地球温暖化の影響もあり、年々夏の暑さが厳しくなっています。こうしたなかで、直接涼しい風を感じられる扇風機は欠かせないアイテムであり、1日中つけっぱなしにしている人も多いでしょう。しかし、稼働し続けると電気代がかさむのではないかと心配になるのではないでしょうか。
今回は、扇風機をつけっぱなしにした場合の電気代について解説します。併せて、エアコンやその他の冷房器具の電気代と比較して紹介するため、コストが気になっている人はぜひ参考にしてみてください。
扇風機をつけっぱなしにしたときの電気代

暑い夏の夜は、扇風機をつけっぱなしにするという人も多いでしょう。また、日中も家にいる場合は、24時間稼働させたままというケースも多くあります。以下では、扇風機の電気代について解説します。
扇風機の電気代
扇風機の1時間あたりの電気代は、「1kWhあたりの電力料金単価×消費電力(kW)」で算出できます。全国家庭電気製品公正取引協議会が提示している1kWhあたりの平均的な電気代は31円です。例えば、消費電力が20Wの扇風機を1時間つけっぱなしにした場合は、以下の計算式となります。
| 31円(1kWhあたりの電力料金単価)×0.02kW(消費電力)=0.62円 |
このように、扇風機を1時間つけたままにしても、さほど料金がかからないことがわかります。
扇風機の電気代シミュレーション
下表では、前項で紹介した扇風機を1時間つけっぱなしにした場合の電気代を踏まえて、「1時間」「8時間」「24時間」「1週間」「1ヶ月」の5パターンの電気代をシミュレーションしています。
なお、風力を弱(20kW)、中(30kW)、強(40kW)にした場合の電気代を使用時間ごとにまとめました。
| 風の強さ/使用時間 | 1時間 | 8時間 | 24時間 | 1週間 | 1ヶ月(4週間) |
| 弱(20kW) | 0.62円 | 4.96円 | 14.88円 | 104.16円 | 416.64円 |
| 中(30kW) | 0.93円 | 7.44円 | 22.32円 | 156.24円 | 624.96円 |
| 強(40kW) | 1.24円 | 9.92円 | 29.76円 | 208.32円 | 883.28円 |
上記の表からわかるように、扇風機の電気代はさほど高くないことがわかります。万が一、40kWの風力で1ヶ月間つけっぱなしだとしても、883.28円と1,000円もかかりません。
ただし、扇風機の性能やメーカーによって電気代に違いがあるので、確認してから使用することをおすすめします。
扇風機の種類と消費電力

扇風機のモーターには、「DCモーター」と「ACモーター」の2種類があります。双方は特徴が異なり、電気代にも違いがあります。
以下では、それぞれの特徴と消費電力についてみていきましょう。
DCモーター
DCモーターとは、一方方向に電流が流れる直流のモーターであり、電圧が一定である点が特徴です。DCモーターが搭載された扇風機は、風量や風力を細かく設定できる傾向にあります。強風だけでなく、微細な風に調整することも可能であるため、就寝時に扇風機をつける際でも音が気にならないでしょう。その分、消費電力も抑えられるので電気代もリーズナブルです。
ただし、後述するACモーターの扇風機に比べると、高機能であることから本体価格が高い傾向にあります。
ACモーター
DCモーターが直流であるのに対して、ACモーターは交流タイプのモーターです。周期によって電圧が+と-に切り替わる点が特徴であり、その都度、電流の向きも変わります。従来の扇風機は、ACモーターが使われるケースが一般的でした。なお、扇風機に限らず、多くの家電製品がACモーターを搭載しています。
ACモーターは、DCモーターとは異なり微細な風の調整ができません。「弱」「中」「強」といった大まかな風量調整はできますが、就寝時や飛散しては困るものがある場所などでは不向きです。また、風力の細かい調整ができない分、DCモーターよりも消費電力が大きく、電気代も高くなります。
DCモーターよりも機能面が劣ることから、本体価格が安い傾向にあります。
扇風機とエアコンの電気代を比較

