BVLGARI
ローマ生まれの魅惑の輝き、蛇の誘惑、そして色彩の魔術。
1884 | Rome,ITALY | Sotirio Bulgari
帝国の記憶を宿す街ローマ。1884年、この地に銀細工師ソティリオ・ブルガリが構えた工房、これが後に世界を魅了するラグジュアリーメゾン〈BVLGARI ブルガリ〉のはじまりである。システィーナ通り85番地の店には彼の手による銀のオーナメントやオブジェが並び、地元の人々や洒落者たちの目を惹きつけた。やがて富裕層が集うリゾート地へも進出しブルガリの名は徐々に浸透していく。
ソティリオの息子ジョルジョとコスタンティーノが家業を継承すると、ブルガリは銀製品からハイジュエリーへと舵を切る。1920年代、アール・デコ様式が席巻する中、ブルガリはプラチナやダイヤモンドを用いた洗練されたジュエリーを製作し、独自の道を歩み始める。そして1934年、コンドッティ通りの本店が改装された際に「BVLGARI」のロゴが誕生。本来の綴りは「BULGARI」であるが、ロゴでは「U」ではなく「V」が用いられた。これは古代ローマの文字表記に着想を得てのこと…、というあたりに並々ならぬブランドのこだわりを感じる。
第二次世界大戦の困難な時代にあっても、ブルガリの創造性は不屈の精神を示す。プラチナに代わりイエローゴールドを用い、1948年にはブランドを象徴する「SERPENTI セルペンティ」が誕生。蛇をモチーフとし、ゴールドのコイルを巻きつけて形成されるブルガリ独自の「トゥボガス技法」によるしなやかな螺旋を持つこのブレスレットウォッチは、官能性と実用性を兼ね備え、戦後の新しい女性像を彩った。
1950年代、ブルガリのスタイルは一層大胆に開花する。半球形の屋根クーポラを思わせるカボションカットの色石を主役に、サファイア、エメラルド、ルビーといった貴石と、トルマリンやアメシストなどのカラーストーンを斬新に組み合わせる。その鮮烈な色彩とボリューム感は、まさにブルガリならではの魔術ともいえるものであった。そしてローマが巨匠フェデリコ・フェリーニ監督の映画『ドルチェ・ヴィータ(甘い生活)』に沸いたこの時代、エリザベス・テイラーをはじめとする銀幕のスターたちがブルガリを愛用し、その名は世界へと轟いていく。
1960年代、ブルガリ家3代目の指揮のもと、古代コインをジュエリーに用いた「MONETE モネーテ」コレクションが発表され、歴史と現代性の大胆な融合は大きな注目を浴びる。そして1970年代、メゾンは本格的な世界進出を開始。1977年には、時計史に名を刻む「BVLGARI・BVLGARI ブルガリ・ブルガリ」ウォッチが誕生。ベゼルにダブルロゴを刻んだこのデザインは、古代ローマのコインから着想を得ており、瞬く間にブランドのアイコンとなった。
1980年代は働く女性のライフスタイルに合わせ、パーツを組み合わせるモジュラー式ジュエリーの「PARENTESI パレンテシ」が好評を博す。1990年代には、初の香水「Eau Parfumée au Thé Vert オ・パフメ オーテヴェール」を発表。そして1999年、新世紀を目前に「B-ZERO1 ビー・ゼロワン」リングが登場。トゥボガスとロゴを融合させたこのリングは、ブルガリの革新性を象徴し、世界的ベストセラーとなる。2012年には、八角形と円形を融合させた腕時計の意欲作「OCTO オクト」コレクションを発表し、マニュファクチュールとしての地位を確固たるものにした。
創業から140余年。創業者ソティリオの情熱から始まったブルガリの物語は、ローマという永遠の都に育まれ、大胆な創造性と揺るぎないクラフツマンシップによって、今もなお輝かしい未来を刻み続けている。ブルガリ、それは伝統と革新が織りなす、比類なき美の殿堂なのである。

