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これからのリユースのかたち

「モノ:ファクトリー」の
リマーケティングビジネス

リサイクル率99%を誇る産業廃棄物処理業者である株式会社ナカダイから生まれた「モノ:ファクトリー」は、「発想はモノから生まれる」をコンセプトに、廃棄物の次の使い方を創造する企業です。アーティストとコラボレーションして廃棄物をリユースした作品づくりをするなど、その事業は多くのメディアから注目されています。
そこで今回は、株式会社ナカダイ リマーケティング課の河西桃子さんに、廃棄物処理工場や「廃棄物=マテリアル」が展示されているマテリアルライブラリーを案内していただき、廃棄物の新たな使い方を提案する「リマーケティングビジネス」について教えていただきました。(2018年8月9日作成)

捨てられてしまう「不要なモノ」を
誰かにとっての「必要なモノ」に変える

2010年に「東京デザイナーズウィーク(現東京デザインウィーク)」に出展されたことが、「モノ:ファクトリー」を立ち上げるきっかけになったと、中台澄之代表の著書で知りました。

2010年のテーマが「くらしと環境のデザイン展」というのを知った代表の中台が、「産業廃棄物から生産した素材を展示したい」と自ら事務局に連絡を取り、出展が決定したんです。

すごい行動力ですよね。「産業廃棄物から生産した素材」と言われてもピンとこなかったのですが、こちらにある「廃棄物=マテリアル」を見て、アートとして展示できると納得しました。

このLANケーブルの被覆膜を使った素材は、見た目もカラフルでおもしろいですよね。60〜70℃くらいで溶けるので、お子さん向けのワークショップでコースターづくりなどに使っています。無線LANが普及して、なくなってしまう廃棄物のひとつだと思うと時代性もありますよね。アーティストの方がこの素材を使ってつくった作品も展示しています。

LANケーブルの被覆膜

LANケーブルの被覆膜を固めてブロックにした作品

クリエイターの方にとっては魅力的な素材ですよね。アート作品としてリユースするというアイデアがとてもおもしろいです。

「モノ:ファクトリー」で販売しているものは、株式会社ナカダイ全体に運ばれてくる廃棄物の1%にも満たない数です。買っていただけるとしても多くて200gくらいですから、販売だけで収益を生み出すことはできません。啓蒙活動を行いながら違ったビジネスにつなげていく、フラッグシップショップ的な場所としてオープンしましたが、最近ではマテリアルや事業の価値をわかってもらうための場所として、よりビジネスに直結した場所になっています。マテリアルライブラリーに並んでいる素材はすべて触っていただけるので、プラスチックと鉄の質感の違いなどを実際に触って体験していただきたいです。

マテリアルはすべて購入が可能。実際に触って素材の質感を楽しむ子どもたちも多い

こちらに並んでいる信号やとび箱などを見るだけでも楽しいですよね。

廃棄物がこういうものだと知っていただくだけでも、リユースやリサイクルに対する意識の向上につながるのではないかと思って運営しています。

信号機やとび箱など、ほかでは見られないような廃棄物が並んでいる

素材を買われた方は、どのような使い方をしているのですか?

実際にどう使われているのかまでは追えていませんが、使いみちを考えるところから楽しんでいただければと。毎年、「産廃サミット」というイベントも開催していて、ここにあるマテリアルを使った作品を発表する場となっています。また、社内でのワークショップのほかにも柏の葉 T-SITEにある「VIVISTOP 柏の葉」へマテリアル提供をしていて、そこの会員の子どもたちと共にフシギな素材で音を探すワークショップなども行いました。

社内で開催された解体ワークショップの様子

子どもたちがワークショップでつくった作品の数々

「産廃サミット」以外にも、「THROWBACK」プロジェクトなど、幅広い事業をされていますよね。

「THROWBACK」プロジェクトは、「一度棄てられたモノを再び社会に投げ返す」というテーマで、不要となったものに新たな価値を与えて、再び流通させるというアップサイクルプロジェクトです。もったいないからではなく、おもしろいから使おうと思ってもらいたいんですよね。廃棄物という概念をなくし、デザインや技術で新しいものづくりのためのプラットフォームをつくるというのがこのプロジェクトの根幹です。

伊勢丹新宿店で「THROWBACK」アイテムの展示などもされています。そういったイベントの反響はやはり大きいのでしょうか?

大きいですね。イベントなどを通じてさまざまなメディアから取材していただく機会が増えました。はじめは社内から理解されない雰囲気もありましたが、取材の方や一般の方が工場見学やワークショップに来て実際に仕事を見ていただくことによって、社員のモチベーションも上がっているように感じます。

「THROWBACK」プロジェクトから生まれたプロダクト。とび箱がテーブルとスツールに

「THROWBACK」アイテムのひとつ、とび箱でつくられたテーブルとスツールはとてもカッコいいですね。

ほかにも高速道路の街路灯でつくったスタンドライトなど、ユニークなプロダクトがたくさん生まれています。「発想はモノから生まれる」をコンセプトに、今後もさまざまなアーティストの方とコラボレーションしながら、捨てられてしまった「不要なモノ」を誰かにとっての「必要なモノ」に変えていきたいと思っています。

「不要になったモノを必要な方に届ける」という点は、セカンドストリートが行うリユース事業の根幹とつながる気もします。

産廃処理業は、お客様の廃棄物を費用をいただいて処理する仕事です。預かった重さで値段が決まるので、「廃棄物を減らしましょう」という思いはありつつも、廃棄物がゼロになったらやっていけない。この矛盾をなくすために、私たちはお客様から集めた廃棄物を分別・分解し、加工を施すなどして、素材として高く売れるようにしようと、量から質への変換を目指しています。不要なものの中から質の良いものを選別するという部分では、弊社のリマーケティングビジネスとの共通点があるかもしれませんね。

2010年に設立されてからこれまでに、どのような変化がありましたか?

