あの有名人の着用サングラスは、あの人気ブランドのあのモデル! 〈レイバン〉〈オークリー〉〈トム フォード〉…etc.いま手に入れたいこの6本
もちろん、強い日差しや紫外線から目を守るという用途の面でももはや必須。その上で“モノ好き”な読者諸氏ならば、何を選ぶか?
この悩みこそがモノ選びの醍醐味とはいえ、失敗はしたくない。ならばいっそ、サングラスが印象的なあの有名人を真似てみるのはいかがだろう。輪郭による似合う・似合わない、ファッション的ロジックなんて二の次、「格好いいヤツらがかけているから真似したい」。その初期衝動で走り出してこそ、ファッションなのだから。
…なんて冗長な言い訳からの今回は、“あの有名人が着用した、あのサングラス”にフォーカス。いつもなら玄人目線を意識してしまうが、ここはあえてミーハーに。自分に正直に、かけたいモノをかけりゃぁイイ。
あの有名人のあのサングラス①
NIRVANA ニルヴァーナ
カート・コバーン着用
〈Christian Roth クリスチャン ロス〉「6558」
ボロボロな服装にも、
妙にマッチする個性派ラウンド
ヘッドライナー揃いの本稿にて、トップバッターを飾るのはカート・コバーン。1990年代、オルタナティヴ・ロックを世に広め、グランジ・ムーブメントのアイコンとなったバンド、NIRVANA ニルヴァーナのフロントマンとして知られる。27歳という早過ぎる死も相まって、グランジ・カルチャーのカリスマとなったカート。彼が公私ともに愛用したのが、大ぶりなラウンドシェイプが特徴的なこのモデルだ。
ニルヴァーナのカート・コバーンが着用。
〈Christian Roth クリスチャン・ロス〉の「6558」。
ドイツ生まれのクリスチャン・ロスとフランス人のエリック・ドメージュによって、1984年にスタートしたアイウェアブランド〈Christian Roth クリスチャン ロス〉の「6558」がそれ。カラーは数種類存在するが、1993年に写真家のジェシー・フローマンが撮影したカートのポートレートで着用されていたホワイトは特に人気が高い。
2000年代には、その存在感溢れるルックスをサンプリングするブランドも次々と現れた。〈NUMBER (N)INE ナンバーナイン〉が本作をアレンジして制作した、名作「ONE」もその内の1本。その後の2012年に充電期間を経て、ブランドが再始動した際にも「6558」はリデザインして復刻されており、同ブランドにとってのマイルストーン的1本であることを印象付けた。
テンプル内側にはブランド名のほか、モデル名とオーストリア製であるという記載も。
今回は用意したのは、近年モノではなく貴重なオリジン。カート自身、レッドやホワイト以外のカラーも愛用しており、むしろタウンユースを考慮するならば、このブラウンのような落ち着いた色を狙うのが正解か。
ニルヴァーナの名盤『NEVER MIND』とともに。
レイジーに伸ばした無精ヒゲにこのサングラスをかけ、ボロボロのジーンズや着古されたネルシャツを着て、足元にはスマイルがお約束。ティーンだったあの頃の記憶と制汗剤の匂いが蘇る…。
(→〈クリスチャン ロス〉の「サングラス」をオンラインストアで探す)
あの有名人のあのサングラス②
『007 スペクター』
ダニエル・クレイグ着用
〈TOM FORD トム フォード〉の「Henry ヘンリー」
漂う知性、意志の強さ。
洗練された佇まいのサーモント
グランジにハマり、思春期を拗らせたティーンエイジャーたちもやがて成長し、“危険な魅力を持った大人の男”に憧れを抱くようになる。例えば、美女を虜にするセクシーなプレイボーイにして、殺しのライセンスを持つ男。映画『007』シリーズの主人公、ジェームズ・ボンドなぞ、まさに。
映画『007 スペクター』で、ダニエル・クレイグが着用。
1958年公開の第1作『ドクター・ノオ』以来、2021年『ノー・タイム・トゥ・ダイ』までの25作品で、実に6人の俳優が英国秘密情報部、通称“MI6”所属のスーパー・エージェントを演じてきた。本稿でフォーカスするのは、新たなボンド像を確立した6代目のダニエル・クレイグ。彼が2015年公開『007 スペクター』の劇中で着用したのは、〈TOM FORD トム フォード〉の「Henry ヘンリー」だった。
〈TOM FORD トム フォード〉の「Henry TF248」。
実はトム フォードは本作だけでなく、ダニエル・クレイグ版の2作目『慰めの報酬』と3作目『スカイフォール』においても衣装提供を行っている。鍛え上げられた肉体にフィットした細身のスーツと、クラシカルかつ知性や意志の強さを感じさせる“サーモント型”のサングラスの完璧なマッチングの秘密はそこにある。