暑い季節に活用する家電といえば、扇風機の他にエアコンを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ここからは、エアコンの電気代について扇風機と比較しながら解説します。
エアコンの電気代
エアコンの電気代は、機種の消費電力や使用環境などによって異なります。例えば、富士通のインバーター冷暖房エアコン「ノクリアAS-X22H」の場合、冷房使用時の消費電力は130W~880Wです。全国家庭電気製品公正取引協議会が提示している1kWhあたりの平均的な電気代である31円を踏まえると、1時間あたりの電気代は約4.0~約27.3円となります。
扇風機を1時間使った場合の電気代は0.62円~1.24円であるため、エアコンの電気代のほうが高いといえます。
エアコンの電気代シミュレーション
上記で参考に挙げた富士通のインバーター冷暖房エアコン「ノクリアAS-X22H」の電気代について、消費電力を410Wと仮定して「1時間」「8時間」「24時間」「1週間」「1ヶ月」の5パターンでシミュレーションしてみました。
| 試用期間 | 1時間 | 8時間 | 24時間 | 1週間 | 1ヶ月(4週間) |
| 電気代 | 12.71円 | 101.68円 | 305.04円 | 2,135.28円 | 8,541.12円 |
このように、エアコンをつけっぱなしにした場合、扇風機と比べると電気代がかさみます。1日であれば305円程度ですが、連日の暑さに対応するために1週間、1ヶ月と稼働し続けるのは現実的とはいえないでしょう。
扇風機とエアコンの併用で電気代を節約できる
部屋を冷やすには、扇風機よりもエアコンのほうが効果的です。しかし、1日中つけっぱなしにした場合には電気代が高くなるでしょう。電気代を節約しながら快適な温度を保つには、扇風機とエアコンの併用がおすすめです。エアコンの消費電力を抑えたとしても、扇風機で空気を循環させれば涼しさを感じやすくなります。
特に、熱中症の恐れがある場合や湿度の高さが気になるときは、併用により冷房効果を高めましょう。また、気温や湿度、使用時の状況に合わせて、扇風機とエアコンを使い分けることも重要です。
扇風機とエアコンを併用するメリットについては以下の記事をご一読ください。
扇風機とエアコンの電気代比較や節約のコツについては以下の記事で詳しく解説しています。
扇風機とエアコン以外の冷房器具の電気代

冷房器具は、扇風機やエアコンだけではありません。ここでは、その他の冷房器具の特徴や電気代について解説します。
冷風機
冷風機には本体に熱交換器が備わっており、室内の熱い空気を放出させて冷気を送ります。設置する場合、基本的に工事は不要ですが、製品によってはダクトを用いて熱を外に逃がすタイプであれば取付工事が必要です。
冷房効果はエアコンよりも低いため、狭い空間を冷やす際に役立ちます。その分、消費電力を抑えられるため、エアコンよりも電気代がかかりません。
冷風扇(冷風扇風機)
冷風扇は、「冷風扇風機」とも呼ばれる冷房器具であり、タンクに入った水が蒸発する気化熱を利用して冷風を送ります。冷風機と同じく、エアコンのように室温を一気に下げることはできません。また、湿度が高すぎると気化熱が発生しにくいため、使用する際は室内の湿度に留意する必要があります。
製品によっては、タンクに氷を入れて冷たい風を送るタイプや除菌機能、空気清浄機能が備わったタイプもあるため、自身が使いやすいものを選ぶとよいでしょう。
電気代は冷風機よりもリーズナブルなので、コストを抑えたい人におすすめします。
冷風除湿機
冷風除湿機とは、除湿をしながら冷風を送る冷房器具です。扇風機とは異なり、常温ではなく冷たい風を送れるため、暑い屋外から室内に入った際や入浴後などに活躍するでしょう。ただし、エアコンのように部屋全体の温度を下げるのには向いていません。
冷風除湿機を1時間つけっぱなしにした場合の電気代は、1時間あたり10円前後とエアコンよりもリーズナブルです。しかし、冷風機の電気代と比較すると高くなるため、使用頻度を考慮したうえで検討するとよいでしょう。
スポットクーラー
スポットクーラーは、持ち運び可能なコンパクトサイズのエアコンです。「簡易エアコン」とも呼ばれていますが、工事や室外機の取り付けをしなくても設置ができます。家庭用だけでなく、大型サイズの業務用もあり、工場や倉庫などでも活用可能です。ただし、部分的に冷やす際に効果を発揮するため、部屋全体の温度を下げたい場合は壁掛けエアコンが適しているでしょう。
スポットクーラーの電気代は機種によって大きく異なりますが、壁掛けエアコンよりもリーズナブルなケースが一般的です。
扇風機に関するよくある質問

