FASHION
Styling Lecture for Coat

ルーツを学ぶことで知る、自分のスタイルに合ったコート選び。

1日ごとに気温が下がり、いよいよ秋冬の雰囲気が漂ってくると、欲しくなってくるのが暖かいコート。

寒い季節の必需品とはいえ、よりよい品質のものを求めるとなると、ワンシーズンに何着も購入するというわけにもいかないため、ビジネスにもカジュアルにも着まわしが効くコートを探している方も多いはず。

今回は、ベーシックなコートとして5つのタイプをチョイスし、それぞれの歴史的由来からマッチする着こなしを解説する。是非これを参考に、自分のスタイルにあったコート選びの参考にしてほしい。

今旬なカジュアルスタイルにも
ビジネスにも使える「チェスターコート」。

スーツと合わせることを想定して作られており、ジャケットのようなラペルが最大の特徴のこのチェスターコート。正式名称はチェスターフィールドコートと呼ばれ、洒落者で知られるチェスターフィールド伯爵が愛用していたことからこの名がつけられたという。

スーツやジャケットとコーディネートしてフォーマルに使うのはもちろん、ベーシックなシルエットから様々なアイテムとも相性がいいチェスターコート。ここ最近はストリートファッションに合わせることも定番化してきており、スウェットパンツなどを合わせて着崩すのもおすすめだ。

シルエットはストレートやAラインのものが多いが、ウエストを絞ったよりフォーマルな印象のドレスチェスターフィールドと呼ばれるものもある。丈もロング丈から膝上まで幅広いが、迷ったら膝上丈のストレートもしくはAラインシルエットのものを選んでおけば、使い勝手がいいはず。

ビジネスにもカジュアルにも使えるチェスターコートは、ぜひ一着は持っておきたいアイテムといえよう。

写真はLARDINIのチェスターコート。1978年以来、世界に名だたるブランドのアイテムを仕立ててきた歴史を持つイタリアの工房が、1993年から創業者の名を冠して展開しているオリジナルブランドだ。ラペルに挿されたブートニエールと呼ばれる飾りは、LARDINIのアイコンとも言える存在。イタリア製ならではの上質かつ柔らかい風合いと、控えめなAラインの完成されたシルエットは、まさに合わせるものを選ばない。

ミリタリーの機能性が詰まりながら
エレガントなムードの「トレンチコート」。

イギリス軍が第一次世界大戦で採用していたミリタリーコートをルーツに持つトレンチコート。ちなみにトレンチとは塹壕=歩兵が身を守るために使う溝の意味。

このコートには、階級バッジをつけるためのエポーレット、雨だれの侵入を防ぐために右肩に施されたストームフラップ、そして雨風の侵入を防ぎ防寒効果を高める袖口や腰のベルトなど、軍服としてのルーツを感じさせる機能的なディテールが随所に見て取れる。

ジャケットスタイルに合わせる場合は、狭めのVゾーンが強調されるため、シャツ×ネクタイとのコーディネートにも気を配っておきたい。さらにエレガントに仕上げたいなら、ベルトを巻くのもアリ。その際、バックルを使わず軽くベルトを巻くことで、ラフな雰囲気を演出することもできる。

カジュアルに着用するなら、薄手のニットやパーカなどを合わせて、ベルトを外して前開きで颯爽と羽織るのがおすすめ。ロング丈のため、パンツはテーパードのものを選んですっきりと見せたい。

トレンチコートといえば、1856年創業でギャバジンを使ったこのコートを世に広めた、BURBERRYのものはやはりチェックが必要だろう。 こちらはBURBERRYの伝統にモードなエッセンスをプラスし、「前進」を意味するPRORSUMを冠した高級ライン、BURBERRY PRORSUMのもの。あくまで前述のトレンチコートの基本を守りながら、あえて狭めの間隔で配されたボタンがタイトなシルエットを強調し、モードな雰囲気を漂わせる一着だ。

シンプルさが持ち味
ロングシーズン使える「ステンカラーコート」。

薄手で無駄を省いたシンプルなルックスが最大の特徴のステンカラーコートも、ビジネスにもカジュアルにも使えるアイテム。

シンプルなだけに、シルエットを大きく変える袖のつき方の違いが、選ぶときのポイントになる。首もとから脇に斜めに切り替えの入ったラグランスリーブは、肩の落ちたシルエットになるため、リラックスした雰囲気に。肩から脇に垂直に切り替えの入ったセットインスリーブは、肩が張ってスーツのようにかっちりとした雰囲気になるため、よりフォーマルな印象になる。

薄手で軽やかなシルエットを生かして、前開きでシンプルなパーカなどを合わせることで上品カジュアルにも使えるし、チンストラップを使って襟を立てて、メンズライクに着用するのもいい。裏地を着脱することが可能なものを選べば、冬だけでなく春先や秋まで活躍することができる。

