドロゴや作品ジャケットといったアートワーク、現場の空気感を切り取ったライブフォト、都度変わるツアーグラフィックなど、そのデザインソースは実に多彩。単なるグッズの枠を超え、バンドの世界観やカルチャーを伝えるメディアとしての役割も果たしてきた。そんなロックシーンを代表して3組のアーティストが登場。それぞれの個性が反映された名モチーフを3枚連続で披露する。
ロック・カルチャー史に偉大なる足跡を刻んだ3組。それぞれの個性を映し出す名モチーフが集結。
「Red Hot Chili Peppers
(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)」
1963年結成。日本では「レッチリ」の愛称でも親しまれ、ファンクやパンク、ヒップホップなど多様な音楽性を融合させたサウンドで世界的人気を誇る、ご存知アメリカが誇るロックバンド。
「ジャーナルスタンダード」とのコラボ Tシャツ。写真はロス・ハルフィン撮影によるもの。
トップバッターは、セレクトショップ「JOURNAL STANDARD ジャーナルスタンダード」からの1着。40年以上にわたり数々のロックバンドを撮影してきた音楽写真家、ロス・ハルフィンが2006年にアメリカ・ロサンゼルスのサンセットマーキスホテルにて撮影した作品をフィーチャー。当時、9枚目のスタジオアルバム『STADIUM ARCADIUM』でバンド史上初となる全米アルバムチャート1位を獲得。さらにグラミー賞最優秀ロック・アルバムにも輝くなど、開いた口が塞がらないほどの快進撃中に撮られた1枚。メンバーの表情からは自由奔放なレッチリらしさが感じられる。
「Oasis(オアシス)」
1991年に“サッカーの街”としても知られるイギリス・マンチェスターで結成。リアムとノエルのギャラガー兄弟を中心に活動し、1990年代のブリットポップムーブメントを代表する存在。
72時間限定で販売された貴重な30周年記念モデルには、ポール・スラッテリーの撮影作品を使用。
セットチェンジした2枚目は、2024年の再結成発表前にイギリス公式サイトにて、72時間限定で販売された30周年記念モデル。1994年に音楽写真家、ボール・スラッテリーが撮影したギャラガー兄弟のフォトとバンドロゴを爽やかなブルーの単色でレイアウト。気怠さと自信が同居するようなふたりの佇まいからは、のちのカリスマ性の萌芽を感じ取ることができる。2024年に再結成を発表するとそのニュースは世界中を駆け巡り、翌2025年にはワールドツアーをスタート。日本でも東京ドーム公演が開催され、サブカル中年たちを熱狂させたことは記憶にも新しい。
「Nirvana(ニルヴァーナ)」
1987年、フロントマンのカート・コバーンを中心に、アメリカ・ワシントン州で結成。代表的アルバム『Nevermind』の世界的ヒットにより、その後のロックシーンの歴史を大きく塗り替えた。
マイケル・ラヴィーンの撮影作品をフロントに配置した〈ウィンダンシー〉とのコラボ Tシャツ。
多才なるスタイリスト熊谷隆志のブランド〈WIND AND SEA ウィンダンシー〉とのコラボ作が本ステージのヘッドライナーを飾る。前面は黎明期からメジャーデビュー期にかけて貴重なフォトを数多く残した音楽写真家のマイケル・ラヴィーンが、メンバー3人の笑顔を捉えたフォトの上に、『Nevermind』のジャケットを彷彿とさせるアクセントカラーでバンドロゴをオン。対する背面にはアルバム収録曲名が並ぶ。国内盤(リイシュー)のライナーノーツなどにも使用されたこの一葉で、世界を席巻する直前の瑞々しいエネルギー溢れる姿を見事に切り取ってみせた。

カートのプリントの下には、©️2008 NIRVANAのコピーライト表記が。オフィシャルライセンス品の証明である。
ここでアンコールに、ヴィンテージからひと掴みしてもう1曲。ブラックボディのフロントにはお馴染みのモヘアカーディガンを羽織り、アコースティックギターを奏でるカート・コバーンの姿が。アンプラグドなライヴシーン、ラフな装いはグランジスタイルの最たるもの。
