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The king of watches, ROLEX

実用性と機能性を追い続ける腕時計界の王者、ROLEX。その「進化」と「真価」を知る。

2017年10月30日。

ニューヨークのオークションハウス「フィリップス」で、1本の腕時計が落札された。 そのオークションは、開始から約12分で決着。

落札額は1,780万ドル。日本円でおよそ20億3,000万円という信じがたい金額だった。

1本の腕時計として史上最高額となったこの腕時計。 同時にそのブランドもまた、腕時計界の頂点であると改めて認識されることになったはずだ。

その時計とは、「コスモグラフ デイトナ Ref.6239」。世界的名優であるPaul Newman ポール・ニューマン本人がかつて愛用していた正真正銘の実物であった。

モノトーンの配色とシンボリックなインダイヤルのデザインが美しい、エキゾチックダイヤルと呼ばれる文字盤が特徴のこのデイトナ。同型のモデルには「ポール・ニューマンモデル」という通称まで付き、プレミアム化している彼のアイコン的存在の腕時計だ。

その時計を生みだしたメーカーが、「ROLEX ロレックス」。

腕時計によほど興味がない方ですら、一度くらいはその名前を耳にしたことがあるはずだ。

先の20億円の落札価格は、ポール・ニューマン本人が愛用していたというプレミアムも加わった極端な例ではあるが、近年ロレックスの腕時計は、ヴィンテージから最新モデルまであらゆるモデルにおいて、その相場が上昇し続けている。 高級腕時計でありながら日常使いも似合うブランドとして日本でもすっかり定着しているロレックスだが、その腕時計としての本当の価値は、どれほど理解されているのだろうか。

今回『knowbrand magazine』では、そんなロレックスというブランドにフォーカスして、腕時計としての「進 化」の歴史を辿って行くことで、その「真価」に迫ってみようと思う。

ROLEXの誕生。

ロレックスはスイスを代表する腕時計メーカーとして知られているが、その歴史の始まりは意外なことに英国ロンドンにあった。1905年、24歳のドイツ人ハンス・ウイルスドルフと義兄弟のデイビスがロンドンにて設立した時計販売専門商社「Wilsdorf and Davis Co. ウイルスドルフ&デイビス」がその前身とされている。

当時はまだ懐中時計が一般的な時代。宝飾性の高い腕時計は存在はしていたものの、時計としての精度という面ではサイズの大きい懐中時計に及ばなかった。その一方、懐中時計は時刻を知るためにいちいち取り出す必要がある上、両手が塞がってしまい利便性の面で劣っていた。

「利便性」の高い腕時計に懐中時計並みの精度という「機能性」を兼ね備えることができれば、「実用性」を高めることができ、必ず人気となるに違いない。若き2人はそれを予見し、ほどなく自社において懐中時計並みに精度の高い腕時計の製造開発を開始した。

そんな彼らが自社の腕時計に初めて「ROLEX」という名前を冠したのは1908年のことだ。

どの言語でも発音がしやすく、短く、記憶に残りやすい響き。それと同時に、時計に刻印した際にも美しく栄える綴り。そんなブランド名にするべく、あらゆるアルファベットを組み合わせながら、数百通りの名前を考え抜いた。そんなある朝、創業者ハンスがロンドンで乗合馬車の2階席に座っている時に「ROLEX」という5文字の名前がひらめいたという。

そして1915年にはその社名を「ROLEX Watch Company ロレックス・ウォッチカンパニー」に変更。その後1919年には拠点をロンドンから時計産業の中心であるスイスのジュネーブに移し、翌1920年「Montres ROLEXSA モントレ・ロレックスSA」を設立。

これが、今日まで続くスイスの時計メーカー、ロレックスの黎明期であった。

第一の進化 時計の基本機能である
「精度」の向上。

現在においては「時計は正確な時間を刻むもの」ということは当然のように思われているが、ロレックスが創業された100年以上前には、小さな腕時計で高い精度を保つためには、並々ならぬ努力と品質管理が必要だったことは想像に難くない。

ロレックスは、まずムーブメントの「精度」を保つため、工場における品質管理に力を注いだ。

時計の性能を決めるひとつの基準となるのが「クロノメーター」と呼ばれるものだ。もともとこれは航海用の時計に関する規格で、いわば時計が高精度であることを保障した「規格」「認定」であり、その規格に合格し、認定された「時計そのもの」を指す言葉でもある。つまり「クロノメーター」とは、厳格なテストをクリアした時計のみ与えられる「称号」であるともいえる。

1890年には懐中時計の検定も始まったが、1910年、ロレックスは腕時計として世界で初めてスイスクロノメーター歩度公認検定局からクロノメーターの公式証明書を獲得した。

その4年後の1914年には、航海用のクロノメーターのみに与えられる「A級証明書」をイギリスにて獲得。このことが評判を呼び、ロレックスの精度の高さや機能性はヨーロッパ中に知れ渡ることとなる。

現在では、スイス公認クロノメーター検査協会が定めた、15日に渡る厳しい試験に合格したムーブメントだけがクロノメーターと認められることとなっているが、ロレックスの文字板には、真のクロノメーターであることを意味する以下の言葉が刻まれている。

“SUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED” 「最上級のクロノメーターとして公式に認定済」

100年以上前からロレックスに与えられてきたこの「クロノメーター」という称号は、その技術と品質管理の結晶といえるものなのだ。

第二の進化「防水性」を高めた
オイスターケースの開発。

腕時計としての基本性能である精度を高めたロレックスが次に乗り越えるべき課題は、防水性だった。当時の時計にとって、故障の原因となる湿気や水は、まさに脅威といえるものだったからだ。

その課題に対してロレックスが出した答えが「オイスターケース」であった。

金属魂をくりぬくことで作られた、継ぎ目の無い画期的なケースに、防水性を高めるねじ込み式のリューズを組み合わせた完全防水のケースを開発し、スイスで特許を取得。牡蠣の殻のように固くとじることで水の侵入を防ぎ、ムーブメントを完璧に保護する堅牢なこのケースの腕時計は「OYSTER オイスター」と名付けられた。

1926年に誕生したこの時計は「世界初の防水時計」となり、それまでの腕時計の歴史を塗り替えたのだ。 翌1927年、若き女性スイマー、メルセデス・グライツは、このロレックス オイスターを着用してドーバー海峡の横断泳に挑戦。15時間で横断に成功した後も、この時計は狂うことも止まることもなく動き続け、その防水性が証明されたのである。

こうして「オイスター」はロレックスの代名詞とも言えるモデルとなったのだ。

第三の進化 「自動巻き上げ」を実現した
パーペチュアル機構。

当時の腕時計は、側面のリューズを手で回し、動力源であるゼンマイを巻き上げる手巻き式が一般的。 防水性を高めるためにそのリューズをねじ込み式としているものもあったが、ゼンマイを巻き上げた後にリューズをねじ込み忘れてしまい、浸水してしまうということも多かったようだ。

そこでロレックスは、更なる進化を目指す。 ゼンマイの自動巻き上げ機構の開発だ。

半円形のローターというパーツが360度回転することにより、自然な腕の動きだけで自動的にゼンマイを巻き上げるその機構は、「永久」を意味する「PERPETUAL パーペチュアル」と名付けられ、特許を取得した。

1931年に開発されたこの独創的な機構は、現在のあらゆる自動巻腕時計の原点となり、ゼンマイ巻き上げの手間をなくすとともに、浸水に対する不安までも同時に解決することとなった。この「パーペチュアル機構」もまた、ロレックスの成し遂げた偉業といえるだろう。

第四の進化「デイトジャスト」の開発で
腕時計はひとつの完成形を迎える。

1945年。夜中の0時になるとダイヤルの小窓に表示された日付表示が瞬時に変わる「デイトジャスト」と呼ばれる機構をロレックスが開発。この機構が開発される以前には、デイト部の表示が回転するのには時間がかかっていたため、日付を確認しづらいということがたびたび起こっていた。

この実用的かつ画期的なデイトジャスト機構は、ロレックスというブランドの評価をさらに上げるとともに、他メーカーはロレックスの技術に追随していくことになる。

腕時計の基本となる「精度の高さ」、そして比類なき技術力により加えられた「オイスターケース」「パーペチュアル機構」「デイトジャスト」という画期的な機能。ロレックスの前身となる「ウイルスドルフ&デイビス」の設立から40年の時を経て、

ロレックスが目指してきた「実用性」と「機能性」が共存する腕時計が、ひとつの完成形を迎えたといえる。

「陸」「海」「空」を制する
プロフェッショナルウォッチを
開発することにより、さらなる高みへ。

1950年代初頭、ロレックスは登山、深海探検、飛行など、陸・海・空の様々な過酷な環境に挑む各界のプロフェッショナルと手を組み、更なる進化を推し進めることになる。

それは時計に時刻を刻む以上の機能を持たせ、様々な機能を兼ね備えたツールであるプロフェッショナル ウォッチを開発するための大いなる試みであった。

「陸」を制した頑強な「EXPLORER」。

機能性と実用性を高い次元で実現するロレックスは、標高数千メートルの極寒の山々に臨む登山家たちにも支持されることとなる。

1953年、世界最高峰であるエベレストの山頂に、人類で初めて到達したエドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイ。この2人が携行していたのが、ロレックスのオイスター・パーペチュアルだったという。

同年ロレックスは「冒険者」を意味する「EXPLORER エクスプローラー」を発表。これまで何人もの登山家たちが挑戦しながらも成し得なかった彼らの偉業を称えるとともに、さまざまな冒険家たちの生の声をとりいれたモデルである。

シンプルかつタフなオイスターシリーズの中でも、極限の寒さや気圧など様々な悪条件にも耐えうる最も頑強なモデルであり、時計としての最も重要なポイントである視認性も高めた時計として、今日に至るまで「陸」の冒険者たちを支え続ける傑作が誕生したのだった。

