FASHION

圧倒的存在感と絶対的タフネス。男の背中に〈ミステリーランチ〉。

1年遅れで開催された「世界的スポーツの祭典」も幕を閉じ、2021年が半分以上過ぎてなお、抑制を迫られる日々に終わりは見えない。そんなあらゆる行動が制限されている中で、我々は旅やレジャーのみならず、日々の通勤・通学・出張といった“移動”そのものへの渇望感を抱きながら生きている。だからこそ今、声を大にして言いたい。たとえまだ時期尚早でも、この不安が払拭されるその時に備えて、我々は用意しておかなければならない!と。

といっても何を?もちろん移動時の相棒となるリュックサック・バックパックに他ならない。求めるスペックは、どんなに荷物を詰め込んでも運びやすく機能的で、どんなにラフに扱ってもへこたれない堅牢性。となれば選択肢は自ずと限られてくる。軍人やハンター、森林消防隊に登山家といった過酷な環境下で活動する、文字通り“背負っているものが違う”男たちが認めるそのブランドの名は〈MYSTERY RANCH ミステリーランチ〉。

世界最強の米軍特殊部隊も認める
タフネスブランド設立のキッカケは、
愛娘のあるひと言。

以前にも『knowbrand magazine』では、リュックサック・バックパックの代表的ブランドと、その傑作たちを紹介してきた。全てまごうことなき“本物”であり、魅力的なモノばかりだったが、その中でも〈MYSTERY RANCH ミステリーランチ〉は、そのどれよりも独創性に富んだブランドと言える。では、どこが独創的なのか?まずは日本語に直訳すると“謎の牧場”という不思議な名前を冠したブランドが歩んできた歴史を知るところから始めよう。

(→リュックサック・バックパックに関する別の特集記事は、こちら) 

物語の始まりは1978年。創業者はデイナ・グリーソンとレネー・シペルベイカーの2人。パック修理職人であったデイナが、バックパックブランド〈Kletterwerks クレッターワークス〉を立ち上げた際に、縫い子として雇われたのがレネーであった。こうして始まった2人の関係は、その後もプロカメラマン向けのブランドを立ち上げるなどして、信頼と時間を重ねていく中で、より強固なものへと変わっていく。そして7年後の1985年、のちに伝説のブランドとまでいわれる〈Dana Design デイナデザイン〉が設立される。

革新的なアイデアと機能を搭載した同ブランドのアイテムが、登山家たちから極めて高く評価されるようになったことを受けて、1995年に事業規模を拡大。さらなる成長のために「アンソニー・インダストリーズ(現・K2)」にブランドを売却し、デイナ自身も1998年に完全にデイナデザインから退き、早々にリタイア宣言(ブランドは終了→復活の紆余曲折を経た後、現在は消滅)。こうして悠々自適なセカンドライフを送っていた2人だが、デイナが娘のアリスからヒップバッグの製作をせがまれたのを機に、再びモノづくりの世界へとカムバック。

この時の、完成したバッグを手にしたアリスの「これステキじゃない!」というひと言に背中を押され、2000年に満を持して設立されたのがミステリーランチである。ブランド名の由来は、デイナが子供の頃に好きだったTVのモノクロ西部劇『ザ・ラジオ・ランチ』から着想を得たものだという。ちなみに、この時のヒップバッグのディテールが、のちに特許も取得した画期的なウエストベルトシステムの原型となり、現在のラインアップにも脈々と受け継がれている。

閑話休題。こうしてアウトドア市場に舞い戻り、その実力を遺憾なく発揮してゆく2人の前に、再び大きな転機が訪れたのは2004年。ミステリーランチはその実力を買われ、ネイビーシールズ(アメリカ海軍特殊部隊)の依頼で、軍事契約モデルとして特別仕様のバックパックの製作を請け負うことに。この時に得られたデザインや構造・技術などの知見が民間用プロダクトにもフィードバックされ、以降ブランドを、よりタフで機能性に満ちた唯一無二の存在へと導いていくのであった。 

「SWEET PEA スイートピー」
謎の牧場が生んだ、
黒いスイートピー。

では、ここらでいよいよ、ミステリーランチが生み出した傑作モデルの数々を見てゆくとしよう。肝心要の1発目とあらば、ブランドの象徴たるモデルを挙げないわけにはいかない。ミステリーランチを知る者が、その名を聞いてまず思い浮かべるディテールの1つに、Y字型が極めて珍しい「3ジップアクセス(テクニカルY字ジップ)」があるそしてそのブランドの象徴ともいえる独自のジップシステムを採用したモデルこそが、この「SWEET PEA スイートピー」。』

