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枯渇化必⾄!こだわるならUSA製オールド〈STÜSSY ステューシー〉を! 【後編】コーチジャケット・カウチンセーター・スタジャンetc.

迸る熱量とグッドセンスを起点とする局地的ムーブメントが、ぐんぐんと勢力を増すハリケーンのように旋風を巻き起こし、強力な賛同者とともに世界を変えていく。

何かと喧しいSNSの産声すら聞こえない1980年代から、〈STÜSSY ステューシー〉は真のインフルエンスであり続けた。そして今、彼らの足跡は波にさらわれることなく伝説化。「OLD STÜSSY オールドステューシー」という名の下に、新たな栄誉まで付与されている。

とりわけブランドのお膝元であるアメリカで作られたそれらは、フリークが血眼で探すコレクタブルアイテムへと変貌。時を経て醸造された恒久の魅力とは裏腹に、時計の針は止まらない。酔狂な白髪の科学者がタイムマシンでも発明しない限り今後ますますの枯渇化は避けられず、指を咥えて雷撃を待つ猶予は与えられていない。

さて、準備はいいだろうか。Tシャツやスウェットを中心に紹介した【前編】に続き、後編ではよりヘヴィな秋冬の主役たちをピックアップしよう。念のため繰り返す。我々に残された時間は、決して多くないのだ。

枯渇化必⾄!
USA製のオールド〈ステューシー〉
ストリートの⼤定番
「OUTER GEAR アウターギア」の
コーチジャケット

とはいえ、本格的な冬の到来はしばし先。直近で手に取るならライトアウターこそが大本命だという意見は一理ある。そういった堅実な向きにまず提案したいのが、コーチジャケットという選択肢。ストリートで不動の⼈気を誇るライトアウターは、〈STÜSSY ステューシー〉の定番アイテムとしても著名。その点、ビギナーでも狙いやすいアイテムといえよう。

大定番のコーチジャケットにおいても、カーキカラーの1着は着回しやすく手に取りやすい。

そもそもコーチジャケットという名称は、野球やアメリカンフットボールなどのコーチが着⽤していたことに由来。デザイン的には⼀枚襟とスナップボタンの仕様を特徴とする、シンプルかつ着脱が容易なスポーツウェアである。

選手に比べて運動量が少ないコーチ陣のために作られたことからも明らかなように、防寒着として優れた性能を持ち合わせる。身体の動きを妨げることなく軽いうえに寒風を通さないナイロン製の生地なども、首脳陣にとっては都合がいいのだろう。

左胸のロゴ内側にはフラップ付きの隠しポケットを設置するなど、遊び⼼あるギミックが散見。

さらに、コーチジャケットというアイテムには特定のチームメンバーであるという意味合いが込められる。つまり“属する”という行為を証明する名刺がわりでもあるわけだ。

以上を踏まえたうえで本作を見てみると、光沢を控えたハリのあるナイロンボディが落ち着いたカーキカラーと調和。着回しが効く大人顔の1着に仕立てられている。

ショーンフォントという独自デザインによる左胸のロゴ。バックにも同じロゴが堂々と鎮座。

ただし主張ははっきり、そしてセンス良く。左胸と背中にはそれぞれボディと同系色のブランドロゴが刺繍され、着用者がステューシーを愛する一員であることを高らかに謳う。その“声明文”が、創業者ショーン・ステューシーが生み出した「ショーンフォント」と呼ばれる無二の書体で描かれることも実に象徴的だ。

背タグと内側タグはどちらもショーンフォントにて。「OUTER GEAR」は、その名の通りアウターに多く見られる表記。

なお、背タグにも同じくショーン・フォントで「Stüssy OUTeR GeAR」と刺繍される。ボディ内側に縫い付けられたもうひとつのタグには、USA製の証明も堂々と。口数はさほど多くなくとも、確実に要点を伝える。そんな名コーチのような存在でもあり、“トライブ”のユニフォーム的地位も確立する。やはり、名作に違いない。

(→「コーチジャケット」に関する特集記事はこちら)

(→〈ステューシー〉の「コーチジャケット」をオンラインストアで探す)