選ぶ際にぜひ候補として欲しいのが、1830年創業のスコットランドを代表する老舗ブランド、MACKINTOSHのステンカラーコート。このコートの特筆すべき点が、防水効果の高いマッキントッシュクロスを使用し、防水テープで縫い目からの水分の侵入も防いでいるという点。脇の下のベンチレーションが通気性を高めており、梅雨時などの雨の多い時季にも、ビジネスシーンで重宝するはず。

エバーグリーンで
リラックスした雰囲気の「ダッフルコート」。

北欧の漁師たちが着用した防寒着が起源と言われ、その大きな特徴が寒さをしのげる大きめのフードと、水牛のツノや木などを使ったトグルと呼ばれる留め具のあしらいが特徴のダッフルコート。このトグルは手袋をしたまま着脱しやすいようになっており、船上で風向きに合わせて右前・左前を入れ替えやすくするためと言われている。

オーバーコートとしても着用できるようゆったりとした作りで、ボリュームのあるマフラーを巻いたり、秋冬らしい素材感のパンツを合わせることで、ダッフルコートの魅力がより際立つはず。

ちなみにダッフルコートといえば学生のコートというイメージが強いが、これは学生服である詰襟やセーラー服も海軍の装いをベースにしているため。若々しい雰囲気を漂わせる反面、海軍の労働着というその出自から、カジュアルな装いに向いているコートだ。

近年はトグルのあしらいや素材感など様々なものが登場しており、よりエッジの効いたカジュアルスタイルに使いたいという時には個性的な素材やディテールのものを選ぶのも良いのではないだろうか。

数あるダッフルコートの中でも、最も「らしい」ものといえば、写真のGLOVERALLのダッフルコートだろう。1951年創業で、英国海軍のダッフルコートを販売することから始まり、良質の素材と美しいシルエットにこだわった自社ブランドを確立することで世界的な人気を得るに至った、英国を代表するブランドだ。厚手のメルトン生地はもちろん、水牛の角と本革のループを使ったトグルに、英国らしさを漂わせるチェックの裏地と、まさに王道のダッフルコート。丈夫な素材でシルエットもしっかりしているため、一生モノと呼んでも差し支えのない名品と言えよう。

ショート丈とタイトシルエット
メンズライクに仕上げたいなら「ピーコート」。

フランス・ブルターニュ地方の漁師たちの仕事服や海軍の作業着がルーツとされるピーコート。Pコートとも表記されることがあり、この名前はオランダ語のpij jekker=メルトン素材のダブルコートが由来とされる説と、Pが錨の爪を意味するという説がある。

錨が刻まれることも多い大きなボタンと、右前・左前どちらにも対応できるダブル仕立てが特徴。これもダッフルコート同様、船の上で風向きに合わせてコートの合わせを変えるためのディテールだ。大きめの襟も特徴で、チンストラップを使って襟を立てて着用することでより防寒効果を高めることができる。

ショート丈でタイトなシルエットのため、カジュアルなアイテムとの相性は抜群な反面、ダッフルコートと同様に海軍の装いをルーツにしているため、学生のコートというイメージが強く、ビジネスでの使用は避けたほうがいいアイテムといえる。

オーセンティックでありながらディテールの効いたデザインがお好みの場合は、こんなNigel Cabournのピーコートはいかがだろう。 1971年に同名のデザイナーによって立ち上げられたNigel Cabournは、同社がコレクションする膨大なミリタリーやビンテージウェアをベースに、リアルなアウターウェアを作り続けているブランドだ。そんなNigel Cabournだけに、ベースとなるボディはあくまでベーシックなピーコートでありながら、随所に用いられた肉厚のレザー素材や袖口のアジャスターベルトのあしらいが、より男っぽい印象を強めている。

コートのルーツを学ぶことで、
マッチするシーンを知る。

今回はコートの歴史的由来や着こなしのポイントについて語ってきたわけだが、基本の考え方としてはフォーマル性の高いものをカジュアルダウンするのは良いが、その逆はナシ、ということ。

今回は、それぞれのコートのルーツから、フォーマル度の高い順に解説してきた。つまり、よりフォーマルなものからチェスター>トレンチ>ステンカラー>ダッフル>ピーコートの順となり、ダッフルコートやPコートは作業着であるとともに、学生が着用するオーバーコートとしての傾向が強いため、ビジネスには向かないという点は覚えておきたい。

また、どのコートを選ぶにしても、色やシルエット、丈感でイメージが決まってくるため、選ぶ時の大きなポイントを下記に記しておこう。

まずは色。各ブランドからバリエーション豊かにリリースされているが、着まわしを考えて選ぶならベージュか黒、もしくはネイビーなどのベーシックな色が鉄板で使える。秋冬の装いに色みが欲しいという方は、マフラーやバッグなどで差し色するのもおすすめだ。

そしてシルエットや丈感。ロング丈でシェイプされたものはよりフォーマルでエレガントな印象に、膝丈のAラインやショート丈のストレートシルエットのものはカジュアルな印象になることも覚えておきたい。

これらを参考にしながら、自分なりのスタイルにマッチしたコートをぜひ見つけて欲しい。

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