魅惑の“ブラックカラー”ヴィンテージの世界。枯渇化必至の“黒き名作”たち。「BDU」「リバースウィーブ」「ダブルニーパンツ」ほか
現代のファッションにおいて定番となって久しいブラックも、ヴィンテージというフィルターを通すと話が変わってくる。なぜかといえば、ミリタリーやワーク、スポーツの世界においてこの色は実用性やチームカラーなどの観点から、採用されるケース自体が極めて稀だったがゆえ。つまりブラックカラー・ヴィンテージのオリジンは個体数が少なく希少価値も高い。その上、色が変わることで古着特有の無骨さや野暮ったさが抑えられ、都会的かつモダンなルックスへと塗り替えられる。しかも使い込むことで“墨黒”へと美しくフェードしていくエイジングも乙なもの。酸いも甘いも噛み分けた大人たちの物欲を激しく刺激してやまないのも納得がいく。
今回は、そんな知れば知るほど奥深い「ブラックカラー・ヴィンテージ」の世界から、アメカジ・ラバーなら絶対に押さえておきたい珠玉の6アイテムをご覧いただこう。
魅惑のブラックカラー・ヴィンテージ
U.S.ミリタリーの
「BDU ジャケット357」
モードな雰囲気さえ漂わす
アノニマスなミリギア
まずは、大人のアメカジコーデを格上げする1着から行動開始。気になるカテゴリーは“ミリタリー”。その中でも着回しやすさ抜群の「BDU ジャケット」。たびたび耳にするBDUとはアメリカ軍の戦闘服を意味する“Battle Dress Uniform バトル・ドレス・ユニフォーム”の略。
ここで取り挙げるのはミリタリーウェアの長い歴史の中でも、官給品としては極めて珍しい黒無地のタイプ。正式名称は「COAT, HOT WEATHER BLACK 357」、通称「BDU ジャケット 357」だ。
「BDU ジャケット ブラック357」こと「COAT, HOT WEATHER BLACK 357」。
素材には、薄手で軽く、かつ丈夫なコットンとナイロンの混紡リップストップ生地を採用。この生地は洗濯で縮みにくく耐久性抜群。洗い込むことで褪色やパッカリングといった風合いが生まれ、ヴィンテージならではのエイジングも楽しめるだけでなく、春秋シーズンの羽織りとして非常に高い実用性を誇る。
さて、“官給品のミリタリーウェアとしては極めて珍しい”と先述したが、ではなぜ生まれたのか?一般的に「特殊部隊が秘密裏に行動するために黒一色で作られた」「演習において仮想敵部隊(OPFOR:Opposing Force)」を演じる際、通常の迷彩柄と区別するために着用された」とされているが、実際のところは不明。
“ミリタリー特有の粗野な雰囲気が抑えられ、洗練された都会的な着こなしが可能”。この事実さえあれば、誕生の真相が藪の中でも支障ない。
そんな「BDU ジャケット 357」だが、実はユーズド市場でよく見かける。ゆえに、購入時にチェックすべきはジャケット内側のタグ。本モデルは1997年のわずか1年間のみしか生産は確認されていないため、ここに会計年度を示す“97”の印字があるものがオリジナル。市場にはレプリカも出回っているため、本物を探すモノ好きはタグの確認が必須となる。

内側のタグに、会計年度を示す“97”の印字が確認できる。
生産時期の短さから希少性は高い…はずなのだが、ヴィンテージマーケットでは現時点において、いまだ価格も高騰しきっておらず、比較的お手頃なプライスで手に入れられる可能性も。しかも今なら貴重なデッドストックを手にするチャンスも残されているため、購入を考えているなら迅速な行動が求められる。
なお、本稿で紹介する個体のサイズは“SMALL-SHORT”。アメリカ軍のサイズ表記はわかりやすく、身幅のサイズと着丈のサイズ表記の組み合わせとなっているので、自分好みのサイジングも探しやすい。ここ日本においては、男性の平均体型170cm前後にマッチしやすい“SMALL-SHORT”や“SMALL-REGULAR”が人気の模様。ライバルも多いため、見かけたら即確保を。

