FASHION

“セカイに誇るニッポンのモノ” 〈エンジニアドガーメンツ〉とは。【定番人気ジャケット編】

極東の小さな島国で生まれ、世界を相手に飛躍するジャパニーズブランド。その魅力を掘り下げる企画「セカイに誇るニッポンのモノ」が、約2年ぶりのカムバック。そんな今回のテーマは、ファッション好き・モノ好きを自認する読者諸氏ならば、必ずや通過してきたであろう“MADE IN U.S.A.”。

厳選されたマテリアル、細部までこだわった縫製といった製品自体が有するクオリティの高さは、モノ選びにおける価値基準のひとつではある。だが一方で、MADE IN U.S.A.のプロダクツが持つ、大量生産であるがゆえの合理性を優先したディテールと実用的なシルエット、使い込むほどに現れる縮みやホツレや褪色といったエイジング。それら好事家にしか理解出来ない“味わい”の部分にもまた魅力が詰まっているのは、本メディアの読者諸氏であればご存知の通り。

それを一言で表すならば、優れたクラフトマンシップと大規模なマスプロダクション。この相反する要素を1つにまとめて“完成された未完成品”を作り続ける稀有なブランドがある。その名は〈ENGINEERED GARMENTS エンジニア ド ガーメンツ〉。しかし、「セカイに誇るニッポンのモノ」を語る企画のテーマが、なぜMADE IN U.S.A.なのか。その理由を、掘り・語るところから始めよう。

和魂洋“裁”を貫き、ニューヨークから
日本人が発信するアメリカンクラシック

そもそも〈ENGINEERED GARMENTS エンジニアド ガーメンツ(以下、 EG)〉とは何か。

時は1980年代。デザイナーの鈴木大器氏と、のちに盟友となる清水慶三氏の出会いから物語は始まる。

……のだが、その前にEGという大樹を育てた土壌について、スペースを割いて説明しておかねばならない。

まずはEGを語る上で欠かすことの出来ない存在、清水氏について。兄の影響でアイビーやアメカジに触れ、中学時代からモードへの造詣も深めていった鈴木氏は、高校卒業後に文化服装学院へ入学。ここでアウトドアやヘビーデューティーといったアメカジ、モード感漂うDCブランドやヨーロッパのインポート、それらを独自のバランスでまとめる自由で柔軟な感覚を育んだのち、ウィメンズのサーフ系セレクトショップ「UNION SQUARE ユニオンスクエア」を運営する企業に就職。同社で彼は、〈CP COMPANY シーピーカンパニー〉や〈PICCADILLY ピカデリー〉といったイタリアンカジュアルと、〈GITMAN BROTHERS ギットマンブラザーズ〉や〈SMITH スミス〉といったアメリカンカジュアルを扱うセレクトショップ「NAMSB ナムビス」のオープニングスタッフとして働き始める。

転機は1982年に訪れる。先述のユニオンスクエアのクローズに伴い、空いた物件に、清水氏の提案で“『Made in U.S.A catalog』を具現化したセレクトショップ”がオープンすることとなったのだ。彼が店長を務めるこの店こそが、アメリカンワークウェアとワークブーツの豊富な品揃えを売りとする「Redwood レッドウッド」。

レッドウッドは、〈RED WING レッドウィング〉〈RUSSELL MOCCASIN ラッセルモカシン〉のブーツをはじめ〈CHAMPION チャンピオン〉のリバースウィーブなどを次々とヒットさせ、瞬く間に人気店となっていく。ここに客として通っていたのが鈴木氏。その後、彼もスタッフとして働き出すこととなる。当時のインポート業界ではDCブランドを毛嫌いする傾向が強く、アメリカものとDCブランドの両方を好むという点で2人の感覚は近く、洋服について語り合える貴重な存在として、互いの距離を縮めていった。

そして1988年、清水氏が独立の上、セレクトショップ「NEPENTHES ネペンテス」を創業。後任としてレッドウッドの店長になった鈴木氏もすぐに職を辞して、翌年ネペンテスに合流。主にアメリカでの買付けを担当する中で、独自の審美眼と感性を発揮し、同店を人気ショップへと押し上げていった。だが、折りしも90年代は、アメリカンブランドが次々と国内の工場を閉鎖し、生産拠点を国外に移した時代。MADE IN U.S.A.のプロダクツが手に入れづらくなってきた状況を受け、自分らのこだわりを反映したオリジナルブランドを製作し始める。

