INTERVIEW
ーそのルーツと思い出の一足ー

グッドウォーキン 上田歩武 × MFC STORE 近藤浩人 「スニーカー沼」にハマった男(たち)のスペシャル対談【前編】

セカンドストリート原宿店で、7月26日(金)〜8月4日(日)まで出店され、大盛況のうちに幕を下ろしたPOP-UPショップ「2nd STREET POP-UP “NIKE ARCHIVE”」。

今、読者諸君が読んでいる『knowbrand magazine』の世界観をリアルな空間で具現化し、表現・発信することで、より多くの方々に“モノの価値を知る楽しみ・喜びを体験・体感して頂く”べく企画されたこのPOP-UP ショップ。

そのキックオフを記念してオープン前日に開催されたトークイベントの様子をリポート。

貴重な〈NIKE ナイキ〉アーカイブに囲まれて過ごす一夜の宴。

会期中は店内もスペシャル仕様にディスプレイ。一歩足を踏み入れるとそこは、ナイキナイキナイキナイキ……〈NIKE ナイキ〉オンリー約2,000足!国内外で最もファンの多い「AIR JORDAN エア ジョーダン」と「AIR MAX エア マックス」の2大シリーズを中心に、アメリカの店舗から厳選した日本未発売モデルから、ショップやブランドが仕掛けた入手困難のコラボモデルに、インラインの人気モデルまでが広く深くラインアップ。

もちろん激レアと称されるモデルはほぼ揃う。ガラスケースの中には〈Off-White™ オフホワイト〉×〈NIKE ナイキ〉の「THE TEN ザ・テン」コレクションや〈Supreme シュプリーム〉とのコラボモデルなど、プレアミアムすぎる逸品が鎮座。まさに眼福というに相応しい。

残念ながら非売品ではあるものの、ケースに入って展示された貴重なアーカイブモデルも必見。歴史的価値のあるエア ジョーダン1のオリジナル、「NIGHT TRACK ナイトトラック」の希少な復刻版、裏原宿ムーブメントの中で猛威を振るった「AIR FORCE1 エア フォース1」の名作コレクション。コレクター垂涎のお宝がそこかしこに。ブランドの歴史を知るためにも、これ以上なく有意義な空間があるだろうか? と時間が経つのも忘れて店内に見入っている内に、気付けば時刻は既に19時。

抽選によって選ばれ、特別招待された幸運なカスタマー30名が続々と会場入り。用意した30個のイスが瞬く間に埋まっていき、司会を務めるスポーツタレントの新岡 潤さんがステージに登壇。続いてゲストの〈MFC STORE〉ディレクター近藤浩人さん、お笑い芸人 グッドウォーキンの上田歩武さんが呼び込まれて、いよいよイベントスタート!

スニーカーフリーク同士なら分かる“あるある”ネタも続々飛び出し、トークはのっけから大盛り上がり。様々な話題が飛び出す中、リユースショップに関する話題も。二人とも「よくチェックしている」ということで、その魅力をカスタマー側とショップ側という各々の視点から語る。「買い逃したモデルが見つかったりする!」という上田さんの言葉に、「セカンドストリートは相場よりも安い!」と続ける近藤さん。

そこでお二人に「売り場に並んでいる中から本気で欲しい1足をピックアップしてもらう」という展開に。上田さんは〈NIKE SB ナイキSB〉×〈Diamond Supply Co. ダイヤモンド サプライ〉の「DUNK HI SB TIFFANY ダンク ハイ SB ティファニー」をセレクト。近藤さんは「Union×Nike Air Jordan 1 Retro High OG NRG ユニオン × エアジョーダン1 レトロ ハイ OG NRG」を片手に、このプレミアムモデルの魅力を熱く語った。

そして気になる「スニーカー業界のハナシ」にもクローズアップ。元・チャプター ディレクターの近藤さんに「1番並びが出たモデル」のことや「別注モデルが誕生するまで」の話を聞く。すると、スニーカー芸人の中でも随一の知識量を誇り、自らも「知識と情熱が自分の武器」と語る上田さんだけに、話が進むにつれ徐々にヒートアップ。
そこで上田さんの知識と情熱を試すべく「スニーカー マニアッククイズ」に突入! 近藤さんから出題されたクイズに、上田さんが2問連続正解すれば、見事「気になる1足の先行購入権」が手に入るというシンプルなルールだ。

1問目は「エア ジョーダン1の画像を見て、リリース年を答える」というもの。簡単なようで意外に間違えやすいこの問題を、上田さんは余裕で正解! 続く2問目は「ナイキ エア マックス95 OGのイエローグラデのミッドソールからシューレースホールまでの、グラデーションパーツが何段かを当てる」という難問。記憶の中の画像を頼りに正解を導き出すからか、ここで苦悩の表情を浮かべる上田さん。2つまで絞った正解候補のうちどちらか? 意を決して導き出した答えに対し、無慈悲に鳴り響く不正解のブザー音。ここで試合終了。悔しがる上田さんに対し、ニヤリとほくそ笑む近藤さんに、場内も爆笑。