モチーフも時代も違えども、変わらぬ魅力を放つ2作。両方を手に入れれば涅槃に辿り着ける…かも。
新旧ともに共通する飾らないカートの佇まいに、令和の今もロックアイコンとして愛され続けている理由が垣間見える。
(→「カート・コバーン」に関する特集記事はこちら)
(→「Tシャツ」に関する別の特集記事前編はこちら)
(→「Red Hot Chili Peppers」の「Tシャツ」をオンラインストアで探す)
(→「Oasis」の「Tシャツ」をオンラインストアで探す)
(→「Nirvana」の「Tシャツ」をオンラインストアで探す)
(→「Kurt Cobain」の「Tシャツ」をオンラインストアで探す)
定番人気の“音楽”トリビュートTシャツ
ビートとフロウで、
心象風景と己の生き様を表現する
「HIP HOP」
次なるステージでは、ロックとは音楽性や社会的背景において対照的でありながら、アーティストたちの生き様や価値観をストレートに表現し、ストリートカルチャーと深い結び付きを持つという意味ではよく似た「HIP HOP ヒップホップ」モチーフのTシャツをフィーチャーする。
1970年代後半にニューヨーク・ブロンクスで誕生し、1980年代以限に世界へと広がったヒップホップカルチャーはビートとフロウを武器に進化したラップ、DJ・ダンス・グラフィティという4つのエレメントが混ざり合い影響しながら発展していった。また同時に、ファッションやアートにも大きな影響を与えてきたことはご存知の通り。
時代が1990年代を迎えると、メディア露出の拡大に伴い、アーティストTシャツやツアーグッズとしても広く浸透。アー写やアルバムアートワークをはじめ、クルーロゴやリリックを落とし込んだデザインも多く、“メッセージを身に纏う”という表現行為としての側面を強めていった。特に時代ごとのスタイルを象徴する存在として語られるのが、この3組のラッパーたちだ。それぞれ異なる個性とメッセージをビジュアルで伝える、必見必調の視覚的マイクリレーに刮目せよ。
ヒップホップカルチャーを象徴する3組。それぞれの個性とメッセージを映したデザインが集結。
「Run-D.M.C.(ラン・ディーエムシー)」
1980年代前半に、アメリカはニューヨーク・クイーンズで結成。ストリートのリアルを音楽とビジュアルに落とし込み、ヒップホップをカルチャーへと押し上げた伝説的グループのひとつ。
親の顔よりも見たロゴ。そしてメンバー3人の顔と名前の完全一致はオールドスクーラーの基礎教養。
正面には無駄を削ぎ落としたクルーロゴが鎮座。強烈な色の対比とフランクリンゴシックをベースとした無骨なタイポグラフィが、彼らが首に巻いた極太ゴールドチェーンのような力強さとアイデンティティをこれでもかと主張。背面にはメンバー3人のイラストが。ライヴシーンを彷彿とさせる生き生きした表情とともに、まだ誕生間もないヒップホップシーンのエネルギッシュな熱量を感じさせるではないか。音楽とファッションを強く結び付けた存在としても知られる彼らを倣い、足元は3本ラインの「My Adidas」が正解。願わくばスーパースターを効かせて…。
「Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)」
1992年、ニューヨーク・スタテンアイランドで結成された泣く子も黙るヒップホップ集団。中国武術やカンフー映画から影響を受けた独自の世界観とハードコアなスタイルで支持を集めた。
イエローとブラックはウータンの標(しるし)。これぞ24時間戦うヒップホップ集団のリフレイン。
個性的すぎる9人のメンバーを取りまとめ、総帥として君臨するRZAのフォトがA面(胸)に鎮座する本作は、同じくNYレペゼン〈Supreme シュプリーム〉とのコラボモデル。B面(背面)にはRZAのサインとともに1993年発表の代表曲「PROTECT YA NECK」のグラフィックを背負う。“己を守れ”を意味するこの13文字は、彼らを象徴するフレーズとしても知られ、ボディ色も彼らの旗印であるイエローがお約束。なお2026年には、フルメンバーでこそなかったものの29年ぶりの来日公演が実現。現在(いま)なお、ヒップホップシーンに大きな影響を与え続けている。