こうして1992年頃、アメリカ生産にこだわったブランド〈OPUS オパス〉を鈴木氏が開始。だが先に述べたようにアメリカ生産自体が困難になったことでオパスは惜しまれつつも休止。しかし彼は諦めない。アメリカの工場への働きかけを行い、生産体制を整えて遂にEGがスタート。新たな時代の夜明けを待つ1999年のことであった。

同ブランドは、基本的にニューヨークで企画から生産までを行う。古き良きアメリカンクラシックを強く意識した実用的デザインで日本人が作るアメリカ製ブランドは、まさに和魂洋才、いや和魂洋裁か。その点では、かつて紹介した〈BRIEFING ブリーフィング〉と合い通ずるところもあり、特別な「ニッポンのモノ」と呼んで差し支えないだろう。

そこからの飛躍は言わずもがな。2008年に始まった「GQ/CFDAメンズ新人デザイナー賞」の記念すべき第1回目の受賞ブランドとなり、世界的にも確固たる地位を築いた。さらに2019年、2023年と三度にわたって〈UNIQLO ユニクロ〉とコラボレーションをしたことで、今日では一般層にまでワールドワイドかつマジョリティなブランドとして認知されている。

(→「NEPENTHES」に関する別の特集はこちら)

(→〈BRIEFING〉に関する別の特集記事はこちら)

 

〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
定番人気ジャケット①
「Bedford Jacket
ベッドフォード ジャケット」
積み上げてきた歴史は四半世紀。
EGを象徴するアイコン

では、いよいよ同ブランドが誇る定番人気ジャケットにスポットを当てていく。“定番人気”と銘打って紹介するからには、それに相応しき1着でオープニングを飾るべきだろう。では何を選ぶか。EGの定番として筆頭に挙がる象徴的モデルといえば、この「ベッドフォード ジャケット」 に他ならない。ブランド設立時から存在し、四半世紀に及ぶ歴史をともに築き上げてきた、紛うことなきクラシックである。

ブランドを代表するアイコン的アウターの1つが、この「Bedford Jacket ベッドフォード ジャケット」。その万能性からファンも多い。

時流にあって名前を変えることはあれども、ピークドラペル+4パッチポケットという姿形は不変だ。第一の特徴は、日本語で「剣襟 けんえり」とも呼ばれるラペル(襟)の形状にある。大きく上がった下襟の尖った先端部分がその名の由来で、フォーマルシーンにおける定番として華やかさや上品さ、力強さを周囲に印象付ける。これに対し、上下に計4つ配置されたパッチポケットが質実剛健な表情を生み出す。

襟はフォーマルシーンにも対応するピークドラペル。装飾的意味合いで付けられることが多い胸ポケットは、斜めにカットすることで実用的に。

襟の仕様もあってテーラードジャケットを想起させるが、襟を立ててフロントボタンをすべて留めることで、カバーオールスタイルの無骨さが際立つ仕掛け。裏に施された補強のためのV字ステッチの効用で、しっかりと雄々しく襟が立つ。どこかミリタリーの匂いもあって、これが実に様になるのだ。

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フロントボタンをすべて留めた状態がこちら。裏からステッチで補強された襟もしっかり立ち、これ1つで無骨な佇まいに。

また裏地のないシンプルな拵えも本モデルの特徴だが、内側には2つのポケットを配置。スマホや財布、カードケースのように出し入れの多い小物類がキッチリと収まる機能的設計も嬉しい。それだけではない。負荷のかかりやすいポケット口や肩の裏側に補強布をあしらうことで、シルエットが崩れるのを防ぐ心遣いも光る。

加えて、フロントボタンが1930年代以前のワークジャケットやミリタリージャケットに見られるチェンジボタン仕様と、さりげなく通好み。元々は、洗濯機の普及以前に生地を傷めないようにという配慮から生まれたディテールだが、今日ではヴィンテージの証となっていることはご存知の通り。実際に取り外すことも可能なので、学生時代に憧れた学ランの裏ボタンよろしく、自分好みのボタンに交換するのも乙なもの。

