ブラスバンドやジャズバンドなどでサックスの演奏を見て、いつかは自分でチャレンジしてみたいという人もいるのではないでしょうか。しかし、サックスにはさまざまなサイズや形状があり、自分の好みにマッチするタイプを選ぶ必要があります。
本記事では、サックスの種類や音域を解説するとともに、おすすめメーカーも紹介します。これからサックスを始めたいと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
サックスの種類と音域

サックスには、高音域の「ソプラニーノ」から迫力ある超低音を響かせる「バス」まで6種類あります。音域や形状、難易度に違いがあるので、それぞれについて事前に把握すべきでしょう。
以下では、サックスの種類について詳しく解説します。
ソプラニーノサックス
ソプラニーノサックスは、サックスの種類のなかでもっとも高い音域が出る楽器です。サイズは、全長約47.5cm、重さは1kgに満たないものがほとんどで、持ち運びにも適しています。
キーはE♭で、一般的なサックスとして知られるアルトサックスよりも1オクターブ高い分、音程調整の難易度も高く、安定した音質を奏でるには相当な時間を要するでしょう。サックスアンサンブルやサックスオーケストラなどで使われるほか、ジャズで用いられるケースもありますが、使用頻度はそれほど高くありません。
ソプラノサックス
ソプラノサックスは、ソプラニーノサックスに次いで高い音域を担当します。キーは、後述するテナーサックスの1オクターブ上のB♭です。直管型とU字型の2パターンがあるほか、ネックと本体が一体化になったタイプと切り離せるデタッチャブルネックタイプに分けられます。
澄んだクリアな音質が特徴で、華のある音色を奏でるのに適しています。たとえば、サックスカルテット(サックス四十奏)では、曲をリードするメインのメロディラインを担当するケースが一般的です。
アルトサックス
サックスの種類のなかで、もっともポピュラーなのがアルトサックスです。生産台数やモデル数も多く、一般的に「サックス」といえば、アルトサックスを連想する人が多いでしょう。
キーはE♭で中音域を担当する楽器であり、安定した音を出しやすいため、初めてサックスを吹く初心者に向いています。また、女性的で温かみのある音質が特徴で、吹き方によっては力強い音色を奏でることも可能です。
タレントの武田真治さんは、サックス奏者としても知られています。彼が主に使用している楽器もアルトサックスです。
テナーサックス
テナーサックスのキーはB♭で、アルトサックスと同様に中音域を担当します。アルトサックスよりも大きなサイズですが、初心者でもチャレンジしやすいため、アルトサックスに次ぐ人気を誇る種類です。
テナーサックスの大きな特徴として、深みがあり色気を感じさせる男性的な音色が挙げられます。また、力強く豪快な音色からハスキーな音まで幅広い表現も可能です。こうした特徴から、ジャズの世界で活躍しており、ジョン・コルトレーンやソニー・ロリンズなど往年の巨匠たちもテナーサックスを愛用しています。
バリトンサックス
バリトンサックスは、E♭の低音パート(ベース音)を担当します。アルトサックスの1オクターブ下の太く迫力ある音色が特徴で、吹奏楽やビッグバンドジャズなどでは欠かせない存在です。
主旋律を担当するソプラノやアルトと比べると目立ちにくいものの、曲によってはソロを担当することも少なくありません。特に、ジャズでは一部のソロプレイヤーが愛用しており、豪快な音色を奏でています。
バスサックス
バスサックスは、もっとも大きくて深い低音が特徴的な楽器です。キーは、B♭でテナーサックスの1オクターブ下を担当します。バリトンサックスよりもひと回り大きく、演奏する際にはそれなりの肺活量が必要です。
従来までは、サックスアンサンブルやサックスオーケストラで使われていましたが、近年では大編成の吹奏楽でも登場するようになりました。吹奏楽にバスサックスを入れることで、木管楽器の低音域が豊かになり、全体のサウンドに彩りを与えます。
サックスとはどんな楽器?