枯渇化必⾄!
USA製のオールド〈ステューシー〉
真冬の味⽅
「STÜSSY OUTDOOR
ステューシーアウトドア」の
「N-3B」型フライトジジャケット

続く三連発は、すべてが重量級のタフアウター。その栄えある先頭を飾るのは、1990年代を代表するブランドのアウトドアライン「STÜSSY OUTDOOR ステューシーアウトドア」から放たれたN-3Bタイプ のフライトジャケットだ。

アメリカ空軍由来のタフなフライトジャケット「N-3B」をベースに、独特なストリート風味を添付。

1950年代半ばにアメリカ空軍で採⽤された極寒地仕様のフライトジャケットであるN-3Bをベースとし、ステューシーらしいストリートユースなデザインにアップデート。ミリタリーを象徴するカーキカラーのラインが添えられ、シックなブラックナイロンがリズミカルに踊り出す。

首周りに配されたまだらな表情のファーは、防寒だけでなくヒップなアクセントとしても機能。視認性を高めるレスキューオレンジの裏地とともに冬服をちらりと彩るディテールが、着用者のスタイルを雄弁に語るのだ。

⾒慣れないデザインながら、意外にもTシャツやバッグといったアイテムにも使⽤されたシリーズタグの⼀種。

より細部に目を凝らしても、ミリタリーウェアへのリスペクトとオリジナリティに満ちた仕掛けの融合を確認できるだろう。左袖のシガーポケットに付属したピスネームと呼応するように仕立てられた右腕のワッペンには、ショーン・ステューシーの頭⽂字を反転させた“SSリンク”を組み合わせたウィングデザインを採用。左胸のふたつのピンズも高揚感を煽る。

胸元のピンズと左袖のピスネームが品良く主張。右袖には“SSリンク”のウィング型ワッペンを配置する。

左右均等に置かれたフロント胸元の八の字ポケット、その両サイド下部に配された深めのフラップポケットなど、実⽤性が高いN-3B本来のディテールも踏襲。ゆったりとしたシルエットもオリジナル同様で、ルーズ復権の色濃いモダンストリートにも違和感なく馴染んでくれる。

背タグは、筆記体で書かれたお馴染みのロゴと、筆記体ではない「STÜSSY OUTDOOR」の表記が横並びになった珍しいルックス。その傍で、アメリカ国旗とともにMADE IN U.S.A.の文字が燦然と輝く。

フライトジャケット」に関する特集記事はこちら)

(→〈ステューシー〉の「N3-B型フライトジャケット」をオンラインストアで探す)

枯渇化必⾄!
USA製のオールド〈ステューシー〉
本場で生まれた
〈カナディアンセーターカンパニー〉
別注カウチンセーター

次にフォーカスを当てるアウターは、実のところアメリカ製にあらず。だからと言って本物の風格はかすまない。なにせ、“本場”の空気感にこだわったカナダメイドのカナディアンセーターなのだから。

風格のある素材感と軽快なデザインワークが融合。リミックスに定評のある、ステューシーの面目躍如だ。

ふっくらとしたウールのニット生地をアーシーな優しいバイカラーで彩るこちらは、1977年創業の〈CANADIAN SWEATER COMPANY カナディアンセーターカンパニー〉とのコラボレーションアイテム。同社はカナディアン固有の文化を継承することで知られ、カナダ・バンクーバーで開催された2009年の冬期オリンピックでは、カナダ代表選手のユニフォームセーターを手掛けている。

背タグとストラップに〈カナディアンセーターカンパニー〉の名が記載され、フロント内側にはステューシーの小さなピスネームが⼊る。

厚く、丈夫で、撥水性と防寒性に優れる。古くからカナダ・バンクーバー島の先住⺠「カウチン族」が狩猟の際に纏っていたカウチンセーターの安心感はそのままに、ステューシーならではの遊びが効いたインパクトデザインを注入。途端、目から鱗の温故知新が実現した。