裏地はないが内側にはポケットが2つ。負荷のかかる場所に当てられた補強布とチェンジボタンが、ワークなムードを加速させる。

誰が言ったかは知らないが、「着こなしの完成度は後ろ姿でキマる」とか。これに則して、バック裾はノーベント仕様。運動性を犠牲にする代わりに美しいシルエットを演出する。先述のラペル然り、ドレス感の強いディテールを落とし込みながらも、ワークテイスト溢れる雰囲気に仕上げるあたりが、EGの真骨頂といえよう。

〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
定番人気アイテム②
「Loiter Jacket ロイタージャケット」
“荷物はなるべく少なく、
されど楽しみは多く”と願う
旅の装いにも適任

先ほどの「ベッドフォード ジャケット」は、無骨なワークスタイルにドレスという“真逆の要素”を加えたアウターであったが、次に取り挙げるのも同様。モデル名にある「Loiter」という言葉には、“道草を食う‧ぶらぶら歩く”という意味がある。転じてリラックスしたカジュアルムードを備えたテーラードジャケット、それがこの「Loiter Jacket ロイタージャケット」だ。

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リラックスして羽織れる「Loiter Jacket ロイタージャケット」。「Loiter」には“道草を食う・ぶらぶら歩く”という意味がある。

素材はシーズンによって多種多様だが、デザイン自体はいたって簡素。左胸にパッチポケット、フロントにフラップポケットを2つ。ラペルドだがVゾーンが狭めに設計されているため、スタイル的にはワークシャツやカバーオールに相似し、角を落として丸くカーブさせたポケットが無骨さを抑えリラックスした空気感をもたらす。

とはいえ甘く見ることなかれ。パッと見は3ボタンのようだが、その実、段返りの4ボタン。これを活用することでスタンドカラーへと早変わり。ちょっと雰囲気を変えたい時や肌寒い時にありがたく、フトした瞬間に好感度を上げてくる憎いやつ。

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襟元を立ててスタンドカラーのブルゾン感覚で着用可能。ハイネックやモックネックとトップスとの相性も良い。

ボディは裏地なしの一枚仕立てで、身幅・袖はやや太めのシルエット。しかも袖口は腕まくりにも便利な本切羽仕様と相なる。ゆえに厚めのスウェットやニットの上から羽織っても腕周りがモタつかず、より気軽に重ね着が楽しめる。ラフなようでさりげない気配り、テーラードジャケットとしての面目躍如といったところか。

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背面裾はノーベント。袖口はボタンで開閉可能な本切羽仕様。ウエストのアジャスターを調節すれば、さらに着こなしの幅も広がる。

ここまで着易さと気安さを前面に推してきたが、背面脇のアジャスターを使えば、もう一段上の着こなしも可能だ。ウエストをシェイプして、ドレスシャツ&タイドアップで合わせることでフォーマルな場面に対応する。“荷物はなるべく少なく、されど楽しみは多く”と願う旅の装いとしては、これ以上なく適任かと。

〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
定番人気アイテム③
「Aviator Jacket
アビエイタージャケット」
フライトジャケット的記号に、
ユーロな薫りのするシックな佇まい

メンズカジュアルにおける定番カテゴリーを大別すると、トラッド、スポーツ、ミリタリー、ワークの4本柱となる。とりわけEGが得意とするのが、無骨さと機能美で男心をくすぐるミリタリー。本モデルもここに属し、“飛行士”を意味する言葉「Aviator」を冠することからも察せられるように、軍モノのフライトジャケットから題を取っている。

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フライトジャケットをベースに、EGらしいアレンジが効いた「Aviator Jacket アビエイタージャケット」

フライトジャケットと聞いて多くの人々は、米軍が1950年代に開発した不朽の名作「MA-1」を連想するだろうが、EGはさにあらず。襟や袖口のリブ使い、そしてフロント両サイドと左袖にあしわれたポケットなど、MA-1にも共通する記号的意匠こそ落とし込んでいるものの、どちらかといえばユーロな薫りのするシックな面構え。

これまた継続的にラインアップされているが、EGの他アイテム同様、シーズンごとに素材やディテールは変化する。写真のモデルは堅牢で耐摩耗性に優れたリップストップ生地を採用。ナイロンとコットンの混成なのか、表面に浮かぶシワも表情豊かかつ自然。枯山水の如き風合いを存分に楽しむこと出来る。

