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メンズが着倒すべき人気ブランドの名作Tシャツとは?【後編】 ストリートの絶対的定番〈ステューシー〉〈シュプリーム〉ほか

西瓜、陽炎、入道雲、蝉時雨、熱帯夜…etc.。この世に数多存在する夏を表現するモノ・コト。いわゆる季語。その中でも我々モノ好きたちにもっとも身近で、かつもっとも心を躍らせる存在といえば、ご存知“Tシャツ”。

…なんて言っていたのも今や昔。近年の古着市場ではバンドTやムービーT、さらにはアニメTまで軒並み価格はストップ高。かつての気安さ・着やすさはどこへやら。買っても眺めるだけの投資対象で袖を通すなんてもってのほか。手を伸ばしても届かぬ存在に。なればこそ今一度、問いたい。「本来のTシャツの価値とは、着てナンボではなかったのか!?」と。

そんな口上から始まった【前編】では、“時代を超えてなお愛され続けるモノには語るべき背景と魅力があり、人々を惹きつける”という前提のもと、世界的に高騰著しいヴィンテージから、あの頃のストリートを盛り上げたクラシックまで“着倒したい”5枚のTシャツを紹介した次第。続くこの【後編】では、人気ブランドの名作5枚をディグ。どれもこれも24時間7日間、着倒したくなる…そんな予感。

メンズが着倒すべき名作
〈Stussy ステューシー〉
「WORLD TOUR ワールドツアー」Tシャツ
世界各国の旗艦店のある都市名が、
これにて一目瞭然

トップバッターは【前編】のトリを務めた〈A BATHING APE ア ベイシング エイプ〉、略して〈BAPE ベイプ〉とも親交の深い元祖ストリートブランド〈Stussy ステューシー〉。

その名声たるや言わずもがな。とはいえ軽く説明を。サーブボードのシェイパーであったショーン・ステューシーが1980年に創業したアメリカ西海岸の雄。自身が走り書きしたサイン“ショーンフォントロゴ”をTシャツやショーツなどにプリントして販売したところ、思いがけず人気を博す。本稿のトップバッターを飾るのは、そんな同ブランドのアーカイブの中でも、長い歴史を持つ「WORLD TOUR ワールドツアー」のTシャツ。

数ある〈Stussy ステューシー〉のプリントデザインの中でも、もっとも著名な「WORLD TOUR ワールドツアー」。

フロントにはショーンフォントロゴより派生したストックロゴが堂々鎮座。その下には、NEW YORK・LOS ANGELES・TOKYO・LONDON・PARISという都市名が並ぶ。これは世界各国の旗艦店の場所であり、モデル名の由来となっている。

またもう1つのアイコンとして、創業者ショーン・ステューシーの頭文字を反転させた“SSリンク”が日・英の間にイン。〈シャネル CHANNEL〉のココマークがモチーフで“シャネルロゴ”の通称で知られる。

背タグに記されているのはストックロゴ。ショーンフォントロゴから派生した、ストリートの最重要アイコンの1つ。

写真の個体では、バックスタイルにショーンフォントでBRONXやBROOKLYNといったHIP HOPカルチャーの聖地とされる都市名をインプット。このタイプは通称“裏ワールドツアー”。通好みのディテールはまた、ブランドの持つドープな一面を世に伝える絶好のフックとなり得る。

(→〈ステユーシー〉の「ワールドツアーTシャツ」をオンラインストアで探す)

 

メンズが着倒すべき名作
〈Stussy ステューシー〉
「8 BALL 8ボール」Tシャツ
ピンチ、不運、転じて
“苦境に立ち向かう”ラッキーチャーム

バサリと袈裟斬り、返す刀の勢いそのままステューシーから次なる刺客。前項でご覧いただいたワールドツアーと同じく、名作と誉れ高き「8 BALL 8ボール」の御成り。モチーフとなっているのが、ビリヤードに用いられる8番ボール。そこには“とある理由”が隠されている。