「スニーカー マニアッククイズ」で大いに盛り上がったと思えば、トークイベント自体も終了間近。最後にゲストの二人に「今後のスニーカー業界に期待するコト」を一言ずつ頂き、イベントは無事終宴の時を迎えた。さて、ここまででイベントリボートは終了。

今回『knowbrand magazine』では、さらにイベントにご登壇いただいたゲスト2名によるスペシャル対談をイベント前に敢行! TV や雑誌にWEBと各メディアで取り上げられて、もはやスニーカー・アディクトなら誰しもが知る彼らのスニーカー・ルーツから、最近のフェイバリット、最後はスニーカーに惹かれる理由まで。自由気ままにスニーカーについて語った30分をギュッと濃縮してお届けする。

 

右:近藤浩人(こんどう・ひろと)
1985年生まれ。東京都出身。2007年に株式会社テクストトレーディングに入社。スニーカーセレクトショップ〈CHAPTER チャプター〉のショップスタッフやプレスを経て、ディレクターに就任。現在は同社を退職し、2018年5月に自身がプロデュースするセレクトショップ〈MFC STORE エムエフシー・ストア〉を中目黒にオープン。スニーカーとファッションの橋渡しをするインフルエンサーの一人。Instagram:@hiroto_kondo

左:グッドウォーキン 上田歩武(ぐっどうぉーきん うえだ・あゆむ)
1980年生まれ。滋賀県出身。20歳で大阪NSCに入学(23期生)したのち、コンビ、ピン活動を経て、グッド良平と共にお笑いコンビ「グッドウォーキン」を結成。スニーカー同好会所属のスニーカー芸人としての顔の他に、刺繍芸人としての顔も持ち〈GOOD WALKIN グッドウォーキン〉の名で、刺繍キャップを製作したりセレクトショップとコラボをするなど、ファッションシーンでの活躍の場を広げている。Instagram:@uedaayumu

スニーカーに目覚めたキッカケは、とにかくその格好よさ。

―TVや雑誌、ウェブ媒体など色んな所でお話されていると思いますが、今回はイベントに先駆けて、改めてお二人にお話を伺いたいと思います。そもそもお二人がスニーカーに目覚めたキッカケは?

上田 僕は1980年生まれの現在38歳なんですけど、中1の頃がちょうどJリーグ開幕年(1993年)だったこともあり、サッカー部に入部したんですよね。だけど、当時人気だった漫画『SLUM DUNK スラムダンク』の影響で、バスケ部が履いているバッシュが格好良いなぁって思うようなっていって。それでサッカー部でありながら『月刊バスケットボール』と『HOOP』を毎月購読するっていう(笑)。

―それはもちろんバッシュ目当てで?

上田 そうです(笑)。当時の雑誌ってページの柱(ページの天地左右に残された余白部分)にバスケットボール専門店なんかの広告が載っていたんですけど、完全にソレ目当てでしたね。そこから『Boon』などのファッション誌を読むようになって、徐々にファッション目線で好きになっていきました。

―中学〜高校という1番ファッションに興味を持つ年頃に、ナイキの「AIR MAX95 エア マックス95」の大ヒットから始まる「第一次ハイテクスニーカーブーム」が直撃したということですよね。

上田 そうですね。

近藤 僕の場合なんかはまさに、そのエア マックス95がキッカケですね。当時は小学生だったんですけど、学校でもあまりにも流行っていたので履いてくるとイタズラされたりして……結果、「エア マックス着用禁止」という校則が出来たくらいでしたからね。なので、ファッションの中でも服よりも先にスニーカーに興味を持ったし、スニーカー=格好いいと認識するようになり、「いいスニーカーを履きたい」っていう想いが強まっていきました。

親からもらった散髪代が「AIR JORDAN 5」に変わる。

―なるほど。では、お二人は最初に買ったスニーカーって覚えていますか?

上田 僕は〈adidas アディダス〉の「SUPER STAR スーパースター」ですね。でも、ことナイキで言うなら、アレかなぁ……。中学のバスケ部時代のチームメイトに結構年齢の離れた兄ちゃんがいるヤツがおって。その兄ちゃんが「AIR JORDAN 5 エア ジョーダン5」を持っていると。しかも当時1番人気だった黒×銀ですよ! 「もう履かへんから、上田くんいる?」って。しかも5000円で!

―当時はジョーダン5の黒銀なんてプレミアムスニーカーの代表格の一つだったじゃないですか? それがとんでもない破格値で!?

上田 ですよね! でもソレには理由がちゃんとあって、アウトソールが剥がれちゃっていたんすよね。もちろん「それでもイイから売ってくれ!」と。とはいえ当時、中学生の僕にとっては5000円も十分に大金(汗)。で、どうやってお金を作るかと考えた末に、オカンに「散髪行くからお金をちょうだい」ってウソついて(笑)。もちろんオカンには「えっ、アンタ3000円じゃないの?」って言われたんですけど、ソコはどうにか誤魔化して無事買えました(笑)。

―悪いなぁ(笑)。で、その壊れているジョーダン5はその後、着用したんですか?