二重ラインの先には若干のほつれが。これもまた、愛着の湧くオリジナルの要素に。

左胸には「7」のナンバリングを携え、背⾯にはCHANEL シャネルのココマークを想起させることから“シャネルロゴ”の通り名でも親しまれる“SSリンク”を装着。両方の袖口を飾るラインにも、フォークロアなテイストをアクティブ&フレッシュに傾ける工夫が見て取れる。

時を超える傑作だけに、袖口をはじめ細部には相応のダメージも。ただしそれすらも愛すべき風情へと変えてくる、ヘビーデューティな相棒だ。

「カウチンセーター」に関する特集記事はこちら

(→〈ステューシー〉の「カウチンセーター」をオンラインストアで探す)

枯渇化必⾄!
USA製のオールド〈ステューシー〉
「I.S.T」のスタジャンは、
世界で繋がるトレンドリーダーの証

早いもので、本稿も間もなく幕引き。トリを飾るに相応しい前後編合わせて9つ目のアイテムとして、ステューシーをキング・オブ・ストリートに引き上げた象徴と言っても大袈裟ではない超マスターピースをご覧いただこう。

ブランドの数ある傑作のなかでも、特に重鎮的オーラを醸すスタジャン。「I.S.T」の刺繍⼊りはとりわけアイコニック。

ずばり、スタジャンである。アメリカ野球をルーツに持つスタジアムジャンパー(和製英語。アメリカではアワードジャケットやバーシティジャケットと呼ばれる)は、前述したコーチジャケット同様に“所属する組織へのリスペクト”を体現するウェアでもある。

その大前提は、1990年代後半から展開した「AUTHENTIC GeAR」名義の本作にも漏れなく。しかも、左胸の“Sクラウン”のシニール(シェニール)下部に「I.S.T」刺繍が備わるとなれば、”着属“本能はことさらに刺激されるはずだ。

“Sクラウン”と“シャネルロゴ”。ともにブランドを代表する銘モチーフが、両胸を賑やかに彩る。

前編で述べたことのリワインドとなるが、ISTとは「International Stüssy Tribe」の略称。ブランドの生みの親であるショーン・ステューシーが繋げた、感性やスタイルが共鳴する仲間たちとのコミュニティを意味する。

ミュージシャン、スケーター、写真家、デザイナーなど、ジャンルの垣根を超えて馳せ参じた眩いばかりのクルーたち。その光輝く導きが、フォロワーの拡大を急加速させる。つまりISTの覚えめでたき本作は、ステューシーファミリーと交わす盃と同義なのである。

スタジャンのクラシックなディテールを活かしつつ、袖のラインをラスタカラーに変更。

ISTが掲げた仲間とのつながりや⾃由な精神性は、スカ及びラスタ⽂化のメッセージとともに表現される。背⾯に位置する⼤きなSSリンクのサークル周囲にはラスタカラーが配され、上半円に「international STÜSSY TRIBE」、下半円には「FEELIN IRIE INNA SKANKIN STYLE PEACE」の⽂字が。否が応にも気分が高まる。

キルティングの裏地。国旗⼊りのUSA製タグと、⼩さなブランドタグの姿も見て取れる。

アメリカのローカル・ビーチに端を発し、全世界のストリートに蔓延したピースフルでグルーヴィなヴィールス。常識や枠組みといったワクチンでは依然、この熱は冷ませやしないのだ

(→「スタジャン」に関する特集記事はこちら

(→〈ステューシー〉の「スタジャン」をオンラインストアで探す)

1990年代後半に一度は危機に陥りながらも、見事に大復活。再びストリートシーンの最前線に躍り出たステューシーには、消費者だけでなく同業者からも貪欲な眼差しが向けられている。2020年に行われた〈Dior ディオール〉とのシェイクハンズはその最たるもので、2022年には〈Dries Van Noten ドリス・ヴァン・ノッテン〉とも協業を果たした。

仲間たちと手を取り合い、より刺激に満ちた世の中へと平和的に変えていく。アパレルブランドの枠を超えたカルチャーブランドの今後のフレッシュな取り組み、そしてその根幹を色濃く表現したオールドステューシーから、もう二度と目が離せそうにない。

(→「枯渇化必至!こだわるならUSA製オールド〈STÜSSY ステユーシー〉を!【前編】」はこちら)

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