STÜSSY
世界を席巻するストリートのアイコン。その始まりはサーフボードに描いた自由なるサイン。
1980 | CALIFORNIA,USA | Shawn Stussy
単なるブランドではない。もはや、ひとつのカルチャーであり、ムーブメントである。俗にいう「ストリートブランド」の草分けとして、40年以上にわたりシーンの頂点に君臨し続ける〈STÜSSY ステューシー〉だ。その歴史は、カリフォルニアの太陽が降り注ぐビーチから、創業者である一人のサーフボードシェイパーの情熱によって始まった。
物語の始まりは1980年のカリフォルニア・ラグナビーチ。サーフボードシェイパーであったショーン・ステューシーが、自ら削り出したサーフボードに、自分のファミリーネーム「STÜSSY」を殴り書きのようにサインしたのがその原点だ。一説にはショーンの叔父である抽象画家のヤン・フレデリック・ステューシーのサインから着想を得たともいわれるグラフィティのような自由で躍動感のあるロゴは、後に世界中を席巻することになるステューシーの象徴となる。
当初、ショーンは仲間たちのためにTシャツを制作したに過ぎなかった。プロモーション用に作ったロゴ入りのTシャツを、サーフボードの販促品として配っていたのだ。しかし、そのクールなデザインは瞬く間にサーファーたちの間で評判を呼び、くしくもアパレルブランドとしての道を歩むことになる。
1980年代後半になると、ステューシーはサーフという枠を飛び越え、スケートボードやヒップホップ、クラブカルチャーといった、当時アンダーグラウンドで生まれつつあった新しいストリートの波と共鳴していく。ニューヨーク、ロサンゼルスにショップを構えると、その人気はさらに加速。「ショーンフォント」と呼ばれる特徴的な文字で綴られるメッセージや、「8ボール」やシャネルのロゴを模倣した「Sロゴ」など彼らの生み出す象徴的なデザインのプロダクトは、単なる“イカした”衣服ではなく、時代を表現するメディアそのものでもあった。
このムーブメントの中心には、「International Stüssy Tribe インターナショナル ステューシー トライブ(IST)」と呼ばれる、世界中のクリエイターたちの存在があった。後に裏原宿カルャーを牽引し、いまも世界中を魅了することになる藤原ヒロシもそのひとり。インターネットが存在しない時代、感度の高い彼らISTがステューシーのアイテムを着用し、その魅力を体現することで、ブランドのメッセージはリアルな熱量をもって世界へと拡散されていったのだ。この有機的な繋がりこそがブランドの核心であった。
1996年、創設者のショーン・ステューシーは家庭を優先するため、ブランドの第一線から退く。しかし、彼の蒔いた種は、揺るぎないブランド哲学として深く根付き、そのクリエイションは決して止まることはなかった。
サーフボードへの何気ない手描きのサインから始まった伝説。ステューシーは、常に時代の半歩先を読み、様々なカルチャーを飲み込みながら、独自のスタイルを確立した。それは、ストリートブランドという概念そのものを創造したと言っても過言ではない。その自由な精神は、今なお色褪せることなく、世界中のファッションシーンにインスピレーションを与え続けている。