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襟リブや袖のポケットはMA-1と共通するが、アメリカ的ではなくユーロな薫りを放つ。

他方、シルエットは身幅広めでユッタリ余裕あり。裾リブを排除することで裾のもたつきを解消し、やや長めの着丈でより着やすくアレンジがなされている点がポイント。とはいえ、仕様はシーズンごとに変化するのが定め。その時々で裾リブもフロント首元のストラップも、あったり無かったり。差異を調べて、好みのデザインを探すのもまた楽しい。

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フロントは上下どちらからでも開けるダブルジップ式。上は閉じたまま下のジップを引き上げてインナーを見せることで、Aラインのシルエットで変化を付けることが可能。背面にはアジャスターベルトが。

フロントは、上下どちらからでも開閉可能なダブルジップ。上は閉じたまま下のジップを引き上げてAラインのシルエットを構築し、着こなしに変化を付けてみるのもまた一興。ミリタリーギアの魅力であると同時に足枷ともなり得る無骨さを抑えて、大人の装いに不可欠な抜け感をもたらす。まさしくエースパイロット級の1着である。

(→「MA-1」に関する別の特集記事はこちら)

〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
定番人気アイテム④
「Logger Jacket ロガージャケット」
色はホワイト、意匠はブルーカラー。
玄人好みのカバーオール

“木こり”という意味の「Logger」の名が示すように、デザインの源流はワークジャケットにあると思われ、フロントに上下2つ、合計4つのパッチポケットを配した容貌はいわゆるカバーオールのそれ。12ozのダックキャンバス地を使用したタフな仕様と大きめシルエットに、クリーンな印象をもたらすホワイトカラーの対比も鮮やかなお手並。

カバーオールスタイルの「Logger Jacket ロガージャケット」。本稿では、白のダックキャンバス地を採用したモデルを紹介する。

そんな本モデルの醍醐味は、留めるボタンの数によって大きく印象を変化させる点にある。中央のボタンを1つ掛けし、襟を寝かせればテーラードジャケットの如し。または、チンストラップを配置した襟元までしっかりボタンを留めることで骨太な佇まいに。これに肩や背中の縫い合わせ部分に施した堅牢なトリプルステッチが、ワークテイストを強めるべく援護射撃。

おまけにベッドフォードジャケットと同じく、フロントボタンはヴィンテージをオマージュしたチェンジボタン。さらに左胸のポケットは懐中時計用となっており、第2ボタン下のホールは懐中時計のチェーンを通すためのもの。ともに使う機会こそ少ないが、あれば嬉しい好事家泣かせのヴィンテージディテールである。

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フロント首元には、防風とシルエットの変化の両方を叶えるチンストラップが。懐中時計用ポケットとチェーン用ホール、そしてチェンジボタン仕様とヴィンテージディテールが目白押し。

メイン収納となるフロントポケットは、大きめで使い勝手抜群。しかも右サイドのみ後身頃のバックポケットと繋がったアシンメトリーデザイン。それぞれ独立しており手荷物の仕分けにも便利と、機能性も抜かりなし。そして見どころは身頃だけでなく袖口にも。スナップボタンによる3点留めという珍しい仕様が、モノ好きの視線を集める。

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大きく扱いやすいメインポケットは、右サイドのみ前身頃と後身頃のポケットが繋がったデザイン。このポケットはそれぞれ独立しており、細かな手荷物の仕分けにも便利。スナップボタンの3点留めが珍しい袖口とも相まって、他モデルにはない景色を生み出す。

春らしく軽快なホワイトカラーに、ブルーカラーなデザインが渾然一体となったルックスを端的に表すならば、玄人好み。パッと見には気付きづらいがよく見れば凝ったデザインという、 EGらしさ溢れる1着と言えよう。

(→「ワークスタイル」に関する別の特集記事はこちら)

〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
定番人気アイテム⑤
「Workaday Shop Coat – Heavy
ワーカデイ ショップコート」
耐久性と機能性を尊ぶ、
ヘビー・デューティー好きに贈る

いかに時代は移ろえども、男子ならば誰しもが幼少期に経験する“働くクルマへの憧れ”。これを大人になっても持ち続けると、耐久性と機能性を尊ぶヘビー・デューティー精神へと昇華される。そんなわけで、折り返し地点となる5着目もワークスタイルの定番モデルに目を向けたい。その名も「Workaday Shop Coat – Heavy ワーカデイ ショップコート」。平易なネーミングは、確固たるスタイルを持つがゆえの自信の表れとも言い換えられる。

