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恥ずかしいなんて言わせない!今こそ見直す〈REGAL リーガル〉のとびきりの靴【定番モデル編】“セカイに誇るニッポンのモノ”

暦の上では立春(First day of spring)を過ぎ、まだまだ寒さは残るも、気持ちは春へと向かっていく。そんな2月。春は別れと出会いの季節である。愛しさと切なさに後ろ髪を引かれながらも、新たな門出を迎える人も多く、何かと浮足立つのも当然。ならばこそしっかりと地に足を付け、一歩一歩前へ進んでいくチカラとなる“心強いナニか”が欲しい。

要は、安心して身を預けられる“とびきりの靴”が必要だということ……なんて言うのは簡単だが、探すのは一苦労。だが、日本に住む我々には、履くべき“とびきりの靴”がすでに存在している。灯台下暗し。あまりにも当たり前のようにありながら、50年以上も日本人の足を支え続けてきたシューズブランド、そう〈REGAL リーガル〉だ。

ただ、身近な存在だけに欧米の靴メーカーに比べて、軽んじられているのもまた事実。中には「リーガルの靴をチョイスすること自体が恥ずかしい」とする向きもあるとかないとか。あぁ、嘆かわしや。そこで今回は2回に分けて、そんなバイアスを吹き飛ばす。今こそ見直すべき、リーガルの真価。前編ではブランドを代表する定番モデルを集めた。

“和魂洋才”、
日本人の足元を支え続けて 50 余年。

誰もが知るブランドといっても、いきなりシューズ自体に触れていくのは早計というもの。まずはしっかりと結ばれた歴史という名の靴紐を解くところから。序文では“日本に住む我々には”なんてワードが出てきたが、元を辿ればリーガルはアメリカ生まれ。その歴史は古く、1880年(明治13年)創業。当時は「L.C.Bliss & Co. ブリス&カンパニー」が展開する革靴のブランドだった。1893年(明治26年)、堅実な経営が実を結び、マサチューセッツ州ボストンに初の小売店をオープン。そこから20年経った1913年(大正2年)に、社名を「REGAL Shoe & Co. リーガルシュー・カンパニー」へと改称する。ちなみに“REGAL”は英語で”王者に相応しい”という意味を持つ。随分と大仰な名前を付けたものだが、それだけモノづくりに自信を持っていたという証左であろう。

で、ここから現在へと続いていくのかと思ったら、1954年に「Brown Shoe Company ブラウン・シューカンパニー」と合併。現在もワールドワイドに展開中のシューカンパニー内の1ブランドという位置付けに。その後の1961年、当時の「日本製靴株式会社(現リーガルコーポレーション)」が「リーガル・シュー」に関わる技術導入契約を締結する形で、ライセンス生産を開始。今、我々の知る“日本のリーガル”はここから始まった。翌1962年には「王者の風格」と題した新作発表会を催し、大盛況。ここから快進撃が始まる。1963年に銀座の「テイジン・メンズショップ」で、当時日本の“アイビー・ブーム”を牽引してきたファッションブランド〈VANヴァン〉とのコラボレーションシューズ「VAN-REGAL ヴァン-リーガル」を発売。これが大反響を呼び、さらに翌年には全国発売もスタート。リーガルの名は日本列島に広く知れ渡るように。

この時、大好評だったプレーントウ、ウイングチップ、ローファーをはじめ、ブーツに至るまでラインアップを広げ、ブランドとしての地位を確立。その後、今へと続く定番・銘品・傑作を世に送り出しながら、1970年には全米で展開されていた「REGAL SHOES SHOP リーガル シューズ ショップ」を手本に、リーガルの専門店にして日本初の本場アメリカンスタイルのシューズショップ「リーガルシューズ」1号店が東京駅・八重洲口に開店。さらに1972年、アイビーブームの反響を受けて、「リーガル」ブランドの婦人靴「REGAL LADIES リーガル レディース」も生産開始。もはやその勢いは止まらない。1974年には、リーガル修理専門店「リーガルシューバー」が、東京・八重洲に開店。熟練職人の手作業による入念なリペアを施してもらうことで、末永く靴を履いてもらいたい。これぞ、リーガルの哲学。現在でも年間10万足の修理を手掛けているというから、その姿勢はいまだ変わらず。

