WILD THINGS

ワイルドシングス
HISTORY

 

軽さは、正義だ。極地が認めた、本物のアウターウェア
1981 | NEW HAMPSHIRE,USA | John Bouchard and Marie Meunier

「LIGHT IS RIGHT」— 軽くてタフでなければいけない。重さは、時に生死を分ける過酷な環境において「敵」となる。だからこそ、道具としてのウェアは、極限まで軽く、絶対に信頼できる堅牢さを持たねばならない。この簡潔にして力強い哲学を揺るぎない信念として製品に込め、つくり続ける者たち。それが〈WILD THNGS ワイルドシングス〉だ。

ブランドの歴史は、荒々しい大自然の頂で、血と汗によって綴られてきた。物語は1981年、アメリカ・ニューハンプシャー州ノースコンウェイで幕を開ける。創業者である登山家のジョン・ボチャードと、のちに彼の妻となるマリー・ミューニエール。特筆すべきはマリーの出自である。彼女はスイス・シャモニーで代々続くマウンテンガイド一家に生まれ、幼少期から自らの命を預ける登山用品に一切の妥協は許されないことを肌で理解していた。ゆえに、登山家であるマリーとジョンが作る製品が、創業時から他とは一線を画す「本物」の完成度を誇っていたのは必然であった。フィールドで培った知識と経験のすべては、「軽くてタフ」という哲学を具現化するために注ぎ込まれたのである。

やがて彼らの哲学を具現化した名作が世界に認められる。1983年に誕生した、ブランドの象徴「DENALI JACKET デナリ ジャケット」である。そして翌1984年、創業者マリー本人が、このジャケットを纏い、アンデス山脈最高峰アコンカグアの登頂に、女性として初めて成功するという歴史的快挙を成し遂げる。彼女の偉業は、ワイルドシングスの名をクライマーの間に轟かせると同時に、自らが手掛けたウェアの圧倒的な機能性をこれ以上ない形で証明してみせたのだ。

ところで、ワイルドシングスを語る上で欠かせない要素が人工羽毛の「PLIMALOFT プリマロフト」の存在である。デナリジャケットは、当時まだ珍しかったこの画期的な人工羽毛をいち早く採用したアウターの先駆けであった。プリマロフトは、米軍の要請で開発された超微細マイクロファイバー素材。その性能は、天然の羽毛であるダウンに匹敵、あるいは凌駕するとさえいわれる。天然のダウンジャケットが水濡れに弱く、一度濡れると保温力を著しく失うのに対し、プリマロフトは高い撥水性を持ち、濡れてもなお保温力を維持する。プリマロフトを採用したアウター群は、ブランドの革新性とアイデンティティを象徴しているといえるだろう。

ワイルドシングスの信頼性は、やがて登山フィールドを超え、国家レベルのプロジェクトへと繋がる。1985年、ワイルドシングスはアメリカ軍へのギアとウェアの納品を開始。そして、過酷な環境下での活動を支えるレイヤリングシステム「ECWCS(拡張式寒冷地被服システム)」のサプライヤーとして認定されるに至る。このECWCSにおいて、最強の防寒性を誇るLEVEL 7のアウターとして開発されたのが、通称「HAPPY SUIT ハッピースーツ」である。そして、その傑作ミリタリーウェアをタウンユースに昇華させたのが、ファッションシーンで絶大な人気を誇る「HAPPY JACKET ハッピー ジャケット」だ。「ハッピー」の由来は、初期に納入されたモデルのタグに軍の官給品にはおよそ不釣り合いなスマイルマークが描かれていたからだというのが定説。過酷な任務にあたる兵士たちに、一瞬の安らぎと幸福(ハッピー)を届けた、というストーリーは、このジャケットが持つ圧倒的な保温性能と機能美にさらなる深みを与えている。

2010年には、米軍特殊部隊向けに製品を開発するミリタリーライン〈WILD THINGS TACTICAL ワイルドシングスタクティカル〉を始動。ワイルドシングスが、今なお本物のギアを作り続けていることの証左である。

極地で命を守るために生まれたワイルド シングスのアウターは、その圧倒的な機能性と、一切の無駄を削ぎ落としたデザイン美によって、いつしかフィールドを越えストリートを席巻した。厳しい自然、あるいは戦場という「本物の現場」に鍛え上げられた道具だけが持つ、有無を言わせぬ説得力。流行が目まぐるしく移り変わる現代において、その背景に流れる揺るぎない哲学と、命がけの現場で培われた本物のストーリーが確かに存在する。「LIGHT IS RIGHT」— その哲学は、これからも色褪せることなく、袖を通す者に、確かな満足感と誇りを与え続けるだろう。

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