上田 一回だけ履いて、そのあとはシッカリ飾っておきました。「ジョーダン5が自分の部屋にある」というだけで十分というか、見ているだけで満足しちゃうんですよね、もはや。

―とはいえ、最初の1足がジョーダン5なんて、当時はモチロン今でだって相当なスニーカー・エリートですよ。

上田 いやいや〜(照れ)。

近藤 いや、間違いなくスニーカー・エリートですって!

上田 まぁ、その時はやっぱりバッシュが全盛期でしたしね。でも今だと、もっと違うところから入った方が良かったのかもしれなかったなぁと思います。幸か不幸か、ナイキ最初の1足がジョーダン5だったことで、その後の僕の人生が運命付けられたというか(笑)。

―近藤さんが最初に買ったスニーカーは?

近藤 僕が自分で「欲しい!」と思って、最初に手に入れたのがナイキの「NIKE WMNS AIR MAX 95 SC black/pool ナイキ ウィメンズ エア マックス95 SC ブラック/プール」。当時はまだ小学生でした。コチラは最近また復刻されたことでも記憶に新しいですよね。もともとブルー系のカラーリングが好きっていうのもあって、上野・アメ横のスニーカーショップにてゲットしました!

―それは〈mita sneakers ミタスニーカーズ〉とか〈山男フットギア〉とかですか?

近藤 いえ、当時はブームだったこともあって、アメ横にも小さなスニーカーショップが今より沢山あって。その中の一つだったと覚えています。あれは1996年だったかな。どうしてもエア マックスが欲しくて父にねだって買ってもらいました。子供ながらに「イエローグラデは高すぎてねだれない!」って感じたんだと思います(笑)。

上田 なんせゼロの桁数が違ってましたもんね(笑)。

近藤 で、なんでウィメンズモデルだったかっていうと、当時はまだ小学生だったので足のサイズも25.5で十分履けたのでサイズも選べたし、プライスもメンズに比べると比較的リーズナブルだったから。そもそも、メンズとかウィメンズとかの違いも分かっていませんでしたし(笑)。

あまりに大事にしすぎて履かずに終わった「AIR MAX」。

―初めて自分で欲しいと思って買ったスニーカーがエア マックス95って、上田さん同様にスニーカー・エリートじゃないですか。

上田 ホンマですよ(笑)! でも、小学校はエア マックス禁止だったんじゃ?

近藤 そうなんですよ〜。校則で履いていけないというのもあるけど、それ以前に大事にしすぎて履くことももったいないと思っちゃって。ただただひたすら大切に、下駄箱で眠らせていたっていう(笑)。

―2人ともただ“愛でるのみ”っていうのが、スニーカーへの偏執的な愛情を感じさせますね。

近藤 「ちょっとでも汚れたら……」って考えると、履いて街を歩くなんてもってのほかじゃないですか! 正直、親は「せっかく買ってあげたのに履かないの!?」ってビックリしていたと思います(苦笑)。

―ちなみに先ほどリーズナブルだったと仰ってましたが、ぶっちゃけお幾らでした?

近藤 3万円くらいだったかな。イエローグラデが当時30万円なんかで取引きされていたのを考えると! ですよ。あくまで。

上田 いや〜当時で3万円のスニーカーを小学生に買い与えるなんて、なかなかですよ。しかも履かへん! っていうんですからね(笑)。

―お二人ともMYファーストナイキが、エア ジョーダンにエア マックスだなんて、このイベントのゲストに適任すぎますね。

上田 まぁ、たしかにそうかもしれないですね。中・高校生の頃って普段は制服じゃないですか? そうなるとスニーカーとバッグくらいなんですよね、オシャレを楽しんだりアピールするポイントって。僕は滋賀県出身なんですけど、世代的にヤンキー=ダサイっていうカウンターカルチャー的な流れがあったので、ヤンキー自体が存在しなかったんですよ。そうなると自然とファッション誌の影響から、アメカジやストリートファッションに染まっていくというか。

―自然な流れですね。

上田 で、次に手に入れたのが〈Reebok リーボック〉の「SHAQ 1 シャック1」。当時のことなのでスニーカーショップではなく、バスケットボール専門店で購入。たしか2万3000円でしたね。

―それもやっぱり親には「散髪に行く」と言って?

上田 そうそう「散髪行く!」って言って5回分くらいかき集めて……って、いやそれはウソですけど(笑)。なんか小遣いやらお年玉やらを貯めて買ったような(笑)。

―ところで、本日は上田さんが「DUNK ダンク」、近藤さんがエア ジョーダン1を履いていらっしゃいますね。

上田 一応、ナイキがテーマのイベントと聞いたので、そりゃ気を遣って履いてきますよ。

近藤 右に同じくです!

(一同爆笑)

スニーカーを愛するオトコたちによる、スペシャル対談という名の放談。思春期の訪れと共にスニーカーに目覚めた二人は、さらにズブズブと底知れぬスニーカー沼にハマっていくこととなる……。

後編へつづく

 

Text TOMMY
Photo Nobuyuki Kawai

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