タグには“SMALL-SHORT”の表記が。“SMALL-REGULAR”と“SMALL-SHORT”を比較すると違いがわかる。
同じくオールブラックのカーゴパンツも存在しており、併せてセットアップでの着用も可能。その汎用性の高さを活かして、多種多様なジャンルのアイテムとの組み合わせが楽しめ、ミリタリーウェアのアノニマス(匿名性)な魅力をさらに際立たせた1着である。
(→「BDU 357」のジャケットとパンツをオンラインストアで探す)
魅惑のブラックカラー・ヴィンテージ
〈チャンピオン〉の
「リバースウィーブ」
生産時期が短く、生産数も少ない
レアなチャンピオン
タフな精神はタフなアイテムに宿る。これぞアメカジの根底に流れるマインド。ゆえに前項ではブラックカラー・ヴィンテージなアメカジを紹介する最初の一歩としてミリタリーを取り挙げた。続くアイテムも同じくアメカジ魂を宿すカテゴリー“スポーツ”から。
古着好きであれば、誰もがお馴染みの〈Champion チャンピオン〉のアイコン「リバースウィーブ」のクルーネックスウェットも、人気の高さでは他を圧倒する。当然カラーはブラックだ。
〈チャンピオン〉の「リバースウィーブ」クルーネックスウェットの希少なブラック。
「リバースウィーブとは?」という方は、コチラの記事を! (→「リバースウィーブ」に関する記事はこちら)
本個体は刺繍タグが付いた90年代製で、タグ付きデッドストックとあって希少価値高め。とはいえ「黒のスウェットなんて、ありふれているんじゃないの?」と思ったアナタは早計。ことリバースウィーブのブラックに関していえば、年々相場が高騰中のレアアイテムなのである。

タグ付きのデッドストックという、今では貴重な1着。
今でこそ世に溢れるブラックカラーのスウェット。しかしチャンピオンにおいて定番色としてラインアップされていたのは、1967〜1972年頃前後のわずか5、6年といわれている。
その理由は、かつてスポーツの世界でブラックがタブーであったことに関係する。「審判が着用する色なので、プレイヤーが着用すると瞬時の判断に差し支える」「死や恐怖といったネガティブなイメージを連想させる」。これらの実利的・心理的理由から忌避され、カレッジカラーやチームカラーに採用されづらくオーダー数も少なかったため、1970年代初頭に一旦レギュラー落ちしたと考えられる。これには「黒の染料が酸化しやすく避けられていた」という事情もあったとか。
その後、ブラックカラーのリバースウィーブは復活するも、他カラーよりも個体数が少なく自ずとレアカラーに。本稿の個体のようにブラックでデッドストックともなると、そのレア度はさらに増すのだが、こちらはさらに希少価値の高い通称“目無し”というスペシャル中のスペシャル。

左胸に“Cマーク”の刺繍がないタイプを、通称“目無し”と呼称する。
ブランク(無地)で販売する目的で製造されたリバースウィーブの左胸に、お馴染みの“Cマーク”が刺繍されるようになったのが1983年頃。この刺繍がないものはプリント用に製造されたボディなのだが、プリントされないまま販売された個体が稀に存在し、通称“目無し”と呼称され、そのシンプルなルックスがアクセサリーや他アイテムを引き立ててくれると珍重される。
味わい深く墨黒へとフェードした個体を狙うのもまた良し。
つまり本個体は“ブラック×デッドストック×目無し”の役満に、“サイズXX-LARGE”という裏ドラが乗った、スーパーレアアイテムというワケだ。そうなると普段着として着用するのははばかれるが、程良く墨黒にフェードしたモノや味深いダメージがあるモノなら気軽に楽しめるし、まだまだ出会いのチャンスにも期待出来る。ディグにトライする価値は十分にあるだろう。
(→〈チャンピオン〉の黒い「リバースウィーブ」に関する別の特集記事は、こちら)
(→〈チャンピオン〉の黒い「リバースウィーブ」のスウェットやパーカーをオンラインストアで探す)
魅惑のブラックカラー・ヴィンテージ
〈ビックマイク〉の
「ブラックシャンブレーシャツ」
当時から生産数が少なかった、
通称“黒シャン”
アメカジ4大カテゴリーの中から、ミリタリー、スポーツに続くのが“ワーク”。昨今のブラックカラー・ヴィンテージ人気を牽引するアイテムの一角、通称“黒シャン”にフォーカスする。
“シャン”とはシャンブレーシャツを指し、基本的には経糸にインディゴブルーなどの色糸、緯糸に白糸を交互に交差させて平織りした生地のこと。パッと見こそデニムとよく似ているが、より薄手で軽く、通気性に優れているのが特長。その経糸に黒やグレーに染めた糸を用いて完成するのがブラックシャンブレーシャツだ。最大の魅力は、異なる色の糸が混ざり合うことで生まれる、独特な“霜降り(ごま塩)”模様にある。ワークウェアらしい無骨さを漂わせながらも、ブルーシャンブレーにはないモダンでシックな印象を与えるため、大人の着こなしにも馴染みやすい。