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ジャケットというよりも、ショートコートと呼ぶのが相応しい「Workaday Shop Coat – Heavy ワーカデイ ショップコート」

ワークウェアの要たる耐久性を求めた結果、装飾と収納を兼ねるパッチポケット以外のデザインは潔くシンプル。だが目を凝らせば、細部にまで冴え渡るこだわりに気付かされる。

ワークスタイルの背タグ、オリジナルで製作されたメタル素材のドーナッツボタン、両腰部分のスリットから、中に着たトップスのポケットへとアクセス可能な気の利いたデザイン。さらに背面にも、あれば何かと便利な大型のパッチポケットを1つ。締めは、カンヌキ止めという真っ赤なアクセントをスパイス代わりにひと振り。

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ワークテイストを色濃く伝える背タグ、オリジナルのドーナツボタンと見どころは多い。さらに両サイドには、インナーへアクセス出来るスリットを設置し、利便性にも考慮。

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背面には、あると便利な大型パッチポケットを配備。後ろ姿にアクセントを添える。

またロガージャケットの例にもあるように、素材選びは仕上がりに大きく関わる。そこで本稿では、「ワーカデイ」という名に相応しく、ヘビーウェイトのデニム生地を使用したモデルをピックアップした。ステッチの白が映える濃紺のデニム生地は、着用するにつれてアタリや色落ちといったエイジングが楽しめるのも魅力。これをもって“所変われば品変わる”ならぬ、“素材変われば表情変わる”が実証された。

〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
定番人気アイテム⑥
「Moto Jacket モトジャケット」
元ネタはスウェーデン軍の
名作モーターサイクルジャケット

耐久性こそがワークウェアの根幹をなす部分であるならば、それを支える優れた運動性能が名作の条件となる。続いては、この両方を兼備したミリタリーモデルを紹介しよう。元ネタは、キャッチーな意匠からヴィンテージ市場で高い人気を誇るスウェーデン軍のモーターサイクルジャケット。これをさらにファッショナブルにアップデートさせるという、鬼に金棒的アプローチを経て、「Moto Jacket モトジャケット」は誕生した。

「Moto Jacket モトジャケット」。スウェーデン軍のモーサーサイクルジャケットを元ネタとしている。

なんといっても目を惹くのが、左右非対称に設計されたフロントスタイルである。ライディング時の防風性を第一とするモーターサイクルジャケット。スナップボタンを開けると二重構造になった前立て部分とウエスト部分を身体に密着させる役割を担う裾ベルト。これらはともに“らしさ”を演出するポイントとして見逃せない。

中央に配された大きなフラップポケットは機能性だけでなく、装飾性の向上にも一役買っている。両サイドのハンドウォーマーポケットも同様だ。日常生活におけるプライオリティを引き上げる一助となってくれるに違いない。

フロント前立て部分は二重構造。センターに配置された大型のフラップポケットが

ボディ素材には、程よいハリ感と上品な光沢を放つコットンポプリン生地を採用。ミリタリーギア特有の無骨で粗野な雰囲気を抑え、ゆったりと身体を包み込むオーバーフィットとのコンビネーション、コンパクトに収めたスタンドカラーの首元など、メリハリの利いたシルエット構築によって運動性を確保し、デイリーシーンでも着用しやすく仕上げている。

〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
定番人気アイテム⑦
「Cardigan Jacket
カーディガンジャケット」
アウターにもミドラーにもなり得る
汎用性の高さこそが、最大の武器

例年よりも気温高めの日が続き、気の早い桜の開花を告げるニュースが届けども、そこはやはり花冷えの季節。昼間はシャツやカットソー1枚で充分だが、夜の帳が落ちればやや心許ない。そんな時に重宝するのが軽やかな羽織りもの。7着目は、アウターとミドラーの両方を兼ねる「Cardigan Jacket カーディガンジャケット」の出番だ。

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モデル名が、ノーカラー仕様のVネックスタイルに由来するのはご覧の通り。フロントに配置された4つのパッチポケットは、先述のロガージャケットにもさも似たり。ただし違いもある。それが左右の胸ポケットを繋ぐように配置されたストラップだ。ちょっとした変化なのだが、これが印象を大きく左右し、無骨なイメージをもたらす。