フロントからテンプルを繋ぐのは、ブランド名の頭文字を意匠化した“T”のアイコン。さらにレンズに刻まれたブランドネームが物欲に火を着ける。メタルとセルの見事なコンビネーションが醸し出すのは大人の男に相応しい高級感と品格。美女を口説く色っぽいシーンのみならず、普段使いにおいても活躍を約束する。
フロントからテンプルを繋ぐ“T”マークがアイコン。レンズに刻まれたブランド名、テンプル内側の「Henry」と「TF248」の記載にも注目したい。
歴代ボンドの中でもピンチに陥ることが多く、人間臭さも魅力的なクレイグ版ボンド。であるがゆえ、彼の瞳は静かにそして力強く語る「壁だらけの人生を這い上がることに男の価値はある」と。ヘンリーのテンプルに打たれたナンバーは007ならぬ248。着用した瞬間、脳裏に流れるのはあのテーマ曲。「マイ・ネーム・イズ・ボンド、ジェームズ・ボンド」の決め台詞とともに。
(→〈トム フォード〉のサングラス「ヘンリー」をオンラインストアで探す)
あの有名人のあのサングラス③
『トップガン マーヴェリック』
トム・クルーズ着用
〈Ray-Ban レイバン〉の
「AVIATOR アビエーター」
無骨なティアドロップが
クルーカットにもよく似合う
サングラスは日差しや紫外線から目を守るだけでなく、時に内に秘めた熱い想いを隠す役割も担う。サングラスが似合う男の代表格の1人、そして還暦を超えてなお映画製作への情熱冷めやらぬ男、トム・クルーズにとってもそうなのかもしれない。
映画『トップガン マーヴェリック』で、トム・クルーズが着用。
トム=サングラス。この構図は、1986年公開の大ヒット映画『トップガン』によって生まれた。アメリカ空軍のパイロット、“マーヴェリック”ことピート・ミッチェル役を演じ、彼を一躍世界的スターへと押し上げた同作。その劇中で着用していたサングラスこそ、〈Ray-Ban レイバン〉の名作「AVIATOR アビエーター」。
〈Ray-Ban レイバン〉の「AVIATOR アビエーター」
劇中で見せたブルージーンズに白T、そしてアビエーターで構成されたシンプルかつエネルギッシュな装いと、戦闘機同士の激しいドッグファイトに世界中が熱狂。2022年、36年ぶりに公開された続編『トップガン マーヴェリック』でも、その熱さと相棒のアビエーターは健在。
スクリーンを縦横無尽に飛び回る伝説的パイロットの操縦を支える、独特なフレーム形状の名は“ティアドロップ”。1929年にアメリカ軍のパイロットのために作られた、この涙の雫を思わせるシェイプは、飛行中の強烈な太陽光線で眼球疲労と視力低下、そして頭痛や吐き気に襲われることを防ぐことを目的とする。のちに、アビエーター(飛行士)の名を冠してアメリカ合衆国陸軍航空隊に正式採用され、1937年にレイバンのラインアップに仲間入りを果たした。
テンプルにはしっかり「AVIATOR」の文字が。
そんなミリタリー由来の背景が男ゴコロをくすぐるも、なかなかにクセの強いデザインゆえ、我々日本人には至難のワザ。いや…、このティアドロップをトムに負けず劣らずクールに着用していたビッグスターが日本にもいたではないか。あの日本ドラマ史上空前のスケールで制作された刑事ドラマ『西部警察』の大門軍団のトップ、大門圭介 団長その人。
演じたのは渡 哲也。キッチリ刈り込んだクルーカット(角刈り)とアビエーターのコンビという点は同じだが、どこか違う土着感。いやさ、これぞ日本男児のティアドロップ最適解(に違いない)。トムもビックリ、やったもん勝ち。燃える、飛ぶ、爆発する、自由でこそのファッションだ。
(→〈レイバン〉のサングラス「アビエーター」をオンラインストアで探す)
あの有名人のあのサングラス④
『ラスベガスをやっつけろ』
ジョニー・デップ着用
〈Ray-Ban レイバン〉の
「SHOOTER シューター」
ゴンゾージャーナリストらしさ満点の
ティアドロップ
「自由にやったもん勝ち」なんて言われて調子に乗って、レイバンのティアドロップをもう1本。1970年代初頭のアメリカ・ラスベガスを舞台に、酒とドラッグに溺れるジャーナリストとその弁護士が巻き起こす破天荒な騒動を描いた、1998年公開の映画『ラスベガスをやっつけろ』をチェックすべし。
映画『ラスベガスをやっつけろ』で、ジョニー・デップが着用。
嘘のような実話を基とした同作で、イカれたジャーナリスト、ラウル・デューク役を演じたのは、ファッショニスタとしても人気の高いジョニー・デップ。彼が白のバケットハットに合わせて印象的に着用していたのが、レイバンの名作ティアドロップ「SHOOTER シューター」である。