「2Pac(トゥーパック)」
1990年代を代表するラッパーの1人。人種、貧困など社会問題がテーマのメッセージ性の強い楽曲で支持を集めるも、25歳で逝去。西海岸ヒップホップのアイコンとして語り継がれている。
フロントに『R U Still Down?』のジャケット写真を使用した、〈セント マイケル〉とのコラボ作。
フロントには、彼の死後に発表された未発表曲アルバム『R U Still Down?』のジャケット写真をプリント。口元で手を合わせるようなポーズと訴えかけるような眼差し、暗闇に浮かび上がる十字架のグラフィック、そして2Pacの背中に刻まれたタトゥを彷彿とさせる意匠とリアルなヴィンテージ加工の四連押韻が、あたかも自分の死を予期していたかのような最後の名曲「I Wonder If Heaven Got A Ghetto」との関連性をも想像させる。〈SAINT Mxxxxxx セント マイケル〉とのコラボアイテムである本作は、若くして逝去したヒップホップヒーローに捧げるR.I.P。
(→「Run-D.M.C.」の「Tシャツ」をオンラインストアで探す)
(→「Wu-Tang Clan」の「Tシャツ」をオンラインストアで探す)
(→「2Pac」の「Tシャツ」をオンラインストアで探す)
定番人気の“音楽”トリビュートTシャツ
音楽で世界を変えた
時代の寵児たちを描き出す
「POP-CULTURE ICONS」
ラストを飾るステージでは、これまでの音楽ジャンルという枠組みからさらに一歩踏み込み、その音楽性のみならず、世界観や思想、生き方までもが多くの人々に影響を与えてきた、レジェンドアーティストたちにスポットライトを当てる。
大きな転換期となったのが1980〜90年代。テレビだけでなくMVといった新たな映像メディアの登場により、音楽は“聴くもの”だけなく“観るもの”としての広がりを見せた。その中にあって楽曲だけでなく、ステージパフォーマンスでも強烈な個性を放ち、圧倒的な存在感でポジションを確立したアーティストたちは、存在そのものが“ポップカルチャーの象徴”となっていく。
彼ら彼女らはまさしくスターであった。そしてその光は今も輝きを失うことなく世界中を照らし、時代やジャンルを超えてなお多くの人々に愛され続けてきた。そんな時代の寵児たちをTシャツというステージに映し出した豪華4アーティストの共演が実現。唯一無二の饗宴をご覧あれ。まずは誰もが知るポップカルチャーの“キング&クィーン”。
ポップ・カルチャーの“キング”と“クィーン”が並び立つビッグショウ開演。
「Michael Jackson(マイケル・ジャクソン)」
1970年代に「ジャクソン5」の天才リードシンガーとして一世風靡したのち、ソロとして活動。その圧倒的パフォーマンスは世界的に広く模倣され、音楽とダンスの関係性をも変化させた。
「スリラー」MV劇中の印象的なラストを、〈ピーピーエフエム〉らしく気の利いたギミックで表現してみせた。
1980年代以降の音楽シーンに革命をもたらしスーパースターとコラボしたのは日本発の〈PPFM ピーピーエフエム〉。革新的なMV(ミュージックビデオ)で世界的に話題を呼んだ名曲「スリラー」をモチーフに採用し、屈託ない笑顔を見せるマイケルのバストアップ写真をモノクロで裏表に展開。リリース年である1982の表記と楽曲タイトル、彼のサインをあしらった前面はいわばサイドA。サイドBの背面では、MV劇中のラストで黄色く光る獣のような目を再現。あの不気味な笑い声が聴こえてくるかのよう。公開中の自伝映画『Michael』鑑賞時に、ぜひ着て行きたい1枚。
「Madonna(マドンナ)」
MVを表現方法に取り入れた革新的ダンス音楽と、過激で性的なイメージで爆発的人気を獲得。音楽以外の領域にも影響を与え、時代の価値観を更新し続けてきた“クイーン・オブ・ポップ”。
マドンナ60歳の誕生日にリリースするという仕掛けも、実に〈シュプリーム〉らしい。