REGAL_リーガル

インソールにはお馴染みのロゴを刻印。創業年を表す ESTABLISHED 1880 の文字も。

さらに時は流れて1990年、時代は平成。日本製靴株式会社がブラウン社(現クラレス社)より、リーガルの商標権を取得。社名を「リーガルコーポレーション」に変更。以降の発展は、靴のインソールにも記されたお馴染みのアイコンとともに知る人も多いことだろう。ちなみにこのアイコンは1960年代末頃に、リーガルのショップ店頭で吊り下げられていた看板を図案化したものだとか。なんて急ぎ足での歴史のプレイバックも済んだので、いよいよお待ちかねのアイテムについて触れていくとしよう。

〈REGAL〉のとびきりの靴 10 選
①プレーントゥ 「No.2504」
隙のない汎用性で今なお愛される
ロングセラー。

“定番を知る”のが本稿の趣旨であれば、最もスタンダードにして、隙のない汎用性を備えたプレーントゥは外せない。型番は「No.2504」。トゥ部分に装飾のないシンプルな外羽根式5アイレットの大定番である。登場は1969年。となると福山雅治や吉田栄作とも同い年。アポロ11号の月面着陸から50年以上も経てなお、形を変えず愛され続けるロングセラーとはこれのこと。

REGAL_リーガル_プレーントゥ_No.2504_02

〈REGAL リーガル〉のプレーントゥ「No.2504」。1969 年生まれで、福山雅治や吉田栄作とは同い年。白 T とジーンズで合わせたい。

何ら変哲のないオーセンティックな1足に思えるが、実は当時最先端の取り込みをしていた点がある。それがソール素材。高度経済成長期における化学分野の発展に伴い、靴素材にも新たな変化の波が。そこでリーガルも、防滑性とクッション性に優れた合成ゴムを表底に初採用することに。そのファーストペンギンとなったのが本作であった。なお発売当時は、スエードのみの展開で価格は4300円(当時の高卒公務員の初任給が約2万円)。月給の1/4なので、決して安物ではなく奮発して買うような靴だったと考えられる。

革製ソールに比べて、段違いに滑りにくい合成ゴム製のソール。一分一秒を争う高度経済成長期のビジネスマンにとって重要な履き心地を高めるための、当時最先端のアプローチであった。

ガラスレザーの艶も美しく、合成ゴム製のソールは高耐久性を誇るグッドイヤーウエルト式製法。1960年代当時のアメリカ靴から受け継がれたボリューミーなトゥとヒールには余裕を持たせ、薄めの甲部分を靴紐で締めてフィットさせる設計により、ほどよいフィット感を味わいながら気楽に付き合うことが出来る。しかもビジネスはもちろん冠婚葬祭といったフォーマルな場面でも使え、ジーンズやチノパンツ、ミリタリーパンツなどカジュアルな装いとも好相性のオールラウンダー。初めての革靴選びにお悩みならば、このNo.2504を選んでまず間違いないだろう。

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シンプルゆえに汎用性が高いプレーントゥ。様々なシルエットのボトムスともよく馴染んでくれる。

日本において多くのビジネスマンたちに愛され、その足を支てきたがゆえ、リーガルの靴は「ダサい」「恥ずかしい」「あくまで仕事用」などと言及されがちだが、英国や米国の老舗ブランドにも決して引けを取ることはないことがお分かり頂けただろうか。これぞ、ニッポンのモノづくりの素晴らしさを体感出来る1足だ。

〈REGAL〉のとびきりの靴 10 選
②ウイングチップ 「2585」
エレガントな印象と
ラギッドな機能性の二律背反。

お次も、レザーシューズの定番「ウイングチップ」。トゥに英文字Wに似た翼(ウイング)型の飾りが施されているのが特徴。この飾りを英国では「ブローグ」、日本ではおかめの面の生え際に似ていることから「おかめ」「おかめ飾り」とも呼び、アメリカ靴の影響を強く受けているリーガルでは、同装飾が施されたシューズをウイングチップと呼び習わす。そんな定番靴が「No.3235」の品番でお目見えしたのが1968年。1972年には品番を「No.2235」に改めた後継モデルにバトンタッチ。

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「2235」によく似ているが、細部が異なる〈REGAL リーガル〉のウイングチップ 「2585」。

