チャイルドシートを助手席に設置するのは、安全性の観点から推奨はされていません。エアバッグの影響や事故時の衝撃を考慮すると、チャイルドシートは後部座席への設置が最適です。
しかし、例えば子どもと2人で出かけるときなどに、チャイルドシートを助手席に設置したいと思うときもあるかもしれません。そのようなときに気になるのが、「チャイルドシートを助手席に設置するのは、違反なのか？」というところではないでしょうか。
この記事では、チャイルドシートの助手席設置に関する規定を紹介します。
チャイルドシートを助手席に設置するのは違反？
チャイルドシートを助手席に設置すること自体は、法律上違反ではありません。道路交通法第71条の3第3項では、6歳未満の子どもにチャイルドシートの着用を義務付けていますが、設置する座席についての具体的な規定はありません。
助手席へのチャイルドシートの設置は、子どもとの距離が近く運転中に顔が見えるため、安心感を得やすいという理由で選ばれることもあります。特に後部座席で子どもが大泣きすると、運転に支障が出ることを避けるために助手席を選ぶ人もいます。
しかし、安全性の観点から、チャイルドシートは後部座席への設置が推奨されています。
チャイルドシートの助手席設置が推奨されていない理由
助手席へのチャイルドシートの設置は法律で禁止されていませんが、安全性の観点から推奨されていません。理由は、エアバッグの膨張による危険性です。
エアバッグは大人を保護する目的で設計されており、膨張時の速度は時速100～300kmに達します。この衝撃が助手席に設置されたチャイルドシートに直接加わると、シートが押し飛ばされたり、子どもがシートと座面の間に挟まれたりするリスクが高まります。
さらに、助手席は車両前部に位置しているため、事故の際の衝撃が集中しやすい場所です。以上の要因から、国土交通省や警察庁はチャイルドシートを後部座席に設置することを推奨しています。
後部座席は車両中央に近く、外部からの衝撃を受けにくいことに加え、エアバッグの影響を受ける心配もありません。大切な子どもの命を守るためにも、助手席ではなく後部座席への設置を選ぶのが賢明です。
チャイルドシートを助手席に取り付ける手順
次に、チャイルドシートを助手席に設置する手順を紹介します。
やむを得ず、チャイルドシートを助手席に設置する場合は、子どもの命を守るためにも以下で紹介する手順に従って設置しましょう。
チャイルドシートを座席に密着させる
チャイルドシートを取り付ける際は、背面と車の座席をしっかり密着させましょう。座席とチャイルドシートの間に隙間があると、車の揺れや衝撃時にぐらつきやすくなり、子どもの安全が脅かされる可能性があります。
まず、チャイルドシートを車の座席に押し付けるように設置し、背面全体が均一に密着していることを確認してください。密着が不十分な場合は、シートの角度やリクライニング機能を調整して対応しましょう。
チャイルドシートをシートベルトで固定する
チャイルドシートをシートベルトで固定する際は、取扱説明書を確認してシートベルトを正しい位置に通します。このとき、ベルトがねじれないように注意してください。
シートベルトを通したら、チャイルドシートをしっかりと座席に密着させながらベルトを引っ張り、たるみを取り除いて固定します。隙間があると、事故時に衝撃を吸収できず危険です。
また、取り付け後にはチャイルドシートを揺らしてぐらつきがないか確認します。ISOFIXタイプの場合は、専用のコネクターを車両の金具に確実に固定することで、簡単かつ安全に取り付けられます。
ハーネスを調節する
子どもをチャイルドシートに座らせたら、肩の高さに合わせてハーネスを調節します。ハーネスが緩すぎると体が固定されず、事故時の衝撃から守れません。一方で、締め付けすぎると子どもが窮屈に感じてしまいます。
ハーネスを調節する際は、子どもの肩にしっかり沿わせ、指が1本入る程度の余裕を保つのが目安です。また、厚手の服を着ている場合は、上着を脱がせるとより正確に調整できます。最後に、ハーネスがねじれていないかを確認し、安全な状態でしっかりと体を固定してください。
助手席を後方に下げる
助手席にチャイルドシートを設置する際は、助手席を可能な限り後方にスライドさせてください。エアバッグとチャイルドシートの距離を広げられ、万が一、エアバッグが作動した場合の衝撃を軽減できます。
特に後ろ向きチャイルドシートの場合、エアバッグとの距離が近いと圧迫のリスクが高まるため、シート位置の調整は必須です。また、後方に下げることで、助手席の前部パネルやダッシュボードとの距離も確保できます。
チャイルドシートを助手席に設置する際の注意点
最後に、チャイルドシートを助手席に設置する際の注意点を紹介します。
子どもの安全を守るためにも、ぜひ最後までご覧ください。
前向きのチャイルドシートを使う
助手席にチャイルドシートを設置する場合は、前向きのチャイルドシートを使用してください。後ろ向きのチャイルドシートは、エアバッグとの距離が近くなるため、万が一エアバッグが作動した際に背面が押され、子どもが大ケガを負うリスクがあります。
前向きタイプであれば、エアバッグの膨張による直接的な影響を受けにくくなります。ただし、助手席での使用は後部座席よりもリスクが高いため、設置の際は説明書をよく読んで正確に取り付けを行いましょう。
助手席をできる限り後ろに下げる
助手席にチャイルドシートを設置する場合、エアバッグの衝撃から子どもを守るために座席を最大限後方にスライドさせてください。座席を後ろに下げることで、衝突時に膨張するエアバッグの影響を軽減できます。
説明書をよく確認して取り付ける
助手席にチャイルドシートを設置する際は、製品の説明書を熟読し、正確に取り付けてください。不適切な取り付けは、事故時にチャイルドシートが外れたり、子どもがケガをしたりするリスクが高まります。
説明書ではシートベルトの通し方や固定方法、推奨する設置位置などが詳しく説明されています。特に助手席への取り付けが可能かどうかは製品によって異なるため、注意が必要です。説明書通りに正しくチャイルドシートを設置して、子どもの安全を守りましょう。
安全運転を心がける
助手席にチャイルドシートを設置する場合、運転席からの視界が悪化する可能性や、子どもの様子が気になり注意が散漫になるリスクがあります。そのため、チャイルドシートは後部座席に設置することが推奨されますが、やむを得ず助手席に設置する場合は、特に安全運転を徹底しましょう。
適切なスピードを守り、急なブレーキやハンドル操作を避けることで、子どもの安全を確保することが重要です。また、運転中は子どもに気を取られず、前方に集中する意識を持ちましょう。
まとめ
チャイルドシートの助手席設置は、法律上違反ではありません。しかし、万が一の交通事故でエアバッグが作動した場合、衝撃によって子どもが大ケガを負うリスクがあります。そのため、チャイルドシートは後部座席への設置が推奨されています。
やむを得ず、チャイルドシートを助手席に設置する場合は、安全性や法律を理解したうえで適切な取り付け方法で設置しましょう。
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