以下では、扇風機に関するよくある質問についてまとめました。自身の悩みや疑問に該当する項目がないか確認してみてください。
扇風機をつけっぱなしで寝ると健康に悪いですか?
扇風機をつけっぱなしにしたまま寝ると死亡するという噂話を聞いたことがある人も多いでしょう。健康状態に問題がない場合、扇風機をつけっぱなしにしても死亡することはありません。ただし、一晩中風を浴びて寝ていれば、風邪や腹痛を引き起こす原因になる可能性があります。特に、高齢者や疲れが溜まっている人は注意が必要です。
扇風機をつけっぱなしにしたまま寝る場合は、タイマーや首振り機能などを活用して、長時間風を浴び続けないように工夫しましょう。
扇風機をつけっぱなしにすると火事になりませんか?
古い扇風機を使用している場合、長時間つけっぱなしにすると発火する可能性があります。その要因となるのが経年劣化です。特に、10年以上前に購入した扇風機は発火して火事になった事例があるため、十分に注意する必要があります。
扇風機に少しでも異常が発生した場合は、安心して使用するためにも買い替えを検討することをおすすめします。
扇風機とサーキュレーターの違いを教えてください
扇風機によく似た家電にサーキュレーターがあります。扇風機の特徴は、体に風を当てて涼感を得る点です。一方で、サーキュレーターは、室内の空気を循環させることを目的に使用します。そのため、部屋の温度を一定に保ったり、室内干しの洗濯物を早く乾かしたりする際に活躍するでしょう。
電気代は、扇風機とサーキュレーターに大きな差はありません。しかし、エアコンよりも電気代を抑えられるので、用途に合わせて選ぶことをおすすめします。
扇風機とサーキュレーターの違いについては、以下の記事も参考にしてみてください。
洗濯物を部屋干しする際のコツについては以下の記事で解説しています。
扇風機は首振り機能を使うべきですか?
そもそも扇風機は、直接体に風を当てて涼むことを目的としています。そのため、首振り機能を活用すると、冷風を1箇所に当てられないため本来の目的を果たせません。
首振り機能を使う場合は、複数人が集うリビングや居間などが適しています。
扇風機を賢く購入するためのポイントを教えてください
近年では、扇風機にもDCモーターが搭載されるようになり、風力を細かく調整できる省エネタイプが増えました。また、「サイクロン式」という羽のない扇風機も多く普及しています。
いずれもACモーターを搭載した従来の扇風機より本体価格が高めです。しかし、つけっぱなしにすることを考慮すると、微細な調整が可能なDCモーターを備えた扇風機のほうが電気代を抑えられるでしょう。
ただし、製品によって使用電力が異なるため、最小・最大消費電力量を確認したうえで、用途や目的に適した扇風機を選ぶことをおすすめします。
まとめ
温暖化が深刻化する現代において、暑い夏を乗り越えるのに役立つ冷房器具は欠かせません。数ある冷房器具のうち、扇風機は古くから存在するため、もっとも身近な家電といえるでしょう。
昨今ではさまざまな業界で値上げが続いています。電気代も都心部から徐々に値上がりしており、節電について気にする人も増えたのではないでしょうか。特に、扇風機であればエアコンよりも消費電力が低いため、電気代を抑えられます。
ただし、10年以上使用している古い扇風機は最新のものより電気代が高く、発火する可能性があるため注意が必要です。ただし、近年で販売されている扇風機は、高機能であるものが多いため本体価格が高い傾向にあります。できるだけ予算を抑えて扇風機を買い替えたい人は、リユースショップの利用がおすすめです。
全国に800店舗を超える実店舗とオンラインストアを運営する〈2ndSTREET セカンドストリート〉では、扇風機を含む冷房器具を多数取り揃えています。新品よりもリーズナブルな価格で購入できるので、買い替えを検討している人にもおすすめです。
また、不要になった扇風機の処分でお困りの場合も、セカンドストリートにご相談ください。新しいモデルは買取価格が高くなるので、ぜひお早めに買取に出してみてはいかがでしょうか。