「海」を制した100m防水の「SUBMARINER」。

エクスプローラーが発表された1953年。「海」を活躍の舞台に、ロレックスからもう一つの傑作が誕生する。 それが「SUBMARINER サブマリーナ」だ。

オイスターケースを発明して以来、ロレックスにとって「防水性」は、自社のアイデンティティでもあった。油田探索など世界の海底調査が活発化してきた1950年代、過酷な水圧にも耐えうる防水性を備えた、プロフェッショナルダイバーのための特別な時計として開発されたのがサブマリーナである。

世界で初めて水深100mまでの防水性を備えた時計として誕生したこのサブマリーナは、ロレックスを代表するモデルのひとつにして、もはやアイコン的存在ともいえよう。簡単に潜水時間を知ることができる回転ベゼルのデザインと、深海でも視認性の高い黒の文字盤と蓄光インデックスの組み合わせは、その後さまざまな時計メーカーがリリースするダイバーズウォッチの原型となった。

実用性と機能性の高さはもちろん、他社が追随するほど完成されたデザインのサブマリーナという腕時計には、驚きを隠すことができない。

「空」を制した回転ベゼルの「GMT MASTER」。

この回転ベゼルのアイデアを応用し、ロレックスは「空」においてもその存在感を示すことになる。

ジェット旅客機が誕生し、飛躍的に航続距離が伸びていった1950年代。タイムゾーンをまたぐ国際線旅客機の発展を目前に控え、時差のある二つの都市の時刻を同時に知る機能が求められることは必然であった。

そこでロレックスが「世界で最も高い経験値を持つ航空会社」と呼ばれるパンナム航空と協力体制の末、1955年に完成させたのが「GMT MASTER GMTマスター」である。

GMTとは「Greenwich Mean Time」すなわち「グリニッジ標準時間」の意。24時間表示の回転ベゼルとGMT針、独立可動する短針との組み合わせにより、二つのタイムゾーンを瞬時に確認できるこの時計は、パンナム航空のオフィシャルウォッチとなり、航空関係者や時計ファンの憧れの的となった。

他を圧倒するその存在感。
最高峰モデル「DAYTONA」の誕生。

アメリカのフロリダ州 デイトナ。

世界のトップドライバーたちが最新のマシンを操り、スピードの限界に挑戦する、ドラマチックでありながら過酷なモーターレースの中心地である。ロレックスは、この地に1959年に完成したサーキットコース「デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ」の公式パートナーとなった。

そして1963年。ロレックスは、耐久レースを走るドライバーのためのストップウォッチ機構を有した 「COSMOGRAPH コスモグラフ」を発表。優れた堅牢性と防水性を備え、タキメーターべゼルでは平均速度の計測が可能なロレックス唯一のクロノグラフモデルであるこのモデルは、同年のうちに「DAYTONA デイトナ」の名称を冠するようになる。この地名のつけられたネーミングは、スイスの会社であるロレックスがアメリカ進出を意識したものだったとも言われている。

前述した、愛用のロレックスが20億3,000万円で落札された名優ポール・ニューマン。俳優としてトップスターであった彼は、自身が製作に関わった映画「レーサー」がきっかけとなり、カーレースにのめり込み44歳にしてプロのレーサーとなった。危険なレースに挑むその腕には、妻から送られたデイトナが巻かれていたという。

このデイトナは、その高いクオリティと独創的なデザインからロレックスのラインナップの中でも特にステイタスシンボルとなっている。腕時計マニアならずともファッション好きや自動車愛好家からも憧れのモデルであり、まさに名実ともにKING OF ROLEXということができるだろう。

より深く、よりタフに。
「SEA-DWELLER」の舞台は深海へ。

サブマリーナというダイバーズウォッチの代名詞モデルを生み出したロレックス。だが、さらなる深海ダイバーのニーズに応えるべく、1967年には大深度潜水に対応可能な「SEA-DWELLER シードゥエラー」を開発。

このケースには画期的なヘリウム排出バルブが搭載された。ヘリウムガスによる加圧が必要な大深度潜水の後、浮上の際に時計内部に入り込んだヘリウムガスが膨張してしまい時計に損傷を与えてしまうことを、この機構で克服したのだ。これを機に、ダイバーズウォッチは、飛躍的な進化を遂げるとともにさらにタフさを増し、新たなステージに突入したのだ。

プロフェッショナルの求める
シビアな要望に応えることで、
王者ロレックスはさらに進化を続ける。

登山家、レーサー、パイロット、潜水士……過酷な環境に挑み続ける、プロフェッショナルの最も近い場所に存在し、彼らの挑戦を支え続けてきたロレックス。

そんなプロフェッショナルたちの意見に耳を傾け、圧倒的な技術と精度を持って彼らの求める腕時計を実現し続けることで、ロレックスは「進化」を続けてきた。

プロフェッショナルとは、「探究者」とも言い換えることができるが、その意味において、ロレックスの存在そのものが「探究者」ということができよう。
いまなお「進化」の只中にある探究者が創り出す腕時計だからこそ、ロレックスには「真価」が宿っているのかもしれない。

憧れにして定番。

高級品にして、あくまで実用品。

現存しながら、すでに伝説。

その王冠のロゴ同様、まさに腕時計界の王者と呼ぶにふさわしい存在。

それがロレックス。

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