緯糸に白糸を交互に交差させて平織りしたブルーシャンブレー
ブランドは、1890年にアメリカ・イリノイ州で創業した老舗ワークウェアブランド〈BIG MIKE ビッグマイク〉を選んだ。農業や林業などの過酷な環境で働く労働者に向けて、タフで高品質なウェアを提供し続け、1950年代には〈BIG YANK ビッグヤンク〉や〈BIG MAC ビッグマック〉などと並ぶブランドにまで成長を遂げるも1980年代に姿を消し、現在は日本で復刻されている名門だ。
通称“黒シャン”の中でも通好みな〈ビックマイク〉の「ブラックシャンブレーシャツ」。

独特の“霜降り(ごま塩)”模様が堪らない。
こちらの個体は1950年代のヴィンテージと思われる。ネコ目ボタン、フラップなしの両胸ポケット、裾の両サイドにはマチ付き、おまけに裾の裏には“ユニオンチケット”まで残っており、通にはたまらない本格的なワークディテールが満載。古き佳き時代のアメリカ、そして同地で働くワーカーたちに想いを馳せるには、これ以上ない資料といえよう。


フロントは定番のネコ目ボタン。フラップなしの両胸ポケットだけでなく、裾両サイドにはしっかりマチ付き。しかも裾の裏には“ユニオンチケット”まで。
また黒シャンは、当時の生産数自体が圧倒的に少なかったとされる。これは当時、ブルーシャンブレーが主流で、特注や限られた用途でのみ生産されていたことが要因であると考えられる。また汚れが目立ちにくいという利点から、主に油染み・汚れにさらされやすい鉄道員や自動車整備士などに供給されていたため、状態の良い個体の残存数が少ないのもレア化の理由。
以上のことからヴィンテージ市場で激減しているため、状態の良い個体や自分に合うサイズを見つけたら、リプロダクトでないかを十分に確認した上でゲットを推奨する。
(→「ブラックシャンブレーシャツ」をオンラインストアで探す)
魅惑のブラックカラー・ヴィンテージ
〈カーハート〉の「ダブルニーパンツ」
どれほど穿き込めば褪色するか
分からないほどのタフネス
続いてもワークカテゴリーからもう1着。『knowbrand magazine』でも過去に紹介した、アメリカはデトロイト生まれの王道ワークウェアブランド〈Carhartt カーハート〉の出番だ。名作は数あれど、ボトムスカテゴリーにおける代表的モデルといえば「ダブルニーパンツ」。定番のブラウンダックも捨てがたいが、今回フォーカスするのは“都会的でスマートな印象”と“ワークウェアらしい無骨さ”、そんな相反する要素を併せ持つブラック。
〈カーハート〉の名作ボトムスといえば、タフネスの代名詞でもある「ダブルニーパンツ」。
正式名称は「DOUBLE FRONT WORK DUNGAREE ダブルフロントワークダンガリー」。その名の通り、膝部分の生地が⼆重(ダブルニー)に補強された男ゴコロをくすぐるタフなヤツ。しかし「ダンガリーって、あのデニムとかシャンブレーに似た生地のこと?」と疑問符も浮かぶ。たしかに経糸に白糸、緯糸に色糸を使った、丈夫で薄手の綾織りコットン生地の名称でもあるが、カーハートでは、丈夫で耐久性のある生地から作られた作業用パンツを指す。ならいいか。
ダンガリーを名乗るだけあって12オンスの極厚なコットン・ダック生地を採用し、耐久性の高さは折り紙つき。両サイドにはハンマーループやツールポケット、リベット補強など、ペインターパンツとしての本格的なディテールも完備。バギーで無骨なシルエットは、ストリートから大人のアメカジスタイルまで幅広く対応する。
両サイドにあしらわれたループやポケットなどのディテールも堪らないポイント。
写真のように着込まれて墨黒に褪色したブラック フェードの風合いは何物にも変え難い。事実、近年のヴィンテージ市場において1990年代〜2000年代USA製の個体が、極めて高額で取引されていることは周知の通り。リアルワーカーが汗水垂らしながら穿き込んだからこそ生まれるエイジングは、人工的な加工では決して再現出来ないまさに一点モノの風格。
フェードした墨黒と新品のブラック。この風合いこそがブラックカラー・ヴィンテージの真骨頂。
ここでウンチクをひとネタ。ヴィンテージのカーハートは、内側のタグに印字された日付コードを見ることで年代識別が可能。特に識別が容易なのが1997年以降のタグで、月を表す2桁と年を表す西暦の下2桁で、計4桁の日付コードが記されており分かりやすい。