ボシュロム社時代の〈Ray-Ban レイバン〉の「SHOOTER シューター」。
“射撃手”という名前通りのディテールが各所に見受けられる。周囲の視野をフルカバーするという設計思想に基づき、レンズは大きめ。額から流れる汗を抑えるバーや、射撃時の衝撃を受けてもズレにくく耳にフィットする細めのケーブルテンプル(別名:繩手テンプル)が特徴的だ。
特徴的な各所のディテールにも、歴とした理由が存在する。
とりわけ、フロント中央リング状のパーツは興味深い。一説には「火の点いたタバコを挿して、煙で風向きを見るため」とも言われるが、実際は左右のレンズを支えるための強度を求めて採用された補強パーツ。という線が濃厚とのこと。
あぁ…その噺をドヤって語った過去の己を撃ってしまいたい。
なんて悔恨の情を振り切り、話をシューターに戻す。そもそもレイバンは、レンズメーカーの〈ボシュロム〉が生み出したブランドである。今回用意したのも、今となっては貴重なボシュロム時代の個体。レンズに入る「B&L」の刻印がその証だ。「この刻印が入っていないとレイバンとは認められない」なんて言う強火のマニアも多い。
蝶番の脇に、ソッと入った〈ボシュロム社〉を表す「BL」の刻印。
ちなみに本個体のレンズは薄いオレンジだが、ジョニデ着用のレンズカラーは“カリクローム”。いかにも70年代ムード漂う鮮やかなイエローも、ファッション感を狙ったものでは決してなく、かといって眩しさを防ぐためのものにもあらず。むしろ視界を明るく鮮明に映し出し、曇天、霧、靄といった悪天候下で効果を発揮する。とはいえ役が役だけに、ドラッグをキメた状態だと世界がより美しく見えるから…など別の理由があるのかもしれない。
レイバンのティアドロップの名作を2本並べてみた。どちらも濃くて良い面構えだ。
シューターを着用し、フィールドでその機能性を堪能するも良し、70年代のサイケデリックムードを令和の世で味わうも良し。劇中の台詞を借りるならば、結局のところ、世の中には2種類の人間しかいない。ティアドロップをうまく扱える人間と、そうでない人間だ。…なんてな。
(→〈レイバン〉のサングラス「シューター」をオンラインストアで探す)
あの有名人のあのサングラス⑤
『グランメゾン東京』
木村 拓哉 着用
〈Ray-Ban レイバン〉の
「WAYFARER ウェイファーラー」
セレブから若者まで、
世界中で愛される3つ星ウェリントン
さて、ここまでは海外スター御用達のモデルを中心に紹介してきたが、我が国のビッグスターだって決して負けてはいない。『knowbrand magazine』で日本人のファッションアイコンといったら、ほぼ2人に限定される。その1人が“キムタク”こと木村拓哉であることは言わずもがな。
『グランメゾン東京』で、木村拓哉が着用。
キムタクは若かりし頃に観た映画『トップガン』のトム・クルーズに憧れ、先述のアビエーターを愛用しているそう。本稿序文でも進言したが、やはり誰かを真似てみるという行為はモノ選びにおいて有用と証明してみせた。あのキムタクだってトムをお手本しているのだから当然だ。
ここではそんなキムタクが、フレンチのシェフで主人公の尾花夏樹役を演じて大ヒットしたドラマ『グランメゾン東京』。その劇中で着用した、レイバンの「WAYFARER ウェイファーラー」に迫る。型番は「RB2140」。アビエーターなど機能性重視のモデルが主軸を担っていたボシュロム時代に、ファッション性を重視した“まったく新しいモデル”として1952年にデビュー。
〈Ray-Ban レイバン〉の「WAYFARER ウェイファーラー」。
ロックンロール・ムーブメント真っ只中の当時、革新的なモノを求めるミュージシャンや若者たちに支持され、自由の象徴としての地位を確立する。以来、このモデルは世界中で愛され続け、“世界で最も有名なサングラス”とも称賛されるまでになったワケだが、肝心の意匠はといえば非常にシンプルだ。
テンプルは、フロントから徐々に太くなっていき、耳にかかる部分から細くなる独特の形状。「WAYFARER」の記載も。
少し丸みを帯びたウェリントン型は老若男女誰でも合わせやすく、まさに永遠のスタンダード。ドラマ内ではライトカラーレンズのモデルを着用しているが、その御姿は年齢を重ねながらも若々しく、往時と変わらぬオーラを放つ3つ星・日本のトップスター。
サングラス選びで迷っているなら「ちょ、待てよ」。まずはキムタクを真似て、ウェイファーラーから始めてみては?