「SWEET PEA スイートピー」は、3ジップアクセスを初採用したモデルとして知られる。
重量:1.6kg/容量:33L/3辺サイズ:46cm×29cm×22cm/素材:500デニール コーデュラナイロン

特徴的な3ジップアクセスによって、開口部を大きく広く確保でき、バッグの中身が即座に出し入れ可能下部に収納されているアイテム取り出す際のアクセスも容易。またユーザーの体格や背面長に合わせて上下のポジションを無段階に調節、固定することで、オーダーメイド感覚フィット感得られるフューチュラヨークシステム」を採用している点も見逃せない。さらに重ねて言えば、タウンユースで邪魔になりがちなウエストベルトサイドに格納可能という点にも、優れたユーザビリティが感じられる。要は扱いやすいバックパックということだ。

コンパートメントの内側にはミステリーランチの厳格な品質管理を示す「クオリティーコントロールタグ」が。現在は手書きではなくプリントに変わってしまったが、それでも品質管理の厳しさは何一つ変わらない。

ちなみにモデル名は、ブランドの地元モンタナ州ボーズマンで開催されているアートの祭典「スイートピー フェスティバル」に由来する長年続く同イベントのように、多少のマイナーチェンジはしつつも、基本構造・デザインえることなく作り続けられる、まさに名品。……なのだが本国アメリカのカタログでは、すでに廃番になっている模様。次に紹介する「3DAY ASSAULT 3デイ アサルト」と同容量かつデザインも酷似しているからと推察できるが、ここ日本での人気は根強い。ゆえに国内代理店の「A&F」毎シーズン、本国サイドに頼み込んで作ってもらっているのだとか。日本市場との関係性が強いミステリーランチらしいエピソードだ。 

「3DAY ASSAULT CL
3デイ アサルト クラシック」
最強レベルのオーバースペックを、
デイリーユースに。

ミステリーランチは、この「スイートピー」をベースにもう1つの象徴的モデルを誕生させた。その名は「3DAY ASSAULT 3デイ アサルト」3日間の作戦遂行を想定した設計思想のもと開発され、製造もミルスペック準拠。現実的にデイリーユース可能なモデルの中では最高峰と位置付けられている。そしてさらに、同モデルを軍用調整して開発されたのが「3 DAY ASSAULT BVS 3デイ アサルト BVS」。このBVSとは「Bolster Ventilation and Stability system」の略で、兵士たちがボディーアーマーを装着した際でも優れたフィット感を発揮すると同時に、左右の揺れを軽減し、背面の蒸れを解消する一連の機能を指す。先ほど述べたネイビーシールズの依頼で製造された特別仕様のバックパックというのが、これに当たる。だが今回紹介するのは、このモデルをデイリーユース用にアップデートした「3DAY ASSAULT CL 3デイ アサルト クラシック」

ミステリーランチを象徴するもう1つのアイコン「3DAY ASSAULT CL 3デイ アサルト クラシック」。CLは「CLASSIC クラシック」の略。
重量:2.1kg/容量:30L/3辺サイズ:56cm×34cm×24cm/素材:500デニール コーデュラナイロン

“クラシック”とは謳っているが、ポーチやアタッチメントが取り付け可能な正面の「デイジーチェーン」に加え、両サイドには3列の「ウェビング」トップ部分にはIDやパッチ用の面ファスナーを完備するなど、先鋭化したタフネスデザインほぼ踏襲。その上で、日常において完全にオーバースペックなBVS機能などをオミット。その代わりに、コンパートメント内部にノートPCや書類を収納するためのPC/ドキュメントスリーブを設置し、機能の足し・引きを行った結果、ビズシーンでも活躍する使い勝手の良さを手に入れることに成功した。

ポーチやアタッチメントを取り付け可能な、正面の「デイジーチェーン」に加え、両サイドには3列の「ウェビング」を装備。

トップにはIDやパッチ用の面ファスナーも。通常は所属部隊のパッチなどを付けてカスタムされる。

また同じくデイリーユース化にあたり、ウエストベルトを本体に格納可能な小型タイプに変更するなどして、「3デイ アサルト」の難点とされる重量も軽減されているこれに「フューチュラヨークシステムによフィッティング最適化も相まって、荷物をパンパンに詰めた状態でも快適な移動が可能に。いついかなる場面でもサバイブ出来るような、武骨なバックパックをお探しならば、これ以上ない選択といえよう。