女性像そのものの概念を塗り替えた彼女が、1990年にリリースしたヒットシングル「Justify My Love」をモチーフに選んだのは〈シュプリーム〉。上部にブランドロゴ、下部には楽曲名と本人のサインを重ねることで、ポップアイコンとしての存在感を際立たせた本作では、チェーンを掲げて薬指を立てた彼女の写真を2色で表現。サーモンピンクのボディが妖艶な表情を引き立てる。リリース日が彼女の還暦の誕生日だったという点もポイントで、ギネスが認める“史上最も成功した女性アーティスト”は、同時に永遠のセックスシンボルであるという意思表示とも読み取れる。
続いては、アイスランドとジャマイカ。遠く離れた2つの島国から世界中に音楽とメッセージを届けたシンガーソングライター2組による奇跡のデュエット。
“氷と火の国”アイスランドの歌姫と、“森と泉の島”ジャマイカの英雄が同じステージに。
「Björk(ビョーク)」
アイスランド出身のシンガーソングライターで、1990年代以降のオルタナティブミュージックを代表する1人。エレクトロニカや実験音楽を取り入れた革新的サウンドで高評価を獲得した。
「ジャーナルスタンダード」から2024年に発売。個性溢れる彼女の世界観が表現された秀逸コラボ。
天衣無縫な歌声と唯一無二の世界観、独自のファッションやビジュアル表現で人々を魅了してきた歌姫を、セレクトショップ「JOURNAL STANDARD ジャーナルスタンダード」がフィーチャー。写真家サン・リブカが、バンド脱退後にソロとしてアルバムを発表し、再デビューを果たした1993年撮影のモノクローム写真を採用。同時に発売された3種類のデザインと共に、ビョークの個性を引き出したコラボレーションとして注目を集めた。日本贔屓の彼女だけに、着ていたらまさかのご本人と遭遇なんてことも。そこで平然と“I’ve seen it all”と構えていられるかどうか。
「Bob Marley (ボブ・マーリー)」
レゲエカルチャーの絶対的シンボルといえばこの男。ジャマイカ出身のシンガーソングライターで、レゲエを世界的な音楽ジャンルへと押し上げた英雄として、世界中で愛され続けている。
レゲエカルチャーをモチーフにしたアイテムを数多く展開する〈ザイオンルーツウェア〉のボブT。
ラスタカラーに染め抜かれたボディに、笑顔を見せるボブ・マーリーと代表曲「Positive Vibration」の歌詞の一節“JuST CAN’T LIVE THaT NEGATIVe WaY. MAKE WaY FOR THe POSITIVE DAY(後ろ向きなやり方では、とても生きてはいけないよ。分かるかい。前向きに進むんだ)”を重ねることで、ポジティブなバイブスとレゲエの精神を表現。こちらは〈ZION ROOTSWEAR サイオンルーツウェア〉からのワン・ドロップ。平和や愛、自由といったメッセージを発信し続け、その思想やライフスタイルが多くの人々に影響を与えたボブらしさ溢れるビッグチューンだ。
(→「Michael Jackson」の「Tシャツ」をオンラインストアで探す)
(→「Madonna」の「Tシャツ」をオンラインストアで探す)
(→「Björk」の「Tシャツ」をオンラインストアで探す)
(→「Bob Marley」の「Tシャツ」をオンラインストアで探す)
直情的に思いの丈をぶつけるロックのビートから始まり、愛と平和、そして共存を説くレゲエのメッセージで大団円を迎えた音楽Tシャツの祭典もこれにて終演。
音に乗せた魂や、彼らが駆け抜けた時代の空気感が鮮烈に刻み込まれた10組の音楽Tシャツのステージは、“グラフィックを通して、その背景にあるカルチャーの深淵に触れる”という行為こそが、人々が音楽Tシャツにココロ惹かれ、袖を通したくなる理由であると伝える。
この夏、自分だけのプレイリストを作ってみるのはどうだろう。飾って楽しむ希少な当時モノではなく、いつでも気楽に着倒せるお気に入りの1枚を見つけよう。音楽はいつでも、我々と共にある。
(→「日常で着倒す!ファッションと“映画”を繋ぐ定番⼈気トリビュートTシャツ」編は、こちら)
最後までお読みいただきありがとうございます。
今後のコンテンツづくりの参考にさせていただくため、よろしければ簡単なアンケートにご協力ください。