(→〈レイバン〉のサングラス「ウェイファーラー」をオンラインストアで探す)
あの有名人のあのサングラス⑥
〈fragment design
フラグメントデザイン〉
藤原ヒロシ着用
〈OAKLEY オークリー〉の
「Frogskins フロッグスキン」
あのストリートのカリスマをも虜にした
ウェリントンの傑作
プロデューサー、ミュージシャン、大学教授…など、様々な顔を持ち、1980年代のストリートカルチャー黎明期から現在に至るまで、シーンを牽引し続けるストリートのゴッドファーザー、HFこと藤原ヒロシ。彼の審美眼に世界中が注目し、そこで選ばれたモノがほぼ全て争奪戦となるほどの強い影響力を持つことは周知の事実。
〈fragment design フラグメント〉主宰の藤原ヒロシが着用。
そんな彼のお眼鏡にかなったのが〈OAKLEY オークリー〉の定番にして名作「Frogskins フロッグスキン」だ。1975年、ジム・ジャナードによりアメリカ・カリフォルニアにて設立されたオークリー。
当初はモトクロスのハンドグリップを取り扱っていたが、のちにゴーグルを起点にアイウェア業界へ参入し、人気を博した。不思議な響きのブランド名は、創始者ジャナードの愛犬の名を由来とするようだ。そしてスポーツサングラスやゴーグルで地位を確立した同ブランドが、次なる一手として注目したのがライフスタイル用アイウェア。
細部や素材にまでこだわり、スポーツの核となる光学系テクノロジーをレンズに応用。こうして1985年に誕生したのが、ご存じフロッグスキン。モデル名は当時のオークリー本社で飼われていたカエルに由来するとか、しないとか。
〈OAKLEY オークリー〉×〈fragment design フラグメントデザイン〉の「Frogskins フロッグスキン」。
軽量なフレームとレンズを組み合わせたウェリントン型は、その掛けやすさとファッション性から80年代に人気が爆発するも、90年代終盤にラインアップから一時姿を消す。そして2000年代初頭に再びブレイク。この復活劇に“藤原ヒロシ愛用”というパワーワードが大きく寄与していたのは間違いない。
そこで今回は、彼が主宰するサブカルチャープロジェクト〈fragment design フラグメントデザイン〉との2023年のコラボモデルを用意した。
テンプルに鮮やかに入る両ブランドのロゴ。プリズムグレーのレンズにも“サークルサンダー”が。
ベースカラーは光沢のあるブラックフレーム。テンプルにはオークリーのロゴに加え、フラグメントを象徴する“サークルサンダー”が色鮮やかに刻まれた胸アツ仕様。さらに、プリズムグレーのレンズにも同じくアイコンをセット。ファン歓喜のディテールに“コラボレーションとはかくあるべし”と言わざるを得ず、湧き出る物欲を抑えつつハっと我にカエル。
(→〈オークリー〉のサングラス「フロッグスキン」をオンラインストアで探す)
今回紹介したのは、どれも各ブランドを代表するアイコンモデル。そこに“ミュージシャンや俳優、著名人といったヒーローたちが愛した”という付加価値がプラスされることで、掛け値なしのオールタイム・スタンダードとなり得る。
人類学者のジェームズ・フレイザーは著書『金枝篇』において、“類似したもの同士は互いに影響しあう”という法則を提起し、“類感呪術”と定義した。要は“似たものは似たものを生み出す”という考えだ。これに基づけば、特定の人物の格好を模倣することで、その威光を己が身に写し取ることも可能となる。本稿の主役“サングラス”においてもこの法則は適用される、はずだ。
憧れのヒーローたちの着用モデルをかけて、彼らに少しでも近づければ…信じるか信じないかはアナタ次第。
Illustration: Hisayuki Hiranuma