「URBAN ASSAULT 21
アーバンアサルト21」
高品質・低価格を実現させた、
日本市場向けアーバンモデル。。

ここ日本において、根強く残るメイド・イン・アメリカ信仰。古くからのミステリーランチ愛好家たちにもその傾向は見受けられ、リセールマーケットでアメリカ製にこだわって探す人は多い。だが、たとえアジアンメイドでも、品質を維持しながら価格を抑えることができれば、それに勝るものはないのでは?次に紹介する「URBAN ASSAULT 21 アーバンアサルト21」は、そんな疑問符に対するミステリーランチからの返答。生産地をフィリピンなどの東南アジアに移管することで、品質を維持しながら定価2万円以下をキープ。日本市場向けに開発された人気モデルだ。

デイリーユースに最適なサイズ感に、アイコニックなディテールを備えた「URBAN ASSAULT アーバンアサルト21」。
重量:0.9kg/容量:21L/3辺サイズ:51cm×25cm×22cm/素材:500デニール コーデュラナイロン

 

ご覧のように、通勤や通学といった日常シーンにおいて必要十分なサイズに、ベースがミルスペックを備えたアサルトシリーズゆえの「3ジップシステム」を搭載。開いた両側に現れるメッシュポケットが、迷子になりがちな小物類をしっかりと収納し、内部背面に15インチのノートPCやタブレットが収納できるスリーブまで完備。機能面においては十二分。むしろお釣りが返ってきて然るべき。また「フューチュラヨークシステム」こそ無いものの、厚みのあるショルダーハーネスで肩への負担が軽減され、その背負い心地の良さたるや、もはや過分とさえ思えるレベル。

“大は小を兼ねる”とか“備えあれば憂いなし”なんて言葉も意に介さず、本モデルでは、デイリーユースでは使用頻度の少ない機能を削ぎ落すという潔さで、美しく洗練された飽きのこないデザインを実現。これよりもひと回り小型の18リットル仕様はよりコンパクトで、女性が持つにも程よきバランス。どちらを選んでも間違いはないだろう。 

 

「BOOTY BAG ブーティーバッグ」
何だって入れられる、
なんでもない2WAYバッグ。

容量18リットルの「アーバンアサルト」でもまだ大きい。もっとシンプルでラフに使えるバッグがないものか?「BOOTY BAG ブーティーバッグ」はそんな声に応えてくれる。モデル名は“戦利品”を意味し、モンタナ州ボーズマンで開催される映画祭用に作られスーベニアバッグを起源とする外出先で手に入れた獲物を出し入れするのに適した間口の広いデザインが特徴的で、トートバッグとして手持ちで使うもよし、リュックのように背負って使うもよしという、便利な2WAYタイプ。

開口部が大きく開き、なんでもラフに突っ込んで取り出すのも簡単な「BOOTY BAGブーティーバッグ」。
重量:0.4kg/容量:16L/3辺サイズ:26cm×43cm×15cm/素材:500デニール コーデュラ

先だって特徴として挙げた広い間口部分は、荷物を入れて背負うことで自動的に閉じ、背面上部に荷重がかかる仕組みとなっている。このシンプルながらも考え抜かれたギミックに話が及ぶと「開口部が開きっぱなしは如何なものか」と気に病む人も現れるが、そこもご安心を。内部にしっかりジップポケットが配備され、鍵などの紛失しやすい小物の収納だってドントコイ。

ついでにいえば背負い心地もバッチコイ。身体に触れる背面にパッドを仕込むことで得られる適度なクッション性は、無駄と満足感を等価交換。もう1つ付け加えるなら、使用パーツがすべてアメリカ製というのが、さり気なく、とはいえ確実に嬉しいポイント。ミニマムなバッグだけに、ソリッドな無地ではなく、あえて個性の強いカモフラ柄をセレクトして冒険してみるとなおのこと良し。

「RIPRUCK 24 リップラック24」
アリスパックの意匠を踏襲し、
現代的にアップデート。

アメリカ軍が1960年代より長年に渡って制式採用してきた通称「ALICE PACK アリスパックと呼ばれるバックパック90年代にB-BOYたちの間でも流行していたこのアイテムをモチーフに生まれたのが、その名が示すように容量24リットルと日常使いに丁度良いサイズ感ながら、先述の「アーバンアサルト」以上に武骨かつ、ミリタリーテイストに味付けされた「RIPRUCK 24 リップラック24」である 