なので、今回紹介するのもNo.2235……ではなく、そのバリエーションの「No.2585」。大きな相違点は、オリジンが革底なのに対し、より丈夫な合成ゴム底を使用している点である。これは先述のNo.2504と同様。もちろんグッドイヤーウエルト式製法も変わらず。デザイン自体は元々、ブラウン社のウイングチップを日本人向けに改良設計されたもので、大きな変更点もなく往時の姿を留めているそう。厳密には、本モデルとNo.2235とでは木型や革質も異なるようだが、ユーザビリティを考慮するとタフに履くことの叶う本モデルに軍配が上がる。

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美しいトゥの装飾と荒々しさのあるレザー素材の対比が際立つアッパー。

すっきりしたラウンドトゥにメダリオンの飾り、長めのノーズも相まってエレガントな趣。その反面、細かなエンボス加工が施されたスコッチグレインレザーのアッパーは、表情豊かで少々の傷や皺ならば目立たずユーズフル。野外活動用という出自もあって、プレーントゥに比べるとカジュアルな印象が強まるウイングチップだけに弔事のシーンは避けるべきだが、それ以外のオンとオフの両シーンで活躍が期待出来る。やはり1足は押さえておいて損はない。

〈REGAL〉のとびきりの靴 10 選
③ローファー「No.2177」
ローファーという名称を、
日本に広めた立役者。

革靴は面倒だ。履く時は靴紐を緩める必要があるし、しっかり結ばないとダラしなく見えてしまう。ならば靴紐を無くしてしまえば万事解決するのではないか?こうして無精者たちに愛される名作が誕生した。「No.2177」の品番とともに1971年に登場した「ローファー」だ。当時は「紐なし靴」なんて呼ばれ方もしていたが、本モデルの登場により日本でもローファーという呼称が一般化したといわれている。現に学生時代に初めて購入したローファーがこのNo.2177だったという人も多いだろう。

REGAL_リーガル_ローファー_No.2177_01

〈REGAL リーガル〉のローファー「No.2177」。これが人生初のローファーだったという人も多いはず。

これまでも『knowbrand magazine』で触れているため多くの知るところではあるが、モカシン型のスリップオンシューズは総じてローファーと呼ぶ。諸説あるが、ノルウェーの靴職人によりデザインされた「Aurland moccasin」という靴がルーツになったという説が有力視されている。その後、ヨーロッパからアメリカへと渡り、同地の靴メーカー〈Nettleton ネトルトン〉社が1973年にローファーという商標を取得。だが甲部分をモカシン縫いし、サドル(飾り帯)を配した、現在ローファーと呼び親しまれているデザインは、同じくアメリカの靴メーカー〈G.H.BASS G.Hバス〉が開発した「WEEJUNS ウィージャンズ」が元祖。何ともややこしい話である。

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手を使うことなく脱ぎ履きができるように設けられたヒール部分のキッカーバック。怠け者ならずともありがたい。

またアメリカンスタイルを貫いているのがよく分かるのが、サドルの両端を糸で巻いた「ビーフロール」と呼ばれるディテールだ。アッパーに立体感を生み、男らしい印象を与える。さらにはヒール下部のつまみ縫いされた箇所にも注目。これは「キッカーバック」と呼ばれ、片足を引っ掛けることで手を使わず容易に脱ぎ履きが可能。まさに“怠け者”という意味を持つローファーに相応しい機能美だが、衛生意識が高まっている現代においてもありがたい限り。

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モカシン縫いとサドルのコンビネーションが特徴。ビーフロールがアクセントとなり、アメリカ靴ならではの男らしさを演出する。

このタイプのローファーは、コインローファーやペニーローファーとも呼ばれる。1950年代のアメリカに存在した、道端に落ちている1セント硬貨を拾うと幸せになれるという“ラッキー・ペニー”の伝説に由来し、硬貨をサドルの穴に挟んでお守り代わりにするのが、アメリカ東海岸の名門大学の子弟たちの間で流行。いつの頃からか、件の名称で呼ばれるようになったそうだ。また当時のアメリカでは2セントで公衆電話がかけられたので、“緊急連絡用として靴にコインを忍ばせた”なんて拾い話も。覚えておけば、2セント分の価値は得られるかと。

〈REGAL〉のとびきりの靴 10 選
④タッセルローファー「No.2253」
今やビズシーンにおいても活躍する
“弁護士の靴”。

人間というのはワガママな生き物である。ひと度、ラクを知ると元に戻るのは難しい。なんて言い訳がましくて恐縮だが、要はまたもローファーが続くという話。ただ、先ほどのNo.2177とは趣を異にするのでご容赦願いたい。甲部分にサドルがなく、代わりにタッセル(房飾り)が配されたいわゆる「タッセルローファー」。それがこの「No.2253」だ。サドルがない分、No.2177よりもミニマムなシルエットを描き、歩くたびに揺れ動くタッセルもまたエレガント。