まずは変わったことをやっている会社として知っていただくことが第一歩かなと。そこから私たちの取り組みに興味を持った企業からコンサルティングの依頼をいただくこともあり、最近、ようやくビジネスにつながりつつあります。

地域とのつながりを大切にしながら
リユースを身近に感じてもらいたい

ナカダイの処理工場で行われている作業について教えてください。

運ばれてくる廃棄物は、そのまま使えるものはリユース品として買い取り、販売します。リユースできないものについては、単一素材まで選別・解体したものを再資源化してマテリアルリサイクルし、再資源化できないものは、排熱を回収するサーマルリサイクルを行うための、RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)という燃料に加工します。マテリアルリサイクルの場合、プラスチックはプラスチック、鉄は鉄と、同じ素材としてリサイクルされるのですが、運搬効率を上げるためには圧縮したり、溶融したりといった加工を施します。

実は弊社の約60名の社員のうち、4割は女性社員なんです。プレス機で圧縮された鉄の塊は500kgと、工場内の廃棄物は男性だから持てるというレベルではないので、フォークリフトを使います。できるだけ細かく選別することがこの仕事のポイントなので、自然と女性が増えていきました。

石油の代替燃料として使われるRPF

状態の良い鉄(右)はマンホールに。異物つきの鉄(左)はブリキやトタンにリサイクルされる

確かに、発泡材をはじめとしたプラスチック類の分別は思った以上に細かい作業ですね。

発泡材はポリスチレン製とポリプロピレン製では割れ方や触り心地が違うので比較的わかりやすいのですが、見た目だけではわからない素材に関しては、燃やしたときのにおいなどで判断します。社員はまずは選別や解体の作業を担当し、実際に仕事をしながら、判断がむずかしいポリエチレンとポリカーボネートのにおいの違いなどを習得していきます。

写真はポリスチレン製の発泡材を溶かしたもので、1本約13kg。黒いプラスチックにリサイクルされる

敷地内には、地元の自治会の方が利用できる回収ボックスもありました。

町民のみなさんから不要になった有価物を買わせていただき、自治会費としてお戻しするシステムです。自分たちが出した資源がどのように戻ってくるのかって、普段はなかなかわからないですよね。自治会費として戻すという小さなサイクルでまわせば、より、リサイクルを身近に感じていただけるのではないかなと。

回収した有価物の代金を自治会費として還元する

また、工場の裏手には33本の桜が植えられていて、桜の咲く季節には地域交流会も開催しています。弊社社長のモットーは、「自分の仕事を胸を張って言えるかどうか」ということなので、一般の方の工場見学や地域交流などのコミュニケーションを通して、嫌われがちなこの業界の「3K」というイメージを払拭していけたらと思っています。

春には桜の名所としてたくさんの人が訪れる

「モノ:ファクトリー」が取り組む
リマーケティングビジネスのこれから

河西さんご自身は、これまでリユースショップに行かれたことはありますか?

群馬県にもいくつかセカンドストリートがあるので、何度か利用しています。実際にリユース品を買取ってもらったこともありますよ。弊社では「捨て方をデザインする」と言っているのですが、「捨て方」のひとつにリユースショップに持っていくという選択肢がありますよね。最近は特に、「環境問題はまったく関係ありません」とは言いにくい雰囲気もあります。そういう時代だからこそ、不要なものを捨てるのではなくリユースすることは良いことだなと。

私たちも廃棄物処理の最初のステップで、まずはリユースできるかを考えます。リユースは解体の費用もCO2もかからない一番の方法なんです。リユースできなかったらリサイクルやマテリアルで使えるか、ステップを追って考えていく頂点にリユースがあると思います。

実はセカンドストリートでも、お値段がつかない衣類を1円で買取る「ECO買取」という取り組みを行っていて、さまざまなかたちでリサイクルしているんです。

それは今回はじめて知りました。再資源化されていることなどは、大きな企業が行って発信するほうが影響力がありますよね。現在は海外との取引が多いようですが、国内循環ができる取り組みを弊社と一緒にやりませんか?(笑)

それは素敵なアイデアです(笑)。今後、リマーケティングビジネスをどのように広げていこうと考えているのでしょうか?

産業廃棄物の中間処理業をしている会社は、日本に10,500社くらいあります。弊社のようにリサイクルだけでなく、マーケティングを考えてリユースやイベント、コンサルティングなどを行う会社が増えていけば、ビジネスの土壌が広がり、認知度も高まっていくと思うんです。工場見学は同業者でもお受けしていますので、どんどん見に来ていただいてノウハウを吸収していただければと。そのためには、言葉は悪いですが、私たちが事業を成功させて、「リマーケティングビジネスは儲かる」ということを証明しないといけないですよね。効率的なリサイクル手法だけではなく、一見手間に見えるような丁寧な分別や、クリエイティブな使い方もおもしろくて社会的な意味もあると思っています。徐々にそのかたちは見えてきているので、まずはそこを証明するためにも、新しいビジネスのかたちを広めていきたいと思っています。

「モノ:ファクトリー」の「リマーケティングビジネス」は、一度「不要なモノ」として捨てられてしまったものに新たな息吹を吹き込み、必要な人に届ける新しいビジネスのかたちです。それはセカンドストリートが行うリユース事業の根幹ともつながります。使わないけど捨てられない、大切なものはセカンドストリートにぜひ、お持ちください。必要としている誰かのもとへ、届けるお手伝いをいたします。

モノ:ファクトリー

http://monofactory.nakadai.co.jp/
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