本稿では、見た目にも温かみな8ウェルのコーディロイ素材を使用した初期モデルを用意した。コーデュロイはデニムのオンスのように、ウェル数(畝数)で分別される。8ウェルはズボンコールとも呼ばれ、パンツやジャケットに使われることが多い。高密度で織られているため無骨な印象を与えながらも優れた保温性を発揮するこの生地を、すっきりとしたVゾーンで軽快に演出してみせる手腕はさすがのEG。

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カーディガンのようなVネックスタイルの首元。生地は8ウェルのコーデュロイ。高密度に織られているため、ガッシリとした質感。

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背面にはシルエット調節用のアジャスター。チェストストラップと同じく、もたらすのは小さな変化だが得られる効果は大きい。

そもそもカーディガンの起源は、戦争で負傷した際にセーターをボタン留めの前開きにすることで、軍服の上に重ね着出来るようにしたものとされる。そう考えるならば、これもミリタリーウェアの系譜に当たるが、ドロップショルダーとゆったりした身幅のオーバーサイズシルエットがそうとは感じさせない。それどころか背面のウエスト部分にあしわれたアジャスターを用いてシルエットを変化させることで、スタイリングの幅を広げる汎用性の高さも魅力。新たな何かに挑戦したくなるこの季節。ぜひとも取り入れたい1着だ。

〈Engineered Garments
エンジニアド ガーメンツ〉
定番人気アイテム⑧
「EXPLORER SHIRT JACKET
エクスプローラー シャツジャケット」
大小10のポケットで機能性を追求。
汎用性抜群のユーティリティーアウター

つらつらと書き連ねてきた【定番人気ジャケット編】も、これにてオーラス。最後も当然、“EGらしさ”溢れる1着。“冒険者”を意味する言葉「EXPLORER」を冠したこのシャツジャケットで、総数1万字近くに膨れ上がった定番人気ジャケットを巡る旅を終えるとしよう。

大小10個のポケットがインパクト抜群な「EXPLORER SHIRT JACKET エクスプローラー シャツジャケット」

問答無用のインパクトを与えるのが、随所に配された形の異なるマチ付きフラップパッチポケットたち。数えると、身頃フロントに大小5つ、バックに2つ、左袖に1つの計8つ。さらにボディ下部にあしらわれたポケットはハンドウォーマーも兼ねた構造となっているため、その総数は大台二桁の10個ともはやバッグいらず。たしかにこれならば、不測の事態に備え、様々なギアを装備し持ち歩く冒険者の装いとしては、まさに適役。

下部のパッチポケットはハンドウォーマーを兼ねた二重構造。襟元のチンストラップを締めると、一気にミリタリーな雰囲気が加速する。

普通ここまでポケットを過積載したら、他はシンプルにまとめるのが常道なのだが、そこはさすがの名作モデル。チンストラップやフロントストラップまで装備しながら絶妙なバランス感を保ち、機能性の追求にも余念がない。しかもシャツジャケットなので、中にも外にも重ねやすく、レイヤリングの活躍度も高い。本稿で紹介するモデルは、滑らかで光沢感の強いフライトサテン素材をファブリックに使用。隠しきれないミリタリームードが男心を巧みにくすぐる。やはりEG恐るべし。

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「EGとは何か」

本稿ではこの問いかけに対し、優れたクラフトマンシップ、大規模なマスプロダクションというアメリカ洋服文化の礎にして相反する二つの要素を継承し、日本人の手で現代のアメリカンクラシックを生み出す稀有なブランドと定め、四半世紀に及ぶ歴史の中で生み出されてきた名作ジャケットたちを紹介した。

現代のアメリカンクラシックを生み出すという行為は、新たな伝統の創造と同義である。

そして伝統とは、“時日”の経過ではなく、確固たる意志により作り出されるもの。

この揺るぎなき“事実”を我々に伝えるブランド、それがEGなのだ。

次回の後編では、【人気コラボレーション編】と題し、定番シャツとパンツ、さらに共創によりなし得たコラボレーションアイテムを取り挙げる。それではサヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

(→【人気コラボレーション編】はこちら)

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