そもそもサックスについて、どのような楽器なのか知らない人も多いのではないでしょうか。ここでは、サックスの特徴や歴史を紹介します。
サックスの特徴
先述した通り、サックスにはソプラニーノからバスまで多様な種類があります。それぞれに音域や音色が異なり、ジャズやポップス、クラシック、吹奏楽など多様な音楽シーンで活躍する楽器です。
サックスは、真鍮をメインとした金属で作られています。しかし、音を出す際はクラリネットと同様にリード(薄板)をマウスピースに挟む必要があり、木管楽器に分類される点も大きな特徴です。
サックスの歴史
サックスの歴史は1840年代に始まりました。ベルギーの楽器製作家だったアドルフ・サックスが、木管楽器と金管楽器の魅力を融合した楽器をイメージして考案しました。
発明当初は14種類ものサックスがあり、アンサンブルやヨーロッパの軍隊などでも活躍します。しかし、1800年代終盤には人気が衰え、結果的にヨーロッパではあまり普及しませんでした。
こうしたなか、サックス奏者のエドワード・A・ルフェーブルがニューヨークに移住し、金管楽器メーカーと連携して高価だったサックスの大量生産を実現します。加えて、アメリカではダンス音楽やジャズが盛んだったこともあり、サックスも多くの音楽ジャンルで愛用されるようになりました。
サックスとサクソフォンの違い
サックスを調べていくと、「サクソフォン」という名称に目にすることも多いでしょう。サックスとサクソフォンは同じ楽器であり違いはありません。
「Sax.(サックス)」は略称であり、正式名称を「Saxophone サクソフォン」といいます。そのため、アルトサックスやソプラノサックスを「アルトサクソフォン」「ソプラノサクソフォン」と呼ぶこともあります。
サックスのおすすめメーカー

サックスは、さまざまなメーカーが発売しています。ここでは、押さえておきたいサックスのおすすめメーカーやリーズナブルな価格で購入できるメーカーを紹介します。
世界3大メーカーがおすすめ
初心者でも安定した音質を楽しみたいのであれば、<YAMAHA ヤマハ>(日本)<Yanagisawa ヤナギサワ>(日本)<H.Selmer セルマー>(フランス)の世界3大メーカーがおすすめです。いずれのメーカーも、サックス生産の歴史が深く、モデル数・生産台数ともに世界屈指といえます。
特に、セルマーはサックス界の大御所であり、クラッシックからジャズまで多様なジャンルで愛されています。また、ヤマハとヤナギサワも多くの人から支持されており、国産ならではといえる安定性やバリエーションが魅力です。
初めてサックスを購入する際にどのメーカーにするか迷った場合は、これらの世界3大メーカーを選べば間違いないでしょう。
予算を抑えたい方はアンティグアやシャトーがおすすめ
予算を抑えてサックスを購入したい場合は、<Antigua アンティグア>(アメリカ)<Chateau シャトー>(台湾)がおすすめです。
アンティグアは、価格帯がリーズナブルなモデルを取り揃えており、10万~30万円台で購入できるものが多数存在します。また、シャトーは生産拠点をベトナムに置いており、手に入れやすい価格設定を実現している点が特徴です。そのほか、中国製のサックスは10万円以下で購入できるケースもあります。
まとめ
サックスを始める際は多様な種類のなかから、自分が望む音質を選ぶ必要があります。たとえば、高音域で主旋律を奏でたい場合は、ソプラノサックスが向いているでしょう。一方で、初心者でもチャレンジしやすい種類であれば、アルトサックスがおすすめです。
サックスを始めたいけれど、できればコストをかけずに楽器を購入したいという場合は、リユースショップ・リサイクルショップが役立ちます。世界3大メーカーのサックスも、リーズナブルな価格で手に入れられる可能性も少なくありません。
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新品よりもリーズナブルな価格で購入できるため、購入を検討している人はぜひご利用してみてはいかがでしょうか。