米軍御用達「アリスパック」の現代版ともいえるのが、この「RIPRUCK 24リップラック24」。
重量:1kg 容量:24L 3辺サイズ:47cmx28cmx25cm 素材:330デニール ロービック

コンパクトな造作の本体は、収納部を大きく2つに分割1つスピーデーに開閉できるように設計されたリップジップデザインのメインコンパートメント。内部には小物の整理に活躍するスリーブやメッシュポケットが配置され、上部フラップ部分にはマグネットを仕込み、閉じるのフラップのズを防ぐ働きをする。もう1つは、背面側にある独立したPCスリーブ。今や、あって当たり前のディテールだが、引っ掛かりが最小限に抑えられるように設計されているため、荷を容量以上に詰め込んでいてもスムーズな動作で取り出すことが叶う。 

フロントポケットも上部の開口部と同じく、ジップ式とマグネット式のハイブリッド。

さらに、フロント下部には「アリスパック」の外装的特徴の最たるものである、小型ポケットが左右に1つずつ。こちらのフラップ部分もマグネット付きのリップジップデザインとなっており、同じく開閉はすこぶるイージー。メイン素材に、軽さと強度のバランスが非常に優れた330デニールの「Robic ロービックを採用しているため総重量も軽く、収納力は見た目以上。週末のワンデイトリップのお供にも適役。もちろん、出掛けられるようになったらの話だが……。

「3-WAY 3-ウェイ」
場面に応じて自在に姿を変える、
汎用バッグ型決戦兵器。

さて、本稿で紹介するアイテムもこれにてラスト。ここまでのモデルに共通するのが、機能性の追求により導き出されたタフなディテールで構築されたミリタリーデザインだったわけだが、最後は少々アプローチを変え、ビジネスという戦場で戦う人々にとっての心強き味方となるモデルをピックアップ。自身の置かれた状況に応じて、手持ちのブリーフケース、肩掛けのショルダーバッグ、そして背負いのバックパックと、3通りの使い方を可能としたユーティリティ性の高い人気作。ゆえにモデル名は、直球ヒネリなしの「3-WAY 3-ウェイ」

「3-WAY 3-ウェイ」は、ブリーフケース、ショルダーバッグ、バックパックと3通りの使い方が可能。
重量:1.2kg/容量:22L/サイズ:43cm×30.5cm×25cm → 拡張時サイズ:43cm×30.5cm×32cm

バックパック時に必要となるショルダーハーネスも、それ以外の場面では背面部にすっきり格納。また、ビジネスシーンで求められる機能的な収納に関しては、メンコンパートメントとPCスリーブ部分セパレートにすることで見事クリア。フロント側の収納部にも、マグネットで開閉がしやすいバックルとリップジップを用いることでアクセス容易。ちなみにこれらのパーツは信頼のドイツ製。そう聞いただけで、思わず脊髄反射的に評価2段階アップ必至。

バックパック時に使用されるショルダーハーネスは、それ以外の場面においては背面部に格納される。

マグネットで開閉するバックルとリップジップを用いることで、フロント側の収納部にも容易にアクセスできる。

メインコンパートメントはジッパーの開閉によって容量の調整が可能。拡張した際には5リットルも容量が増える。

また、本作における最大のセールスポイントが、メインコンパートメントにあしらわれたジッパーに他ならない。これを開閉することで最大5リットルもの容量アップを実現。ちょうど1泊分程度の容量が増やせるため、急な出張にもいつものバッグを携えてフレキシブルに応じることが可能となる。

本来、人間は生きていくために“移動”し続ける生き物である。学ぶため、仕事のため、旅するため……目的や理由がなんであれ、森を、山を、街中を、思うがまま移動し、様々な場所に行き、帰り、出会いと別れを繰り返す。

安心して出掛けることさえままならず、足踏みし続ける日々に終わりを告げ、一日も早く在りし日の日常が戻ってくることを切に願う。

そして“究極のバックパック”とも称されるミステリーランチに背中を押してもらい、我々は進むのだ。とりあえず今日より明日へ、その先の未来へ。 

 

 

ONLINE STORE
掲載商品は、代表的な商品例です。入れ違いにより販売が終了している場合があります。