タグ左上の4桁“0709”表記。ここから2009年07月製というのが容易に読み取れる。
年代によって記載スタイルが異なるが、ショップで購入する際に1つの基準にしてみるのも面白い。このように細部までこだわり紐解いていく工程もまた、ヴィンテージならではの楽しみだ。
フラッシャー付きのUSA製もいまならまだ入手可能。漢なら、まっさらピンから穿き倒したい。
状態の良いフェード個体は枯渇の⼀途を辿っているため、手が届く内に押さえておくべきだが、今ならまだUSA製でまっさらブラックのダブルニーも手に入る。これをイチから穿き倒して自分好みに育てるのも一興ではあるが、タフな素材なのでなかなか褪色しない。そんなインスタントではない融通の効かなさもアメリカ物らしさであり、我々モノ好きをくすぐるポイントなのだ。
(→〈カーハート〉の「ダブルニーパンツ」に関する他の特集記事は、こちら)
(→〈カーハート〉の黒い「ダブルニーパンツ」をオンラインストアで探す)
魅惑のブラックカラー・ヴィンテージ
〈エル・エル・ビーン〉の
「ボート・アンド・トート」
日々の生活に溶け込む
ヘビーデューティー・バッグ
先述したアメカジ4大カテゴリーの最後を飾るのが“アウトドア”…なのだが、ここでは趣向を変えてウェア以外からピックアップ。前項までで紹介してきたブランドにも負けず劣らず人気が高く、『knowbrand magazine』でもお馴染みの〈L.L.Bean エル・エル・ビーン〉。バッグの名作「Boat and Tote ボート・アンド・トート」のブラックを用意した。が、その前に同アイテムについておさらい。
こちらは〈エル・エル・ビーン〉の名作「ボート・アンド・トート」の定番ナチュラルカラー。
ヘビーデューティーなトートバッグの金字塔として今も愛され続ける、通称“ビーン トート”。その原点は、文字通り“氷を携帯する”ための布袋であった。電気冷蔵庫の先祖にあたる氷入り木製ボックス「アイスチェスト」に使用する氷を、家まで運ぶためのギアをルーツとする。
手を離しても自立するほど分厚い24オンスのコットンキャンバス生地はすこぶる丈夫で、溶ける氷が漏れ出さないよう底部は二重に補強。ルックスのみならず、頑強かつ無駄のない設計にも古き佳きアメリカが香る、タイムレスな名作といえよう。
人気は定番のナチュラルカラーだが、昨今のヴィンテージ市場ではネイビー×グリーンやレッド×ネイビーといったツートーン配色の「デラックス・ボート・アンド・トート」も話題に。だがいざ探してみると意外と見つからないのが、潔く黒一色に染められたソリッドな個体。
フロントポケット付きでステッチの白が絶好のアクセント。両方を並べると雰囲気の違いもよく分かる。
ご覧のように黒ボディに白ステッチのアクセントが効いている。もちろん、アメカジ・ラバーが泣いて喜ぶ“MADE IN U.S.A.”。ディテールと生産時期から紐解くに、どうやら本個体は別注された本邦未発売品もしくはカスタムオーダー品と考えるのが正解だろう。