ステューシーの歴史に名を残す人気モチーフの1つ「8 BALL 8ボール」。そのデザインにはとある意味が。

8ボール、それは8番ボール自体を指すと同時にゲームの名称でもある。2人のプレイヤーが、1番〜7番のボールと9番〜15番のボールを各々が担当し、狙う的のボールを決めてポケットに落としていく。これを順番に繰り返し、自身のボールが全て無くなったプレイヤーが最後に8番のボールを落とす。このルールこそが、本モデルを読み解くポイントだ。

8番ボールの使い方次第で相手を不利に追いやることも出来るし、最後に落して勝利を掴むことも出来る。このことから8ボールは、“ピンチ”や“不運”、転じて“苦境に立ち向かう”意思表示を意味するラッキーチャームとなった。ただキャッチーなだけでなく、そこに意味を込めて身に纏う。カルチャーと密接に結びつくストリートブランドらしい1着といえる。

(→〈ステユーシー〉の「8ボールTシャツ」をオンラインストアで探す)

 

メンズが着倒すべき名作
〈Supreme シュプリーム〉
「Box Logo ボックスロゴ」Tシャツ
どんなにアレンジを加えても
変わらぬ圧倒的存在感

ステューシーから脈々と続くストリートの系譜において、絶対王者として君臨するのが〈Supreme シュプリーム〉。これはもはや疑いようのない客観的事実。特に「Box Logo ボックスロゴ」のTシャツは正真正銘のマスターピースと名高い。

その歴史は、ステューシーで働いていたジェームズ・ジェビアが、ニューヨークのラファイエット通りにセレクトショップ「Union NYC ユニオン ニューヨーク」をオープンさせた1994年にまで遡る。ブランドロゴをデザインした赤い長方形のステッカーを伝説的スーパーモデル、Kate Moss(ケイト・モス)を採用した〈Calvin Klein カルバン‧クライン〉のポスターにボムして(貼って)ブランドの名を広めた。なんて逸話はあまりに有名か。

赤地に白抜きのテキストとFutura Bold Obliqueと思わしきフォント。今や知らぬ者を探す方が難しいこのロゴマークは、消費社会を批判し続ける現代芸術家、Barbara Kruger(バーバラ・クルーガー)の作品を元ネタとしているという噂に、スケーターならではの反骨精神を見る。

さて、今回はその中にあってスペシャルな1枚を用意した。かのハイブランド〈TIFFANY&CO. ティファニー〉とのコラボレーションモデルである。

写真のモデルは、〈Supreme シュプリーム〉×〈TIFFANY&CO. ティファニー〉の「Box Logo ボックスロゴ」のTシャツ。

トレードマークのボックスロゴはそのまま、カラーを“ティファニーブルー”にアレンジ。幸運を呼ぶ鳥ともいわれるコマドリの卵の色から着想を得たという、優しくも鮮烈なブルーが目に飛び込んでくる。

ストリートな中にも漂う上品さ。“ティファニーブルー”の「ボックスロゴ」。

首後ろには〈TIFFANY&CO. ティファニー〉のブランドネームをさりげなく配置。

裏返した背面首元には、コラボレーションの証としてティファニーのブランド名を記載。シンプルなデザインだからこそ効果テキメン。かくして異色のコラボTシャツは、数多存在するボックスロゴの中にあって、今もなお強烈な存在感を放っている。

やはり、ストリートにおける盛夏の正装は白Tシャツである。令和の世でもそこに変わりはない。

さらに、ボックスロゴTシャツの名作コラボレーションをオマケにもう1枚。

お相手は〈MM6 Maison Margiela エムエム6 メゾン マルジェラ〉。コンセプトによってナンバーが振られるメゾン マルジェラのコレクション。MM6は6=女性のための衣服(ガーメント)が独立したブランドで、オールジェンダーなアイテムも存在し、年齢性別問わず多様なファンを擁する。これがシュプリームと手を組むとどうなるか?

