NEW ERA
世紀を超えてカルチャーを牽引するヘッドウェアの巨人
1920 |NEW YORK, USA | Ehrhardt Koch
1920年、ドイツ系移民のエルハルド・クックによってアメリカ・ニューヨーク州バッファローで創業されたキャップ製造を生業とする会社。それが、後に世界のストリートファッションとスポーツカルチャーを席巻することになる〈NEW ERA ニューエラ〉の原点である。当初は紳士向けのカジュアルキャップを手掛ける小さな会社だったが、その品質へのあくなき探求心と時代を読む鋭い嗅覚が、やがてブランドを唯一無二の存在へと昇華させていく。それは1922年に変更した社名ニューエラ・キャップの名が示す通り、まさに「新しい時代」の幕開けであった。
ブランドの運命を決定づけたのは、1930年代のアメリカで国民的娯楽として人気が沸騰していたベースボール。1934年、クリーブランド・インディアンス(現ガーディアンズ)のために初のプロ用ベースボールキャップを製造したことを皮切りに、ニューエラはスポーツの世界へと大きく舵を切る。品質第一の信念のもと、選手たちのパフォーマンスを最大限に引き出すための改良を重ね、その名は徐々に全米の球団に知れ渡っていった。
そして1954年、ブランドの歴史、いや、キャップの歴史を語る上で欠かすことのできない不朽の名作が誕生する。それが、いまなお絶大な人気を誇る「59FIFTY」だ。熟練の職人による22もの工程を経て生み出されるこのオーセンティックなベースボールキャップは、その美しいフォルムと完璧なフィット感で、瞬く間に選手たちを虜にした。1cm刻みで展開される「フィッテド」仕様は、既製品が主流だった当時において画期的な発明であり、究極の着用感を追求するニューエラのクラフトマンシップの象徴。そして1993年には、メジャーリーグベースボール(MLB)から全球団のオンフィールドキャップを製造・供給する唯一のオフィシャルサプライヤーとして認められるという快挙を成し遂げたのである。
ニューエラの躍進は、もはやスポーツのフィールドだけに留まらない。1980年代以降、ヒップホップカルチャーの隆盛とともに、その存在はストリートへと拡散していく。著名なアーティストたちがこぞってニューエラのキャップを着用したことで、それは単なるスポーツギアではなく、自己表現のためのファッションアイテム、そしてストリートカルチャーの象徴として新たな価値を纏うことになった。特に、映画監督のスパイク・リーがヤンキースのキャップを赤で別注したエピソードは、いまや当たり前となった別注・コラボモデルの元祖ともいわれており、ニューエラがストリートシーンで確固たる地位を築くきっかけとしてあまりにも有名である。
現在ニューエラは、時代やカルチャーのニーズを的確に捉えた多彩なラインナップを展開している。しかし、その根底に流れるのは、創業から一世紀以上が経過したいまもなお変わることのない品質と本物へのこだわりである。アスリートからミュージシャン、そして世界中のファッショニスタまで、あらゆる人々を引き立てるヘッドウェアであり、そのアイデンティティの一部ともなるニューエラ。たかが帽子、されど帽子。そうニューエラは、スポーツカルチャーとストリートカルチャーの交差点に立ち、常に「新時代」を創造し、世紀を超えてカルチャーを牽引し続けるヘッドウェアの巨人といえるだろう。