アメカジ・ラバーが泣いて喜ぶ“MADE IN U.S.A.”の記載。
モノを気兼ねなく放り込める大きなオープントップも健在。日常使いから小旅行まで対応できる大容量ラージサイズだけに、その収容力も相当なもの。さらにレギュラーモデルには見られないフロントポケットが配置されているのも実利に繋がる嬉しいポイント。こんなちょっとした違いもスペシャルの証。
大容量のラージサイズ+フロントポケットで実用性も高い。
先述したカーハートのダブルニーパンツよろしく、タフな黒のキャンバスボディは使い込むほどに表情豊かに育っていき、定番カラーやツートーンとは⼀線を画すシックな佇まいは、周囲と被ることのないマイ・スタンダードとなり得る。「日々の生活に溶け込むブラックカラー・ヴィンテージといえば?」と問われれば…答えは言わずもがな。
(→〈エル・エル・ビーン〉の「ボート・アンド・トート」に関する別の特集記事は、こちら)
(→〈エル・エル・ビーン〉の黒い「トートバッグ」をオンラインストアで探す)
魅惑のブラックカラー・ヴィンテージ
〈レッドウィング〉の
ナイフポケット付き
「エンジニアブーツ」
漆黒の夜空に輝く星をイメージ。
“無駄こそが美しさ”
「お洒落は足元から」なんて百万遍擦られたお題目をアメカジに当てはめるならば、スニーカーが定番。だがしかしブーツもハズせない。
90年代のあの頃に、誰もしもが憧れた〈RED WING レッドウィング〉が令和の今リバイバル中。ならば定番「エンジニアブーツ」の出番…といっても色はブラックがスタンダード。「だとしたら本稿で取り上げるには違和感が…」なんて声に備えて、今回はちょいとツイスト。世紀末1999年に登場した「ミッドナイトシリーズ」のエンジニアブーツ「RW-8280」なんていかがだろう。
〈レッドウィング〉のレアモデル「RW-8280」。「ミッドナイトシリーズ」というだけに黒にバックルが映える。
アッパーにブラッククロームレザーを採用している点は定番「RW-2268」と同じだが、本モデルはソールが大きく異なる。男気溢れる分厚い〈vibram ビブラム〉製の“ロガーソール”を搭載したヘビーデューティーな仕様に変身。これによりソールまでブラックで統⼀された男ゴコロをくすぐる精悍なルックスに。
ソールは、ヘビーデューティーな〈ビブラム〉製のロガーソール。タフネスにも拍車がかかる。
対して、こちらは定番の「RW-2268」。よく見るルックスはこれぞアメカジ、これぞ渋谷チーマーの足元。
“ミッドナイトシリーズ”という名称は、黒光りするレザーボディとシルバーバックルの配色が、漆黒の夜空に輝く星をイメージさせるということで付けられた。なんともロマンチックではないか。「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない」というのは、とあるハードボイルド探偵の台詞。硬軟織り交ぜてこそ、タフガイはより魅力的に輝くのだ。
ディテールをもう少し深掘ろう。内タグの刺繍タグには、アメカジ・ラバーも納得の“PT91”の表記。PTとは「Protective Toe」の略号でスティール・トゥの安全規格を、91は1991年規格をそれぞれ指している。このPT91の特徴としては、現行モデルに比べてシャフトが細く、履いた際のシルエットも抜群に美しい点が挙げられる。古の人々が北極星を旅の頼りとしたように、ビギナーはこの4桁をディグの指針とすると良い。
アメカジ・ラバーなら心惹かれる4桁のナンバー“PT91”。
そして本モデルの最大の特徴が、右足アウトサイドのナイフポケットと左足インサイドの小物用ポケット。現代社会の、それも日本で着用するには無駄ともいえるディテールだが、そこがまたイイ。東方の言葉をサンプリングするならば「無駄こそが美しさ。機能だけじゃない無駄な部分こそがファッションであり、モノ好きにはたまらない」。これぞ、異端にして至高の名作といえよう。
右足にナイフポケット。左足に小物用ポケット。使い道は少ないが、あればなんとなく嬉しいディテール。
ちなみに、ナイフポケット仕様のエンジニアブーツにはソールが通常仕様の「RW-8270」もあるが、そちらも個体数が少なくファン人気も高い。加えてミッドナイトシリーズは生産期間の短さから、年々レア度も上昇中。またエンジニア以外にもナイフポケット付きのロガーブーツ「RW-8198」も存在しており、こちらも同じくレアモデル。どのモデルを選ぶにせよ、幸運にもマイサイズと出会えたら即GET指令発動待ったなし。
(→〈レッドウィング〉の「エンジニアブーツ」に関する熱の特集記事は、こちら)
(→〈レッドウィング〉の「RW-8280」をオンラインストアで探す)
第一次ブーム時と比べて異常ともいえるほどの価格高騰に疲れ果て、戦線離脱を表明する人も増加。一方で数寄者たちはお宝求めて青天井。そんなこんなで混迷極めるヴィンテージ市場。
それでも「古着を愛し、離れがたし」と言うならば、持っておきたいのが希少価値に踊らされず己の価値観でモノを選ぶシン(審)美眼。とはいえ進むべき先への道標は欲しい。本稿において取り挙げたアイテムの中には一部入手困難なモノもあれど、どれもまだ常識的な価格で入手が叶うモノばかり。ぜひ参考にディグりGETされたし。
とかなんとか、甘美な悪魔の囁き。その先に一歩でも足を踏み入れたら最後、二度と戻れぬ奥深き漆黒の沼が広がっているーー。
最後までお読みいただきありがとうございます。
今後のコンテンツづくりの参考にさせていただくため、よろしければ簡単なアンケートにご協力ください。