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歩くたびに揺れ動くタッセルが上品な印象を与える。〈REGAL リーガル〉のタッセルローファー 「No.2253」。

先ほど、“怠け者”という意味があると記述したように、革靴の中ではカジュアルな部類に属するローファー。それを上品と評することに違和感を覚える諸兄もいるだろうが、タッセルローファーに関してはひと味違う。なにせアメリカでは“弁護士の靴”とも呼ばれ、格調の高い革靴と認知されているという。1950年代に、このタイプを弁護士たちが好んで履いていたことが由来だそうだ。とはいえビズシーンで取り入れることに躊躇する人も多いことだろう。なぜならば、これまでビジネススーツにローファーを合わせるという行為は禁忌とされ、世の常識となっていたからだ。

REGAL_リーガル_タッセルローファーNo.2253_03

「No.2177」と「No.2253」を並べてみた図。装飾の違いにより、イメージも大きく変わるということが証明された。

しかし昨今のビズファッションのカジュアル化もあって、クールビズにも合わせやすいシューズとして認められるように。タッセルのアクセントと滲み出る大人の品格により、TPOさえ意識すればビジネスシーンでも履きやすいということで勝訴判決と相なった。ちなみに“弁護士の”という意味の単語を、英語では「Legalリーガル」と表現する。偶然にしては出来過ぎだが、分かった上で履けば、これ以上なく洒落た遊び心か。

〈REGAL〉のとびきりの靴 10 選
⑤コブラヴァンプ「930R」
無駄なくシンプルながらも、
醸し出されるワルな色気。

【定番モデル編】も、いよいよこれでラスト。最後を飾るのは……そう、ローファーである。それも先述のNo.2177やNo.2253に比べて、さらにシンプルな通称「コブラヴァンプ」。ヴァンプ(バンプ)とは爪先革を意味し、甲部分を低く、うねるような形にモカシン縫いされたヴァンプの形状が、猛毒を持つ蛇・コブラの頭の形に似ていることから、この名で呼ばれるようになった。同型のシューズは各社で作られたが、アメリカ〈FLORSHEIM フローシャイム〉社のものが特に有名で、よく知られている。

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〈REGAL リーガル〉のコブラヴァンプ「930R」。シルエットが、猛毒を持つことで知られる毒蛇・コブラ頭を彷彿とさせる。

先述のように、日本でリーガルの製造が開始された1961年当時、アメリカのアイビーリーガーの間ではローファーが大流行。これに倣い、本邦におけるアイビー・ブームの牽引者であったヴァンが最初に作ったモデルも、このコブラヴァンプローファーだったといわれている。型番は「No.2167」。シンプルながら色気のあるルックスは汎用性も高く、定番として永く愛されるも残念ながら現在は廃番に。「他メーカーにおいてもほとんど生産されておらず入手困難」というワードも、物欲を刺激する良き毒かな。

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インソールにキラリと輝くのは 50th の文字。リーガルの日本上陸 50 周年を記念したものだ。

今回撮影したのは、2012年にリーガルの日本上陸50周年を記念してリリースされたモデル「930R」。当時は、4月から6月までの3ヶ月間でカラーを変えながら、4色展開された。気になるようなら、ぜひリユースマーケットで探してみては。ちなみに“東洋一のサウンド・マシーン”こと、クレイジーケンバンドの代表取締役歌手・横山剣も、幼少期に憧れた“元町通りを闊歩するワルでお洒落で粋なアニキたち”が履いていたという理由から、同型で2度のコラボを実現させている。こちらはリユースマーケットでも絶滅危惧種。見つけたら即捕獲がお約束。

今回は、リーガルを代表する定番モデルたちにフォーカスしたが、何かお忘れではないだろうか……そう、「サドルシューズ」が入っていなかったのだ。そこで次回は、「No.2504」と「No.2177」と並んで傑作シューズに数えられるこの不朽の名作に焦点を当てつつ、血沸き肉踊る人気のブランドとのコラボレーションモデルについても言及するとしよう。

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前・後編を併せて読めば、「リーガルは恥ずかしい」なんて言葉、もう二度と言わせない。イイネ?イイネッ!!

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