両ブランドのアイデンティティがしっかりと融合されたコラボ。

その答えがこちら。〈Maison Margiela メゾン マルジェラ〉が過去に生み出した「トロンプルイユ」(フランス語で、騙し絵を意味する技法)を用いて、Tシャツにあたかももう1枚のTシャツを重ねているかのようにリアルなプリントを施したもの。

インパクト抜群のトロンプルイユ(騙し絵)デザイン。ありそうでなかった斬新さも話題に。

背タグには両者のブランド名が。ここにもトロンプルイユでプリントされたもう一つの背タグが並ぶ。前述のバーバラ・クルーガーならば、このアバンギャルドなデザインにどういったメージを見出すのだろうか? そんな想像を膨らますのもまた楽しい。

(→〈シュプリーム〉に関する別の特集記事①はこちら)
(→〈シュプリーム〉に関する別の特集記事②はこちら)

(→〈シュプリーム〉の「ボックスロゴTシャツ」をオンラインストアで探す)

 

メンズが着倒すべき名作
〈Maison Margiela メゾン マルジェラ〉
「AIDS エイズ」Tシャツ
込められたメッセージ、
繋がるコミュニケーション

前・後編合わせてのラスト10枚目は、エムエム6からのバトンを繋いだ〈Maison Margiela メゾン マルジェラ〉の「AIDS エイズ」Tシャツにて幕を引く。同ブランドの信者にはお馴染みだが、1994年から毎シーズン異なるカラーリングで展開されてきた、まさに永久定番と呼ぶべきアイテムだ。

写真のモデルは2007年AWモデル。〈Maison Margiela メゾン マルジェラ〉の「AIDS エイズ」Tシャツ。

注視すべきは首元に記された文字群。そこにはボディと同色で「THERE IS MORE ACTION TO BE DONE TO FIGHT AIDS THAN TO WEAR THIS T-SHIRT BUT IT’S A GOOD(エイズと闘うために行うべき活動はもっとあるが、このTシャツを着ることは良い始まりだ)」とあり、バック裾にもさりげなくメッセージを添える。

フロントだけでなくさりげなく、バックの裾部分にもメッセージが添えられている。

メディアの前に姿を見せず、写真もほとんど存在していないとされるデザイナー・Martin Margiela(マルタン・マルジェラ)。着用すると文章の一部分が隠れてしまい、解読出来なくなる仕様は“あえて”。

記されたメッセージに興味を持った者同士がコミュニケーションで繋がる。「エイズの問題について皆がもっと関心を持ち、語らなければならない」。そんな強い想いが、このデザインには込められている。

また売上の一部が、エイズ患者のサポートに使われるという社会的貢献度の高い試みがなされている点にも注目したい。デザインとその背景にある取り組みをワンセットにすることで、Tシャツはデザイナーや着用者の思想・信条を表現する手段としてだけでなく、コミュニケーション・ツールとしても機能するのだ。

(→〈メゾン・マルジェラ〉に関する別の特集記事はこちら)

(→〈メゾン・マルジェラ〉の「エイズTシャツ」をオンラインストアで探す)

前・後編にわたって紹介してきた10の名作たち。そのどれにも語るべき背景と魅力があり、人々を惹きつける理由があった。そして袖を通すことで明確に自分自身のセンスとアティテュードを体現する。それこそがTシャツの面白さ。そう気付かされた2025夏の始まり。

例年以上の酷暑が予想されるというが、集めてきたTシャツが活躍する場面も自ずと増えるはず。ならば、タイトルにもあるように着倒すにはこれ以上ないチャンス。

芭蕉が詠んだ有名な夏の句をもじって、最後に一句。

「Tシャツを 集めて着倒し 最高か」

(→「メンズが着倒すべき人気ブランドの名作Tシャツとは?【前編】」はこちら)

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